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──朝
薄くカーテンを透かした光が、ゆっくりと部屋に差し込んでいた
まだ冷たい空気が漂う静かな朝のなか、ベッドの上には、ふたり
麗央は、ぼんやりと目を開けていた
目の前には、すぐ近くで眠る龍牙の顔
昨夜あんなにくっついたのに、起きた今もそのままで――
いや、それどころか、よりしっかりと抱き込まれていた
(……近……)
龍牙の腕のなか、ぴったりと体を寄せられたまま動けずにいると、胸の奥が妙に落ち着かなくて、鼓動が変に早い
そっと抜け出そうと動いた、その瞬間――
龍牙
低く、かすれた声が耳元に落ちた
寝ぼけたように顔を寄せてきた龍牙が、ぐいっと腕に力を込める
麗央
龍牙
そう呟いて、額をくっつけるようにして抱き寄せてきた
完全に寝ぼけているらしい
けれどその腕はやけにしっかりしていて、麗央は抜け出せずにジタバタともがいた
麗央
龍牙
ようやく、重たいまぶたが少しだけ開いた
龍牙
麗央
龍牙
ぼさっとした髪をかき上げながら、龍牙はあくび混じりに身を起こす
麗央もようやく解放されて、ぷいっとそっぽを向いた
麗央
龍牙
麗央
ベッドの縁に座りながら、小さく文句を言ってる麗央の頭に、龍牙がぽんと手を置いた
龍牙
麗央
小さくうなずくと、龍牙は満足げに笑った
龍牙
そう言って立ち上がり、麗央の腕を引っ張って、何の抵抗も許さずに歩き出す
麗央
龍牙
そんなやりとりをしながら、ふたりは一緒に、リビングへと向かっていった
朝の、静かな空気のなか
ほんの少しだけ、昨日よりも麗央の顔は柔らかくなっていた
リビングに入ると、もう3人はそれぞれ出勤の準備をしていた
蓮はシャツの袖をまくりながら書類を確認していて、
朔矢はテーブルの端でコーヒーを飲んでいる
零斗はソファに腰かけてスマホをいじっていたが、ふと顔を上げた
零斗
麗央
小声で反論したものの、麗央の声はどこかまだ眠たげで、
それを聞いた零斗がにやりと笑う
零斗
麗央
言い返そうとしたが、後ろから龍牙が「ほら座れ」と背中を押すようにソファへと導いた
龍牙
麗央
素直にテーブルについた麗央の頭を、朔矢がぽんと軽く叩く
朔矢
麗央
頬をぷくっと膨らませながらも、用意されたパンをもぐもぐ食べる麗央
その姿に、3人の表情が自然とやわらいでいく
蓮
蓮がスーツの上着を羽織りながら声をかけると、麗央は小さくうなずいた
麗央
蓮
麗央
返事がツンとしているのに、言葉の端々が少し甘いのを、全員が分かっていた
玄関に向かうときも、麗央はもじもじと後ろをついてくる
麗央
零斗
零斗がそう言って、ポケットに手を突っ込みながらも、麗央の頭をわしゃっと乱暴に撫でる
麗央
零斗
麗央
慌ただしく靴を履く4人を、玄関の端で見送るように立っていた麗央
蓮が最後に振り返って、ふっと目を細める
蓮
麗央
それだけの会話なのに、どこか胸があたたかくなる
ドアが開き、冷たい外気が流れ込んでくる
4人は「じゃ、行ってくる」とそれぞれ手を挙げて外に出ていった
玄関に取り残された麗央は、ドアが閉まる音を聞きながら、小さくつぶやいた
麗央
その声は誰にも届かなかったけれど、きっとみんなに伝わっている気がして、
麗央は少しだけ頬を赤くしたまま、ゆっくりと部屋に戻っていった
だいふく
だいふく
コメント
12件
最高♥
まじうまいな最高だす
(𐊭 ࿁ 𐊭ˋ)♡⃛ 神さまカヨ