颯斗
ただいま
久しぶりに帰ってきた家。
意外にもきれい好きななおくんの割には部屋の中は散らかってぐちゃぐちゃで、一体どんな生活をしていたんだろうと心配になる。
颯斗
体しんどくない?ちょっと寝る?
直弥
大丈夫、だから...颯斗と...颯斗と、一緒にいたい...
ソファに2人で並んで座る。
顔色はだいぶ良くなってきたけど、俺の手をつかんだり離したり...とまだ落ち着きがない感じが残っている。
颯斗
なおくん
聞いてもいいのかなとずっと様子を伺っていたけど、意を決して口を開く。
直弥
ごめんっ!
颯斗
え?
直弥
ごめん....
直弥
ねぇ、別れるとか言わないで。
俺、まだ颯斗と一緒にいたい..。
ねぇ、お願い、
俺、まだ颯斗と一緒にいたい..。
ねぇ、お願い、
静かに涙が溢れるなおくんに、 近づいていいかの確認をとってから傍に寄る。
颯斗
俺も別れようなんて思ってないよ?
なおくんのこと大好きだから。ね?
心配しないで?
なおくんのこと大好きだから。ね?
心配しないで?
直弥
颯斗...。
俺も、俺も颯斗のこと....大好き....
俺も、俺も颯斗のこと....大好き....
なおくんの気持ちも分かって、 俺の問題は解決……
でも、まだなおくんの問題が残ってる。
颯斗
あのさ、話づらいことかもしれないけどさ。
やっぱり教えて?
やっぱり教えて?
颯斗
俺、もしなおくんが1人で困ってたら嫌だよ
颯斗
...電車、何かあった?怖いの?
電車というワードだけでもビクッと過剰に反応して、ソワソワとしだす。
なおくんと目を合わせ、 「大丈夫」と繰り返せば、 ポツリポツリと話始めた。
直弥
一か月くらい前に...電車で......知らないおじさんに触られて..怖くて...
颯斗
っ、そっか、
それは怖かったね、
それは怖かったね、
つまり、電車で痴漢にあったって事か。
直弥
颯斗にも...言おうと思ったんだけど...言えなくて...
颯斗
教えてくれてありがとう
颯斗
そういえば大学までどうやって行ってたの?
ふと沸き上がる疑問。
あの状態で無理して電車に乗ってたとは思えない。
直弥
……自転車
颯斗
え!?自転車!?
...1時間くらいかかるよね
...1時間くらいかかるよね
直弥
うん...でも、電車乗るよりマシで
颯斗
もぉ、もっと早く言ってよ。
何があってもなおくんのことが一番大事なんだから
何があってもなおくんのことが一番大事なんだから
颯斗
1人で毎日自転車なんて大変だったでしょ?
颯斗
電車だって、1人で乗るより2人のほうが安心でしょ?
颯斗
それでも無理なら、自転車も付き合うから。
俺にも協力させて?なおくんが1人で苦しんでたら俺も嫌だよ
俺にも協力させて?なおくんが1人で苦しんでたら俺も嫌だよ
おいで?と腕を広げればなおくんが胸に飛び込んできて、ようやくぎゅっと抱きしめられた。