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TELLERのお題

8 - 彼女はずっと待っている。後編

♥

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2020年06月21日

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夏菜これあげる。

わぁ、ありがとう!

俺のとお揃いだ。

うん、 大切にするね!!

しまった! 今日はバス停で夏菜に 呼ばれてたんだった。

急がないとっ!

タッ

タッ

タッ

あっ、夏菜もう来て

キキィー!!

ドゴンッ!!

…えっ…

…夏…菜?

…なんで…どう…し…て…

ああああああああぁぁぁっ!!

…そう…か…

夏菜は…俺の…

幼じみだ。

蓮は、 夏菜との記憶を 思い出した。

夏菜と一緒にいた記憶。

夏菜に手作りのお守りを あげた記憶。

そして、

バス停の前、 蓮の目の前で事故が 起こり、夏菜が 死んでしまった記憶を。

ああ、そうか。

血の流れた中の
夏菜の姿を

俺は忘れたかったんだ。

夏菜を思い出せば、
辛さや怖さを思い出すから。

だから俺は…

大切な人の記憶を 忘れてしまった。

夏菜…ごめんな。

明日の朝、 始発のバスに乗ります。

ふと蓮の頭の中に 夏菜の言葉を思い出す。

行かないとな。

〜バス停~

ダッ

ダッ

ダッ

…いた。

夏菜っ!!

夏菜

蓮さん!?

夏菜

なんでここに
来たんですか?

やっと…思い出したよ。

夏菜

!!

ずっと待って
くれたんだな。

待たせてごめんな。

夏菜

……。

夏菜

…やっと…来てくれた。

夏菜

相変わらずだね。
蓮君。

夏菜

昨日、蓮君にやっと会えた
のに蓮君、忘れてるから
悲しかったよ。

夏菜

だけど、思い出して
くれたんね。

…ごめんな。
夏菜が死んだ事が辛くて
忘れていたんだ。

大切な幼なじみなのに

夏菜

良いよ。
最後のお別れにまでに
思い出してここに
来てくれんだから
私、嬉しいよ!

最後の別れ?

夏菜

うん、
このバス停の噂、
覚えてる?

5:00になると、
天国に行けるバスが
停るってやつか?

夏菜

そう。

夏菜

私、今日、
天国に行くんだ。

…もう会えなくなるのか?

夏菜

……そうだね。

夏菜

あっ、きた。

プシュ〜

バタンッ

天国行きと書かれた バスがバス停に停まり、 扉が開いた。

夏菜

もう行かないと。

待ってっ!
俺も

夏菜

蓮君、
駄目だよ。

夏菜

これ乗ったら、
死んでしまうよ。

それでもいいっ

夏菜と一緒にいたい!

もういなくならない
でくれ。

夏菜

……蓮君。

夏菜

蓮君はまだ死んじゃ駄目。
私の分まで生きてほしい。

夏菜

私はそばにはいないけど
天国でちゃんと見守って
いるよ。

夏菜

蓮君が歳をとって
天国に来るのを
ずっと待っているから、

夏菜

それまで生きて。

夏…菜…

夏菜

もう私を忘れないでね。

夏菜

確かに思い出すのは、
辛いかもしれない。

夏菜

だけど、
私達の思い出は
楽しかった事がいっぱい
だったじゃない。

夏菜

なのに、
忘れたら悲しいよ。

…わかった。

もう忘れない。

俺、
夏菜の分まで
生きるから、

天国で待っていて
くれるか?

夏菜

うん、待ってる!

夏菜

もう乗らなきゃ。

夏菜

このお守りは、
持っていくね。

ああ、
夏菜あげたやつだから
いいよ。

夏菜

うん、
ありがとう。
大事にするよ。

夏菜

最後に蓮君に
会えて嬉しかった。

夏菜

思い出してくれて
ありがとう。

こちらこそ、
思い出すきっかけを
ありがとうな。

夏菜

蓮、大好きだよ。

うん。俺も

夏菜

じゃあ、

またね

バタンッ

天国行きのバスが 動き出した。

夏菜を乗せて 空へと走っていく。

……。

また…な。

蓮は、 バスが見えなくなるまで 見送った。

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