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僕は昔から、 苦手なことがあった。

I💙

じゃあ、今日の課題
提出できない人ー?

ほと💙

はい!I💙先生!

ほと💙

僕、忘れてたので
提出できません!

そう。 課題を提出することだ。

I💙

そんな堂々と
手を挙げるなw

I💙

また未提出か?w

ほと💙

はい!

しょ💜

い💙くん、
めちゃくちゃ
自信あるなw

ほと💙

だって苦手
なんだもん…w

苦手なのは課題だけじゃない。

ーーーをしなさいとか、 決められたことをするのが

僕は苦手なのだ。

I💙

とりあえずほと💙は
課題が溜まってきてるから

I💙

今日の放課後居残りな〜

ほと💙

えぇ!?
何でですか!?

I💙

先生と一緒にやるんや!w

I💙

わかったか?

ほと💙

はぁい…(´・ω・`)

しょ💜

い💙くんドンマイw

ほと💙

wwww

でも、僕がこうして 笑って誤魔化すと

みんなも笑ってくれるから。

ほと💙

(僕はそれでいいんだ…)

放課後

I💙先生と僕の 2人きりの教室。

僕は課題をして、 隣でI💙先生が テストの採点をしている。

ほと💙

φ(..)カキカキ…

ほと💙

(あ〜…
早く帰りたいなぁ…)

ほと💙

(今日の部活
行けなかったし…)

ほと💙

(まぁ、課題を
提出してない)

ほと💙

(僕が悪いんだけどね…)

そんなことを考えていると、 I💙先生が話しかけてきた。

I💙

…ほと💙。

ほと💙

…?

ほと💙

何ですか?先生…

I💙

ほと💙は…
将来の夢とかあるん?

僕は驚いて目を丸くする。

ほと💙

将来の夢って…w

ほと💙

小学生じゃないん
ですよ!?w

I💙

それくらい
分かってるわ!w

I💙

ただ…

I💙先生はどこか寂しそうな目で 机の解答用紙を眺める。

I💙

…ほと💙は、
どんな大人に
なるんかなって。

I💙

ちょっと
気になったんや。

ほと💙

へ〜…

僕はいまいちピンと来なくて、 少し素っ気ない返事をする。

ほと💙

だから僕に
将来の夢を…?

I💙

おん。
そうやで。

I💙

将来の夢は
無理に持てとは
言わへん。

I💙

やけど、ほんの
些細なことでも
持っといた方が

I💙

この先の人生の…
道標になるやろな。

ほと💙

へ〜…

ほと💙

将来の夢、ね…

I💙

ほと💙は無いんか?

I💙

将来の夢。

ほと💙

特にないかなぁ…w

僕はほんのりと 頭の中で未来を想像する。

将来、僕は 何がしたいのだろう。

今の自分と重ねてみて、 ゆっくり時間を掛けて考える。

ほと💙

あ、でも!

ほと💙

人を本当に笑顔に出来る
職業に就きたいかな!ニコッ

I💙

…!

僕は今、頑張って 人を笑わせているから。

もっとみんなを 笑顔にしたいんだ。

I💙

…そうか。

その時のI💙先生は とても優しく微笑んで、

I💙

ほと💙らしいな。ニコッ

そう言ってくれた。

ほと💙

えへへ…///
ありがと!

照れ隠しに僕は笑うと、 I💙先生は顔を赤くした。

I💙

ッ…///

ほと💙

あれ?先生、
顔赤くないですか?

ほと💙

大丈夫ですか?💦

僕がそう問いかけると、 先生は手のひらで顔を隠す。

I💙

お、おん…///
大丈夫やから…///

I💙

とりあえず、
今日はもう遅いし

I💙

ほと💙は帰ってええよ〜

僕は先生のその言葉に 目を輝かせる。

ほと💙

本当ですか!?✨

ほと💙

じゃあ帰ります!

I💙

めちゃくちゃ
嬉しそうやなw

ほと💙

はいっ!

僕は先生と話しながら 帰る準備を手際よくする。

ほと💙

じゃあ、
さようなら!

I💙

おう!

I💙

気を付けて帰れよ〜!

ほと💙

はーいっ!

夕日が照らす教室に、 先生だけが残った。

I💙

…今日も可愛かったなボソッ

そう言い残したことも知らずに。

半年後

時の流れは早いもので、 僕らはもう卒業式を迎えた。

ほと💙

しょ💜ちゃ〜ん!

ほと💙

僕らもう、
今日で卒業だよ〜!

しょ💜

そうやな〜!

しょ💜

結局い💙くんは
よく先生と居残り
してたなw

ほと💙

そうかもねw

あの日以降も僕は、 課題を提出日に提出することは 少なかった。

そのせいで何度も 先生と居残りしたのは、 今ではもういい思い出だ。

ほと💙

でも寂しいね〜…

しょ💜

寂しいなぁ…

そう言って2人で 桜の木を眺める。

花びらが風に靡(なび)いて 儚く散っていく。

しょ💜

…まぁ、僕らは
高校も同じ学校やし!

しょ💜

これからも
仲良しでいよな!

ほと💙

…!

ほと💙

うん!

そう2人で話していると、 I💙先生が手を叩いた。

I💙

はーい、みなさん!

I💙

最後のHRを
始めます。

そしてI💙先生は 淡々と話をし続ける。

学校行事のことや 日頃の授業等での思い出を 先生と分かち合う時間が

すごく早く感じた。

I💙

…そして最後に、
みんなに課題を出す。

ほと💙

えぇ〜!?

I💙

えぇ〜!?
違うねんw

僕が苦手な課題を課されることに 僕は少し憂鬱感を覚える。

ほと💙

(どんな課題なんだろ…)

僕はごくり、と息を飲む。

I💙

先生が出す
最後の課題は…

I💙

“幸せになること”や。

ほと💙

…!

先生の言葉が 頭の中でループする。

I💙

幸せになること…

I💙

これは一見、
簡単そうに見えるけど

I💙

幸せは案外、
簡単なことじゃない。

I💙

大きな幸せも、
小さな幸せも、

I💙

あくまでその捉え方は
人によって違う。

I💙

だから、少しでも
幸せだと思えたら

I💙

みんなが
20歳になる時の…
この日に、

I💙

この場所で集まれることを
先生は願っています。

僕らが20歳になる時… あと5年後か…

ほと💙

(5年もあれば、幸せは
見つけられるでしょ!)

僕はこの時、 この課題を楽観視していた。

…この日の先生の言葉も忘れて。

1年後

僕はあれから、 高校1年生になり

新生活が始まった。

1年生の頃は、 まだ学校に行っていた。

友達作りも、部活も、勉強も 割と上手くいっていた。

苦手な課題提出だって、 死ぬ気で頑張ってきた。

…でもある日、僕の中で プツンと音が鳴って何かが切れた。

そして僕はその日から、 何事も上手くいかなくなって。

学校に行けなくなった。

そして今、新2年生に なろうとしている。

ほと💙

はぁ〜…

ほと💙

何で進級しちゃうかな…

ほと💙

てっきり留学に
なると思ってた…

1年生の後半は、 授業も模試も受けていない。

でも、前半の調子が良かったのか 留学は避けられたようだ。

ほと💙

しょ💜ちゃんは今も
学校行ってるみたいで…

ほと💙

一緒に行こうって
誘われるけど…

ほと💙

いじめられるからな〜…

そう。

僕は学校に 行けなくなったあの日から、 悪質ないじめを受けていた。

ほと💙

学校に行ったら
いじめられるし…

ほと💙

かと言って
行かなかったら

ほと💙

またそれが原因で
嫌がらせされるし…

ほと💙

…あれ、なんで僕
生きてるんだろう…

…最近はこんなことを よく考えるようになった。

真っ白な天井を見つめて 考えるのは自分の死。

ほと💙

早く死にたい…なんて

ほと💙

いつから考えるように
なったんだろ…w

僕はぼーっと天井を見つめる。

ほと💙

もうすぐ夏休みか…

ほと💙

もう1年も学校に
行ってないんだな…

夏休み、という言葉を 思い浮かべるだけで

ふと夏の暑さを感じる。

ほと💙

…そうだ、
海に行こうかな。

ほと💙

こんな時間なら
誰もいないだろうし…

昔はよく、季節関係なく 海に行っていた。

海に行くと、何だか何もかも 忘れられていたから。

ほと💙

…行こ。

そして僕は 何も考えずに外に出た。

ほと💙

ん〜っ…(伸び)

僕は海に着くと、 思いっきり伸びをした。

深呼吸をすると、 心地よい潮風が肺を浄化する。

ほと💙

やっぱり誰もいない…w

ほと💙

11時だもんね〜…w

僕はそう呟きながら 浜辺を1人歩く。

…少し、海に入りたくなって

ほと💙

パシャッ(海に入る)

裸足になって海に足を運んだ。

ほと💙

ッ…!

ほと💙

冷たい…w

まだ海の水は冷たくて、 思わず声を出してしまう。

でも、冷たいはずなのに

ほと💙

パシャッ…パシャッ…(進む)

身体はどんどん沖へと進んでいき、

ほと💙

バシャアッ…

先程までくるぶし程しか 無かった海水が、

今はもう、腰ぐらいまである。

ほと💙

……

ほと💙

…あははっ……w

ほと💙

このままもっと進めば…w

ほと💙

死ねるよねッ…w

そして僕が更に進もうとすると、

I💙

…ほと💙?

どこか懐かしい声が聞こえた。

ほと💙

…!

僕が振り返ると、そこには

I💙

…?

I💙先生が立っていた。

ほと💙

あ…I💙先生〜…w

僕は笑って手を振る。

…でも、I💙先生は 笑ってもくれないし

手を振ってもくれなかった。

ほと💙

…?

僕が不思議そうにしていると、 先生は靴を脱ぎ、靴下も脱ぎ

I💙

ほと💙ッ…!!
バシャアッ…!

海に入ってきた。

ほと💙

…!?

I💙

ほと💙ッ…!
ほと💙ッ…!!

I💙

バシャバシャッ…!!

先生は僕の名前を呼びながら 波を掻き分けて進んでくる。

ほと💙

ッ…!!

僕は何故かすごく不安になって

ほと💙

バシャバシャッ…!!

もっと沖の方へ進んだ。

I💙

…!!

I💙

ほと💙!!

先生が僕を呼ぶ声が聞こえる。

ほと💙

バシャバシャッ…!!

でも僕は必死に沖へと進む。

それを何度も繰り返して…

そして気付けば僕は…

I💙

ギュッ(抱きしめる)

ほと💙

…!!

先生に抱きしめられていた。

I💙

はぁッ…はぁッ…

I💙

大丈夫や、
落ち着け…ほと💙…

I💙

俺がおるから…

そう言って先生は、 僕を何度も何度も 落ち着かせてくれた。

背中をさすってくれたり、 頭を撫でてくれたり。

ほと💙

はぁッ…はぁッ…ポロポロ…

僕はその優しさに、 つい涙を流してしまった。

I💙

(´ ・ω・)ノ゙ヨシヨシ

I💙

大丈夫や、大丈夫…
ゆっくり落ち着こうな…

月が照らす影2つ、 水面に写って揺れている。

広く静かな海の真ん中で、 僕は涙を流し、 先生は僕を宥(なだ)める。

I💙

…どうした、
何があったんや?

I💙

こんなに深い
ところまで来て…

先生の優しい声が、 僕の心の枷(かせ)を外していく。

そしていつの間にか僕は、 先生に話していた。

ほと💙

…あのね、先生ッ…

ほと💙

もう、何もかも
嫌になったの…ポロポロ…

I💙

うんうん…

ほと💙

勉強も、部活も、
友達関係も…ポロポロ…

ほと💙

何か出来なくなって…ポロポロ…

I💙

そうなんやな…

必死に涙を堪えていたせいか、 喉が強く痛む。

ほと💙

いじめられるのが
すごく辛くて…ポロポロ…

ほと💙

何でかわかんないけど、
死にたくなっちゃって…
ポロポロ…

I💙

そっかそっか…
(´ ・ω・)ノ゙ヨシヨシ

I💙

ほと💙はずっと
頑張っとったもんな…

ほと💙

ん…ポロポロ…

僕はもう、 目を開けられないくらいに 涙を流していた。

I💙

いろんな先生から
聞いとったんよ?

I💙

ほと💙が高校生に
なってから、

I💙

めちゃくちゃ
頑張ってるって。

ほと💙

…?

I💙

結構、卒業生の噂って
中学校とかに来てて、

I💙

ほと💙の成績とか
人間関係のこととか

I💙

上手くいってるってことは
結構聞いてたな〜…

ほと💙

そう、なの…?

僕の問いかけに、 先生は笑顔で答える。

I💙

そうやで?ニコッ

I💙

でも、そんないい
噂を聞いていく度に

I💙

俺はずっと、
不安になっとった。

ほと💙

不安に…?

先生の表情が、 少しづつ曇っていく。

I💙

そう。

I💙

ほと💙はこのまま…
俺の課題を提出
出来るんかなって…

ほと💙

…!

1年前の卒業式。 あの日交わした約束。

I💙

何かさ、めちゃくちゃ
頑張ってるのは

I💙

伝わってきとったよ?

I💙

やけど、頑張りすぎて
いつか消えてまうんや
ないかって

I💙

思ってる部分も
あったからさ…

ほと💙

そっかぁ…ポロポロ…

I💙

そうやで〜?

I💙

それで、ほと💙が
学校に来てないって
噂が流れて来て

I💙

しょ💜からも心配やって
連絡が来てたから…

I💙

もしかして、と
思ったらやな…

ほと💙

なるほど…ポロポロ…

ほと💙

じゃあ、先生には全部
お見通しだったんだ…w

I💙

そうやなw

先生には何もかも敵わない。

全てお見通しで、 逃げる言い訳もない。

そして僕は1つ、 先生に問いかけた。

ほと💙

…ねぇ、先生。

I💙

…?

I💙

どうしたん?

ほと💙

…このまま、
死んでもいーい?

I💙

…!!

僕がそう聞くと、 僕のことを抱きしめる先生の力が

少し強くなったのを感じた。

I💙

…ほと💙はまた、
課題を提出せえへん
つもりか?

ほと💙

えへへ…w

ほと💙

僕、課題だけは
苦手なんだぁ…w

そう言って僕は へらへらと笑ってみせる。

でも先生は…

I💙

ギュゥッ…
(強く抱きしめる)

僕の事を、 もっと強く抱きしめた。

ほと💙

…?

ほと💙

先生…?

I💙

…もう笑わんでええから。

I💙

無理して笑わんでも
ええんやから。

I💙

俺の前では…
正直になれ。

ほと💙

ッ…!

I💙

俺は何があろうとも、
この手を離すことはない。

I💙

ほと💙に…死んで
欲しくないからな。

心がだんだんと熱を持つ。

それと同時に、 僕の中で何かが溢れた。

ほと💙

でも…!!

ほと💙

僕は死にたいのッ…!!

ほと💙

課題なんて、
1人で出来ないよ…!!

I💙

…覚えてないか?

I💙

1年前、俺と一緒に
放課後課題をしたこと。

ほと💙

…!

I💙

今は場所が
変わってもうたけど…

I💙

一緒にしようや。

I💙

ほと💙が困ったら、
あの時みたいに

I💙

またサポート
していくから…

I💙

やから…

I💙

一緒に幸せを
見つけていこう…な?

ほと💙

…!!

ほと💙

先生ッ…ポロポロ…

I💙

(´ ・ω・)ノ゙ヨシヨシ

ほと💙

一緒に課題、
してくれますかッ…
ポロポロ…

I💙

…おう、もちろんや!

ほと💙

ん…!ポロポロ…

ほと💙

ありがと…!グスッ

I💙

どういたしまして!( *´꒳`*)

そして、4年という 月日が経った。

あれ以降、 僕は先生と一緒に 勉強をしたり

様々なことに挑戦した。

今は少し先生と離れて 頑張って生活している。

そして今日は、 5年前のあの日に約束した

“あれ”を提出しに来た。

ほと💙

…!!

ほと💙

先生っ!!

I💙

お!ほと💙!

I💙

ちゃんと来て
くれたんやな!

ほと💙

もちろん!

ほと💙

あ、あとね…!

I💙

…?

ほと💙

課題も提出しに
来ました!ニコッ

End

この作品はいかがでしたか?

1,146

コメント

20

ユーザー

いい話過ぎます! がっつり泣いちゃったw

ユーザー

あれ目からWaterが、?神作!

ユーザー

青組最高すぎるー!課題提出出来て良かった〜

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