コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
主
人間界の夜。
えとは一人、鎌を抱えて静かに歩いていた。
街灯の明かりに映る自分の影が、いつもより長く伸びて見える。
えと
小さく呟いたその言葉は、心の中の葛藤を映していた。
ゆあんと過ごす時間は楽しい。
けれど、天界と冥界の掟が重くのしかかり、胸を締め付ける。
その頃、ゆあんもまた天界の警告に悩まされていた。
上位天使
と上位の天使に釘を刺され、心では彼女に会いたい気持ちと戦っていた。
翌夜、偶然出会った二人。
えと
えとは冷たく言った。
ゆあんは、少し戸惑いながらも笑顔を作る。
ゆあん
えと
互いに言葉を選ぶが、どこかよそよそしい。
ゆあん
ゆあんは呟いた。
えと
えと
沈黙が二人を包む。
互いの顔を見れば、言葉にできない感情が透けて見える。
笑いたいのに笑えない、触れたいのに触れられない。
えと
えとの声は震えていた。
彼女の綺麗な瞳に、普段見せない寂しさが滲む。
ゆあん
ゆあんも赤い瞳を伏せた。
無理に笑おうとしたその表情に、えとは胸が痛む。
夜風が二人の間を吹き抜ける。
すれ違う心。
互いの気持ちは確かにあるのに、掟という見えない壁が二人を引き離そうとしていた。
そして、その夜も、えとは独り歩く。
胸にわずかな温もりを残して——。