君に出会ったのは……
公園だった
当時冬だった為すっごく寒かったのを覚えている
俺は学校帰りでマフラーに顔を埋めて帰っていた
そんな時……
橙
……
君と出会った
君はベンチにちょこんっと座っていた
俺は君を見た時……
他の人とは違う何かを感じた
こんなに寒いのに君は動かずじっと枯れた木を見つめていた
俺は何故か話しかけられずにはいられなくて……
桃
あの……隣、いいですか?
そう声をかけた
すると君はきょとんっとした顔になり
紙とペンを取り出した
俺はよく分からずその場で立ちつくしてしまった
橙
『あの……今、話しかけてくれましたか?』
そう紙に書かれた
俺は意味が分からなくて頷くことしかできなかった
すると……
橙
『俺、耳が聞こえなくて……』
と、書いた
俺はあまりのことに驚きを隠せなかった
そこから俺と橙は紙で他愛のない会話をした
その時間がなんか……
すっげぇ楽しかった
桃
(……にしても、橙薄着だなぁ、寒くないんかな…)
俺はカイロで温まった手で橙の手を握ってみた
彼は少しビクッとした
桃
……って、冷たッ!!
俺はすぐさま紙にペンで文字を書いた
桃
『橙、手冷たすぎ……!寒くないの?』
橙
……!、
橙
『寒い……かも、』
寒いんだろ……寒いって言えよ……ッ、
桃
『ちょっとまってて』
……と、俺は書き残し自販機でお汁粉を二つ買った
桃
……ん、
橙にお汁粉を渡すと橙はきょとんっとした
桃
『あげるよ』
橙
……っ!!
橙
『ありがとっ!』
その時橙はにこっと笑った
桃
……っ、/
その笑顔が可愛くて……
でもどこか切なくて……
俺は思わず……
桃
……
ぎゅぅ……っ、
抱き締めてしまった
橙
……っ、!?/
俺がゆっくり離れて橙の顔を見た
色白だった顔が桃のように赤くなっていた
桃
……かわぃ、
そんな姿がすっごく愛おしくてたまらなくて……
桃
『病院まで送る、どこか教えて?』
橙
『分かった』
君の真っ赤な顔は一向に変わらなかった
そんな初々しい君を……
俺はこの日からずっと守りたいって思ったんだ