主
サボりました
人間界の夜。
えとは一人、鎌を抱えて静かに歩いていた。
街灯の明かりに映る自分の影が、いつもより長く伸びて見える。
えと
……会いたくない
小さく呟いたその言葉は、心の中の葛藤を映していた。
ゆあんと過ごす時間は楽しい。
けれど、天界と冥界の掟が重くのしかかり、胸を締め付ける。
その頃、ゆあんもまた天界の警告に悩まされていた。
上位天使
えとと関わるな
と上位の天使に釘を刺され、心では彼女に会いたい気持ちと戦っていた。
翌夜、偶然出会った二人。
えと
……久しぶりね
えとは冷たく言った。
ゆあんは、少し戸惑いながらも笑顔を作る。
ゆあん
えと……話したいことがあるんだ
えと
私も、あなたに言わなきゃいけないことがある
互いに言葉を選ぶが、どこかよそよそしい。
ゆあん
いると楽しい……でも、掟が
ゆあんは呟いた。
えと
同じよ。あなたといると心がざわつく。
えと
でも、死神として、守らなきゃいけないものがある」
沈黙が二人を包む。
互いの顔を見れば、言葉にできない感情が透けて見える。
笑いたいのに笑えない、触れたいのに触れられない。
えと
……やっぱり、離れるしかないのね
えとの声は震えていた。
彼女の綺麗な瞳に、普段見せない寂しさが滲む。
ゆあん
……ああ
ゆあんも赤い瞳を伏せた。
無理に笑おうとしたその表情に、えとは胸が痛む。
夜風が二人の間を吹き抜ける。
すれ違う心。
互いの気持ちは確かにあるのに、掟という見えない壁が二人を引き離そうとしていた。
そして、その夜も、えとは独り歩く。
胸にわずかな温もりを残して——。






