葵
やばい
葵
どうしよう
奈由佳
奈由佳
なに、どうしたの
葵
ストーカーかも知れないの
奈由佳
ストーカー?なんでよ
葵
分かんない
葵
でも、視線を感じるの
奈由佳
視線?どこから?
葵
ベランダから
葵
じーっと見てくるの
葵
怖い
奈由佳
人影は?いないの?
葵
それが、いないの
奈由佳
え?
奈由佳
周りよく探した?
葵
探した、それでも人影なんてないの
奈由佳
え、幽霊?
葵
かもしれない……
葵
ねぇ、怖いよ
葵
助けてよ
奈由佳
助けてって言われても
奈由佳
何すれば分かんないよ
葵
そんな
奈由佳
第一、人影すらもないんでしょう?
奈由佳
それで何とかしろって言われても、
奈由佳
無理なもんは無理だよ
葵
そうだよね
葵
ごめんね
葵
少し奈由佳に頼ってた
葵
自分でやってみるよ
奈由佳
あ、大丈夫だよ
奈由佳
こちらこそごめんね
奈由佳
何も力になれなくて
葵
ううん、大丈夫
葵
あ、
奈由佳
どうしたの?
葵
違う
奈由佳
え?
葵
ベランダじゃない
葵
ドアからだ
葵
ドアから視線を感じる
奈由佳
ドアから…?
葵
やっぱりストーカーなのかな?
葵
あした、警察にいってみるね
奈由佳
ストーカーじゃないと思うけど
葵
え?
奈由佳
だって、人影もないんでしょ?
葵
そうだけど……
葵
一応、警察に行った方がいいかなって
葵
もしかしたらストーカーかもしれないし
奈由佳
そっか
奈由佳
じゃあ、私泊まりにいく?
葵
え
葵
こんな時間に?
葵
もう、深夜だよ?
奈由佳
だめ?
葵
いや、駄目じゃなくて、
葵
こんな時間に奈由佳は大丈夫なのかなって
奈由佳
ううん、全然平気だよ
葵
ほんと?
奈由佳
うん
葵
ありがとう!
葵
じゃあ今からいける?
奈由佳
うん、もうすぐつく
葵
え、
葵
早くない?
奈由佳
近くに引っ越したの
葵
へー、そうなんだ
葵
私全然知らなかった
葵
今度からはそいうの教えてね
奈由佳
はーい
奈由佳
奈由佳
もう、今玄関前だよ
葵
はーい
葵
はい、入っていいよー
奈由佳
ありがとう
奈由佳
うわー
奈由佳
葵の家ってこんなに広いんだね
葵
まあね、でも家賃は少し高いけど、すごく住みやすいよ
奈由佳
いいなーこんなに広々で
葵
そう?
葵
この部屋より実家のほうがずーっとデカイよ
奈由佳
ふふふ、私も同じ
葵
実家って広いからねー
葵
でも、よかった
奈由佳
なにが?
葵
こうしていれて
奈由佳
……?
葵
奈由佳が来なかったら、今頃震えてただろうね
奈由佳
そうかなー
奈由佳
葵、強いし、そんな事ないんじゃない?
葵
そんなに強くないよー
奈由佳
そうだね、私も同じ
葵
もー、知ってたなら言わないでよ
奈由佳
はーい
葵
…………………
葵
すごいねえ
奈由佳
え?あ、荷物?
葵
うん
葵
物凄い量…………
葵
重くなかった?
奈由佳
ううん
奈由佳
葵のためならこんなもんへっちゃらだよ
葵
すごい!
葵
…………
葵
こうやって…
葵
助けてくれたよね昔も
奈由佳
…………ああ、あの時か
葵
私がいじめられた時、奈由佳が助けてくれて……
葵
嬉しかったよ
奈由佳
まあね
奈由佳
別に葵は辛い思いなんてしなくてもいいんだよ
葵
ありがとう……
奈由佳は立ち上がるとかばんから何かを取り出した
葵
え?
葵
奈由佳?
それは
奈由佳
葵………
葵
え、待って!
葵
何しようとしてるの⁉
ナイフだったー
奈由佳
私ね、ホントは
葵
な、奈由佳!
葵
落ち着いて!
奈由佳
男子じゃなくて、女子に恋しちゃうの
葵
や、やめて!
葵
私達、友達でしょ⁉
奈由佳
そして、好きだったの葵のこと
葵
やめて……っ!
奈由佳
さっき、玄関から視線あったよね?
奈由佳
あれ、私なんだ
葵
いやぁあ!
奈由佳
葵はね、辛い思いなんてしなくてもいいんだよ
葵
やだ!いやだ!死にたくない!
奈由佳
ずーっと私が守ってあげるの
葵
誰か!!助けてよ!
奈由佳
私、温度のある葵より、
奈由佳
温度ない
奈由佳
葵が好きかもしれない
葵
やだ……っ!来ないで……っ!
奈由佳
大丈夫、すぐ楽になれるからね……
葵
いやぁぁぁぁぁあ!
葵
うっ!
グサッ!
葵
…………っ!
葵
ア、が、
葵
い、いた、い
葵
たす、けて、よ
葵
だ、れか
葵
だ、れ、
葵
か
葵
………………………
奈由佳
ほら、楽になれたでしよ?
奈由佳
ああ、やったよ
奈由佳
これで葵も私も一つになれる……っ!
奈由佳
ありがとう!神様!
返り血を浴びた少女は顔を歪ませ、不気味に笑ったー