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あのぅーこんな夜中に (現在時刻午前1時30分) こんなに素晴らしい物を みて良いのでしょうか…✨
結婚してえええーー!!!
"(∩>ω<∩)"かわいい
ようやく落ち着いた麗央は、「……お風呂、入ってくる」とぽつり呟いて、バスルームへと向かった
その背中を、4人は何も言わずに見送る
さっきまでの涙の名残りが、その足取りにまだ残っていた
──しばらくして、バスルームの扉が開く音
湯気の中から現れたのは、少し頬を赤くした麗央だった
麗央
タオルを髪にくしゃっと被せたまま、麗央はちょっと不機嫌そうに4人を見やったが――
その姿に、全員の視線が一瞬止まった
大きめのTシャツを一枚だけ羽織って、下には、何も履いていない
いや、正確にはパンツくらいは履いているのだろうけど、
丈が太ももの半ばまでしかなくて、そのまま動けば見えそうなほどに危うい
朔矢
最初に声をあげたのは朔矢だった
口元は笑っているのに、目が据わっている
朔矢
麗央
朔矢
麗央は真っ赤になって、バスタオルを探すようにキョロキョロするが、すでに手遅れだった
龍牙
龍牙が手招きしながら、ソファのほうをぽんぽんと叩く
しぶしぶ近づいた麗央を座らせると、後ろに回って、バスタオルで頭を包んだ
龍牙
零斗
零斗が立ち上がって、コードをコンセントに差す
ぶぅん……と音がして、温風が麗央の髪に当たった
蓮
蓮が前に回り、濡れた前髪を軽く手で押さえながら、目を見つめる
蓮
麗央
蓮
蓮の指が、そっと頬に触れた
麗央はバッと視線を逸らすが、その耳は真っ赤だ
龍牙
ドライヤーをかける龍牙がぼそっと言うと、「分かってる」と麗央はむくれた顔で答える
けれど4人は、誰一人として“見ないようにしよう”とはしなかった
むしろ、揃いも揃ってじっと見つめていた
この無防備な姿も、赤くなった耳も、泣いたあとに甘えてくるその距離も、全部――たまらなく愛おしい
零斗
ぽつりと、零斗が呟いた
麗央
零斗
熱いドライヤーの風のなか、少しだけ空気も熱を帯びていく
でも、誰も触れない
もう泣かせたくないと、全員がそう思っていたから――
髪の毛を乾かしてもらいながら、麗央はふと、小さく笑った
麗央
その一言に、4人の表情がふっと和らぐ
“俺には、みんなしかいないのに”
さっきの言葉が、ふと頭をよぎって。それをもう一度噛みしめるように、全員が、優しい沈黙を守っていた
ドライヤーの音が止まり、しん……と静寂が戻る
龍牙
タオルを外して、髪の様子を確認した龍牙がぽつりと呟く
麗央の髪はふわっとしていて、少し寝癖がつきそうな箇所を指先で整えると、どこか満足げにうなずいた
麗央
麗央のその小さな声に、龍牙は「ん」とだけ返す
でもその顔には、さっきの涙も恥ずかしさも、ぜんぶ残っていて――誰もが、まだ触れられないでいた
龍牙
ぽつりと、龍牙が低い声で呼ぶ
龍牙
麗央
視線を逸らす麗央に、龍牙はため息混じりに笑う
龍牙
立ち上がると、ふいに麗央の手首を軽く引いた
龍牙
麗央
龍牙
麗央
龍牙
そう言って、ぐいっと引っ張られた手に逆らえず、麗央はよろけるように立ち上がった
麗央
龍牙
龍牙が振り返って、いつもの飄々とした笑みを浮かべる
でも、その目の奥にあるのは、本気の心配だ
麗央
小さく、ぽそっと呟いた麗央の返事に、
龍牙は「素直でよろしい」と笑って、そっと手を引いたまま、別の部屋へと向かっていった
リビングに残った3人は、呆れたように、でも少し安心したように見送りながら
蓮
蓮がぽつりと呟いた
朔矢
朔矢が笑う
零斗
零斗が小さく毒づく
けれど、その声色には、どこかあたたかな気配が滲んでいた
それぞれが、あの無防備な姿を思い出しながら
“甘えられる誰かがいる”という安心を、麗央に与えられたことに、少しだけ安堵していた
暗い部屋のなか、ドアが静かに閉まる
しんとした空気の中に、ふたり分の足音だけが微かに響いた
麗央
龍牙
麗央
ベッドに腰を下ろすと、シーツの冷たさに少しだけ肩をすくめる
龍牙は照明を落として、柔らかい光だけを残した
龍牙
麗央
龍牙
軽口を交わしながら、麗央は用意されたTシャツの裾をぎゅっと引き下げた
布団に潜り込むと、ようやく安心したのか、小さく息を吐く
そのまま横になった麗央の隣に、龍牙が何のためらいもなく滑り込んできた
麗央
龍牙
麗央
龍牙
そう言いつつも、龍牙はぐいっと腕を回して、隣でモゾモゾしていた麗央を、自然な動きで引き寄せた
麗央
龍牙
耳元に低く響く声
腕のなかにすっぽり収まった麗央は、抵抗しようとして――でもやめた
あたたかくて、心地よくて
そして何より、その腕のなかにいると、さっきまで胸の奥に残っていた不安が、すうっと消えていく気がした
麗央
龍牙
麗央
龍牙
麗央
龍牙
それきり口をつぐんで、しばらくふたりの間に、優しい静寂が流れた
腕のなかで、麗央が小さく身じろぎする
そのぬくもりが、胸の奥にじわりと広がっていくのを、龍牙は感じていた
龍牙
麗央
龍牙
麗央
その返事も、少し笑っていた
やがて、ゆっくりと、静かな寝息が聞こえ始める
腕のなかで眠る麗央の髪をそっと撫でながら、龍牙は目を閉じた
──今夜は、もう何も起こらなければいい
そう願いながら、ふたりはそのまま、静かに眠りについた
だいふく
だいふく