暑さで喉の水分を奪われたのだろうか。
左隣からは掠れた、意味を成さないただの〝音〟が漂ってきた。
確実に暑さにやられている。 そうじゃなきゃこんなに脳が溶けた発言なんてしないだろう、たぶん。
彼の馬鹿な質問に答えたわたしの声も、思ったより掠れていた。
──7月某日。
今日も今日とて猛暑日で、土砂降りの陽射しの中、私と彼は傘を持っていなくて。喉の奥に言葉が張り付いては思考に絡まり、肌には前髪だとか襟足だとかが張り付いて、輪郭を際立たせる。
───そんな何処にでもあるような夏の日。
気がついたときには18歳になってしまっていた少年と少女は
秘密基地にて、ひと夏の逃避行を。
彼は知りたがりだった。
それで見栄っ張り。
・・・の割には結構馬鹿。
自分に忠実な野郎で
昔のことには興味無くって
気兼ねなく笑えて
それでいて。
馬鹿で、賢かった。
それならなんで、って聞きたげな双眸がわたしを見つめる。
掠れた声で返事をした彼は、「これだから賢いヤツって嫌んなるよ」って
わらって
笑って
微笑って
嘲笑って
嗤って、そのまま。
サイテーでサイコーな最期の夏の
花火と成った
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お久しぶり、ちょっと報告あるんだけど、時間ある?