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‪”‬ 君には ‪”‬

‪”‬ マトリカリアの花が良く似合うよ ‪”‬

そう言って僕の頭に花を舞わせた。

 結陽 

ふは、そうかなぁ

僕はいつも、笑ってそう答えた。

 舞夏 

うん、ほら

両手にいっぱいの花を抱えて

君はいつも首を傾げる。

 舞夏 

似合うだろ、

それもいつも、必ず目を伏せて

花が大切そうに微笑みながら。

‪”‬‪ この花が、貴方に。 ”‬

 結陽 

 結陽 

…はは、また…

‪”‬ 泣いたのは 決して貴方のせいではないよ ‪”‬

 結陽 

…馬鹿らし

そう、彼の遺書には書かれていた。

声も

体温も

服装も、装飾品も

全部、嫌なほど覚えてる。

朝起きていちばんに君の目の前へ行く。

 結陽 

おはよ、舞夏

夏が舞う、と書いてマナ。

 舞夏 

おはよう

 舞夏 

今日は早いね

 結陽 

仕事、午前からだろ?

陽を結ぶ、と書いてユウヒ。

 舞夏 

そう、食べちゃって

 結陽 

僕らは正真正銘

生きていてはいけない人物だ。

締め切ったカーテン

〈 現在逃走中の 相川舞夏容疑者は _

垂れ流したテレビの音

 結陽 

…名前まで出てる

 舞夏 

顔が割れるのも時間の問題だね

 結陽 

なんでそんな飄々としてんの

 舞夏 

有名になっちゃったなぁ、って

 結陽 

ふは、確かに

 舞夏 

結陽がバレるのはいつかな

 結陽 

当たったら千円な

 舞夏 

どうせなら一万賭けようよ

 結陽 

おっけ、じゃあ _

‪”‬‪ 嘘じゃないよ ”‬

それはあまりにも突然の事で

なんで家がバレたのかも、僕がバレてたのかも

なにも分からないまま

 

相川舞夏、緋色結陽だな?

 結陽 

…え

 舞夏 

あぁ、はい

ただ、君との約束だけが頭の中を駆け巡って

 舞夏 

ね、結陽

 舞夏 

バレちゃったね

 結陽 

…うん

 結陽 

‪”‬‪  、       。 ”‬

君との合図。

きっと、絶対 いつかまた君と出会えるから

 

午後4時51分、一家連続殺人容疑で _

 

ッあ、逃げるなッ

 

おいッ!!

仕方のなかったことなんだ

あの家族は ‪”‬‪ 死なないといけなかった ”‬ 。

ただ、それだけ。

 結陽 

あ、夕日

‪”‬ 本当に綺麗だね ‪”‬

 舞夏 

あの家族だけは、殺さないといけない

ずっと叶えたかった夢が、

貴方を縛っていないだろうか。

 結陽 

…うん、殺そう

 結陽 

君と僕を傷付けたもの、全部

それを ‪”‬ 諦めていい ‪”‬ と

 舞夏 

…バレるのも時間の問題

 舞夏 

だから、俺から逃げて

言える勇気が

 結陽 

ううん

 結陽 

僕は一生、君についてくと決めたから

俺にもあったら

 舞夏 

もし、俺らが見つかったら

 結陽 

うん

本当に欲しかったものも

 舞夏 

一緒に逃げよう

 結陽 

…うん、それで死のう

カバンもペンも、捨てよう。

 舞夏 

… ‪”‬‪ 夕日がキレイだ ”‬

 結陽 

ん?

 舞夏 

合図、俺か結陽が言ったら逃げよう

 結陽 

いいね、そうしよう

貴方は美しくて

マトリカリアみたいにキレイで

だから、運命だと思った。

そんな貴方を殴った母親は

性犯罪を犯した父親は

罵り 刃物を向けた兄は

絶対に、死ぬべきだった。

ただ、今思えば

‪”‬ 貴方の意見を、もう少し聞けばよかった。 ‪”‬

僕と君とでは、なにが違う?

 

お前、死ねよ

 結陽 

待ってよ…なんで、

同じ生き物さ、そう分かってる。

 結陽 

兄ちゃん…ッ

でもね 僕は何かに怯えている。

 舞夏 

…もう、大丈夫

 舞夏 

もし結陽がよかったら、俺と生きよう

きっと、正常な判断なんて出来なかった。

 結陽 

……、

 結陽 

…うん、そうする

ただ、逃げたかった。

それだけ。

 結陽 

舞夏ー!

 舞夏 

んー?

青すぎた春を

 結陽 

見て、花

 舞夏 

お、なんて花か知ってるか?

忘れずにいたいと

 結陽 

ううん、知らない

 舞夏 

これはな、マトリカリア

駆けるは 雪の大地

 舞夏 

…正直 生きてちゃいけないと思う

 結陽 

あんな家族

その先の言葉は

普通なら発しちゃいけない。

 結陽 

…僕も

でも、普通を教えてくれなかったのはアイツらだから

 結陽 

僕も、死ねばいいと思う

特に理由は分からないけれど

きっと、君が大好きだった。

愛してた。

 舞夏 

結陽

 結陽 

舞夏!

君の遺書にはこう綴られていた。

 舞夏 

ごめん、遅くなった

 結陽 

全然いいよ、見つからない内に死のう

僕との日々が大切だったこと

 舞夏 

これ、薬

 結陽 

…あのさ

僕を大切にしなかった人達が憎かったこと

 結陽 

最後に、ちょっと話そうよ

殺したのは 悪かったと言うこと

 舞夏 

ああ

それまでが前文。

その後は僕に向けて。

 舞夏 

結陽を拾った時 _

あの日、泣いたのは

 舞夏 

…いや、盗んだ時

 結陽 

1か月前だけどね

僕のせいではないと言うこと

 結陽 

なんで泣いてたの

それは嘘じゃないということ

 舞夏 

ゆうひ がキレイだったから

きっと、今から泣くのも

 結陽 

どっちさ

絶対に僕のせいじゃないということ

 舞夏 

さぁ、想像に任せる

 結陽 

…それ、摘んで

 舞夏 

最後の最後は

僕と花占いがしたいと言うこと

 結陽 

すき、きらい、すき…

実は、僕も同じこと思ってたことを書き足して

 舞夏 

…ふは、ウケる

 結陽 

…… すき、きらい

 舞夏 

…あーあ、ツイてねぇわ

 結陽 

ううん、見て

 結陽 

赤ちゃんの花弁、これで ‪”‬‪ すき ”‬

君は初めて驚いた表情を見せて

 舞夏 

…ああ、俺も好き

ちぎった花弁を両手に集めて

伏し目がちにこう呟いた。

‪”‬‪ 結陽は、マトリカリアの花が良く似合うよ ”‬

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コメント

7

ユーザー

解説

ユーザー

は ぁ ら ぶ で す 。 花 言 葉 も 素 敵 . . 🍀 待 っ て B L だ 、 ? ! ? ! 好 き ! ! 内 容 も 言 葉 も 全 て 最 高 で し た 🫰🏻

ユーザー

花言葉、使ってるのかな? 詳しくないからよく分かんないけどね笑 テーマにするものがすごいな 私にはない発想でまじ尊敬! テーマをこんな自然に表せるのすごすぎるって!!

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