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悠佑
りうら
りうら
真剣な面持ちで俺が悩んでた話題を 持ち出してきたことに、 驚きが隠せなかった。
悠佑
りうら
悠佑
不穏な話の止まり方だった。 それが気になって聞き返したが。
りうら
りうら
りうら
どう足掻いてもこの面倒な問いを前に 逃げることはりうらの両目が 許さないらしい。
悠佑
まだ、わからない。 わからないんや。
悠佑
この知ってるはずの気持ちも、 何故か今は、知らないものみたいで。
悠佑
そう、言葉にできたら、 まだこの曖昧な関係を続けられたかも なんて、俺も相当馬鹿らしい。
悠佑
悠佑
りうら
りうらは目を見開いた。 その瞳を、美しいと思うのは 可笑しなことだろうか。
りうら
りうら
俺の肩を揺らして体ごと迫ってくる りうらを前に、耳を塞ぎながら 俺は答えた。
悠佑
我慢できずに、鬱憤を吐き出した なんともまあ、馬鹿らしい。
りうら
りうら
得意げに語るりうらを横目に、 俺は初めて出会った時のことを 思い出した。
悠佑
りうら
それは、意外なーそうとは思わなかったー答えであった。
りうら
悠佑
本当にわからない。 人魚のモラルやらなんやらを 語れる立場にはこの人魚はいない。
りうら
歯切れが悪そうに言葉を詰まらせ、 目をキョロキョロさせている。
りうら
りうら
ヤケクソだと言わんばかりの答え方だ だが俺はその中で"綺麗な人"という ワードが気になった。
悠佑
りうら
りうら
りうらは多分、眼科に行った方がいい それか人魚の価値観が可笑しいだけ なのだろうか。
りうら
信じられないといった感じでいた りうらは、少しの間を空けた後 口を開き、俺の名を呼んだ
りうら
りうら
りうら
りうら
蜂蜜のようなとろけた甘い瞳で、 りうらが見つめるから、俺の顔に 熱が集まっていくのを感じた
悠佑
お前馬鹿やないのか!!と いうつもりやった。
悠佑
けれど、ここには 馬鹿が2人もいることを思い出して、 思わず吹き出してしまった
悠佑
りうら
一度、驚きを隠せなかったのか、 目を見開いていたが、次の瞬間、 りうらも目を細めて笑った。
りうら
悠佑
その笑顔が無邪気で可愛くて、 ああコイツのこと、俺はちゃんと 好きなんやな、と感じてしまった
りうら
りうら
りうら
徐々にりうらの手のひらが俺の顔へと 伸びてきて、ついには頬に触れた
りうら
悠佑
悠佑
りうら
小っ恥ずかしいと俺が感じている中 少しの沈黙が訪れる。 その沈黙を破ったのはりうらだった。
りうら
悠佑
りうら
唐突な質問に、俺はすぐには 答えられなかった。 今までの会話になにもその要素が なかったのに。
悠佑
りうら
りうら
りうらは多分、焦っているんだろう 急かすような口調と、緊張感溢れる 表情がそれをものがったっていた。
悠佑
悠佑
少しの思案のあと、俺は海と答えた 陸もいいところはたくさんあるし りうらに教えたいものも、沢山ある。
悠佑
悠佑
けれど、俺が陸にいるのはもう、 心が耐えられなそうだ
悠佑
りうら
どこか安心したようなため息にも似た 声で相槌をりうらはうった
りうら
りうら
悠佑
言葉の意味が、よくわからない。 俺は人間で、りうらは人魚だ。 陸と、海。 そこにしか両者ともいられないはずだ
りうら
りうら
りうら
りうら
とても魅力的な提案に聞こえる。 まあそれが妄言でなければの話だが
悠佑
悠佑
悠佑
想像してみると、妄想に収めるには 少々離れ難いものとなってしまいそうな予感がした。
りうら
りうら
悠佑
りうらに賛同したからか、やけに 張りのある声で返事があった。 そして、薬の効果。衝撃的な内容で あることは予想できた。
りうら
りうら
りうら
デリカシーというものをやはり、 置いてきているんじゃないだろうか と思うほどには驚きの内容だった
悠佑
つい、実際してみたらどうなるのか… 想像して、勝手に恥ずかしくなった。
りうら
りうら
りうら
もはやりうらの友人はどこぞの 青狸…もとい猫型ロボット なのでは と思い始める程度には不思議な薬だ
悠佑
流石にりうらの友人をロボット、と いうつもりはないので、良く似た話… 人魚姫を話題に上げた。
りうら
りうら
悠佑
人魚姫はいわば、人の創作物の一つだ そう信じていたから俺は初めての時 驚けたのだ。地上で有名だから、 もしかしたら聞いたことがある程度 なのかもしれない。
りうら
りうら
りうら
りうら
りうら
思っていたよりもしっかりと内容を 把握していることにも驚いたが、 思っていたよりりうらは感情移入の 激しい奴らしい。
悠佑
バッドエンドが嫌なのは俺も同感だが 全て幸せで終わるなんて、あり得ない いつだって現実は甘くないんだ。
りうら
悠佑
今俺はある意味、人魚姫の アンチテーゼをしてるのかもしれない りうらの言葉でそう思った。
りうら
悠佑
りうらは、おかしなこと言う。 お姫様と言ったらもっと可愛くて、 純粋無垢な子のことだろうに。 俺が否定するとりうらは口をあけて 笑った。
りうら
……ほら、見てみればわかる。 りうらの方がよっぽどお姫様や。
りうら
りうら
悠佑
未だに人魚の価値観というものは わからない。 俺のことを美しいと思うのはやはり りうらの目が腐ってるからだとは思う
りうら
りうら
悠佑
初めて会った時の印象がどうにも 他の思い出よりも強すぎて、 りうらの放った言葉すら正確に 言えそうなほどである。
りうら
無理矢理話を切るように、 大声をあげてりうらは続けた。
りうら
りうら
悠佑
顔を近づけ声を張って迫るりうらに 俺はてきとうに対処した。
りうら
りうら
頬袋を膨らませてフイッと横を 向いたあと、また俺の顔の方へ 向き直った。これが俗にいう "あざとい"というやつだろうか。
りうら
りうら
悠佑
悠佑
やりたいこと、というのは 突然言われると思いつかないものだ。 昔は…やりたいことたくさんあった はずなのだが、今はもうない。
悠佑
りうら
悠佑
自分でも良くわかっていないが、 料理はそれなりに嗜んできた方だ。 一時期は料理人を目指したほどには。
りうら
りうら
りうらの俺の願いに応えようとする その想いだけで、なんだか腹いっぱい になった。
悠佑
悠佑
悠佑
思い返してみると本当に、 今日人生終わるのが分かってたみたいにほとんど使い切っていた。
悠佑
りうら
悠佑
りうらはなんとなくだが、 陸地という新しい場所に憧れに似た ものを持っているように感じた。 目をまん丸とさせているから、 そうではないかもしれないが。
りうら
少しの間をおいてりうらは話し始めた 恥じらいを感じているように見えるが やましいことではないと信じたい。
りうら
悠佑
りうら
なんだか拍子抜けだ。 てっきり良からぬことかと思っていた が、どうやらりうらは思ったよりも 純粋らしい。
悠佑
悠佑
りうら
この辺りのことをとても詳しい、 というわけではないが紹介程度なら できるだろう。 りうらも喜んでくれているようだし。
悠佑
悠佑
りうら
満足気な笑みを浮かべ、ひときわ 大きな声で感謝の言葉を述べられた そのりうらのなんと可愛いことか 変な笑みが溢れそうになったのを 俺は慌てて抑えて話題を出す
悠佑
りうら
りうら
りうら
もじもじしながら話すりうらは まるで乙女のようだった。 デートという単語ですら緊張して いるようだ。少し意外だ。
悠佑
りうら
りうら
悠佑
あれは俺にとって人生の転機だったの だから印象が強く残っている。 そのためあと数十回はいじるだろう という謎の自信がある。
りうら
悠佑
これに関しては言い訳の余地も何も ないためさっさと行動に移すことが 一番良い策だ。ということで
悠佑
りうら
ある程度辺りを歩きまわった頃、 疲れてきたのもあるが、りうらが 飽きてきたのではないかと思い 近くの公園へと立ち寄った
悠佑
悠佑
りうら
心配そうな表情をしているが 気を使ってるわけではない。 さてどう言おうか
悠佑
悠佑
俺は極力人と接したくないという理由で選んだ土地のため人は少ないし 交流も少なそうな遠めの家にしたのだ だから景色は簡単に言えば平らだ。
りうら
悠佑
りうら
悠佑
最初の田んぼやら畑やらでも 興奮気味になってくれたのは 嬉しい誤算だったがそれだけで やり過ごすには流石に無理がある
悠佑
りうら
紹介すると言ったのは自分だから その責任を取ろうとしただけなのに 何故か感激されているようだ。
悠佑
りうら
悠佑
りうら
ぎこちない発音に案の定知らない 遊具、ブランコの前へと りうらを連れていった。
りうら
悠佑
説明するよりよっぽどやった方が 早いため、思い切り蹴り出した。
りうら
悠佑
もう夏も近いが今夜は夜風が当たり 丁度良い心地になっている。 そのおかげもあってか随分と楽しく、 そして懐かしく感じられた。
りうら
意気揚々とりうらはブランコに座り ゆっくりと漕ぎ出して、 だんだんと勢いを出していった。
りうら
りうら
悠佑
りうらが楽しんでいるようで、 本当によかった。 りうらがやってる間に俺はもう ブランコをただの椅子として扱ってた
りうら
悠佑
りうら
数分後
りうら
体力の限界がきたのか、息をきらし ブランコをこぐのを止め、 俺と同じように椅子として扱ってる りうらの姿がそこにはあった
悠佑
りうら
悠佑
なんでか少し嬉しそうに微笑んだため 一応念のため釘を刺しておいた
りうら
悠佑
子供以上に無邪気に遊ぶりうらが、 そんな姿が見たかった俺はもう ぶっちゃけ大満足だ。
りうら
悠佑
りうら
あの有名な告白の言い回しかと 思ったがどうやら単純に綺麗だと 思っただけのようである。
悠佑
悠佑
りうら
悠佑
月を見ていたらなんとなく、 言いたくなった言葉が、 いつのまにか声に出ていた
りうら
悠佑
瞬時に真っ赤に染まり、 目を丸くしたりうらの顔が とてもそう間抜け、だったのだ だからつい笑った。
りうら
りうら
悠佑
これは少し意地悪かもしれないな、と思いつつ抑えられないのは りうらが期待よりも上の反応を 示してくれるからだろう。
りうら
りうら
りうら
流石に、「いつでも言って下さい 」 はないだろう。やっぱりりうらは りうらなんだなと感じる。
悠佑
りうら
悠佑
りうら
少し呆れ顔になっている。 唇をとんがらせてもう言うことなんて 聞かないといってるような、 子供みたいな顔をしてる。
悠佑
りうら
悠佑
意地悪はまだまだ続くのだから、 少しくらいは慣れてもらわないとだ 顔を見合わせて詰め寄ると りうらは口を開いた
りうら
悠佑
悠佑
笑みを抑えきれなかったために、 溢れ出た声を途切れさせるために 思いっきり感謝した。 こういうときの、素直なりうらも 大好きだなと思いながら。
りうら
悠佑
りうら
俺の方を向いて少し間があってから どこか心境に変化があったような 言い方をしていた。つまり
悠佑
悠佑
りうら
悠佑
りうら
ほぼほぼやけになって叫んでる感じ だったがそれでも十分だ。 拗ねたりうらも可愛いのだから。
りうら
りうら
悠佑
悠佑
りうらがブランコを漕ぎ出して また夜風が吹いた。 こんなに夜空が綺麗なのだ。 明日もきっと晴れるだろう。
時はすぎ、俺たちは俺の家の前の 海辺へとやってきていた。
りうら
悠佑
地上には確かにお世話になった人が 大勢いるが俺にはその人たちよりも 大切なもの、大切な人魚ができた
りうら
りうら
決意を固めたのだろう、そんな まっすぐな瞳だ。 すぐにでも、射抜かれてしまいそうだ
悠佑
りうら
わけがわからないと言った風な 様子のため少し説明をすることにした
悠佑
悠佑
悠佑
悠佑
母なる海、とはよく言ったものかも しれないなと思った。 今日確かに新たにうまれるのだから。
りうら
りうら
悠佑
肯定されたのが嬉しかった。 だが咄嗟にでてきた言葉だから 俺らしいかはわからなかったが りうらが言うならきっとそうなのだ
りうら
りうら
りうら
りうら
先ほどの言葉で俺の決意も 伝わっていたようだ。 りうらは優しいからこそ、 感情がよくわかるのだろうと思う
悠佑
悠佑
りうら
大きな返事をするとりうらは海へと 駆け出していった
りうら
悠佑
差し出された手を俺は迷わず握り 暗く揺れる…されど月の光を受け 光り輝く海へと、りうらと共に 乗ったのだ
悠佑
りうら
だんだんと近づいていく距離、 もう目と鼻の先にりうらの顔がある。
悠佑
りうら
一言、そうかわしてから。
ひとりの人魚がうまれた