僕は昔から、 苦手なことがあった。
I💙
ほと💙
ほと💙
そう。 課題を提出することだ。
I💙
I💙
ほと💙
しょ💜
ほと💙
苦手なのは課題だけじゃない。
ーーーをしなさいとか、 決められたことをするのが
僕は苦手なのだ。
I💙
I💙
ほと💙
I💙
I💙
ほと💙
しょ💜
ほと💙
でも、僕がこうして 笑って誤魔化すと
みんなも笑ってくれるから。
ほと💙
放課後
I💙先生と僕の 2人きりの教室。
僕は課題をして、 隣でI💙先生が テストの採点をしている。
ほと💙
ほと💙
ほと💙
ほと💙
ほと💙
そんなことを考えていると、 I💙先生が話しかけてきた。
I💙
ほと💙
ほと💙
I💙
僕は驚いて目を丸くする。
ほと💙
ほと💙
I💙
I💙
I💙先生はどこか寂しそうな目で 机の解答用紙を眺める。
I💙
I💙
ほと💙
僕はいまいちピンと来なくて、 少し素っ気ない返事をする。
ほと💙
I💙
I💙
I💙
I💙
ほと💙
ほと💙
I💙
I💙
ほと💙
僕はほんのりと 頭の中で未来を想像する。
将来、僕は 何がしたいのだろう。
今の自分と重ねてみて、 ゆっくり時間を掛けて考える。
ほと💙
ほと💙
I💙
僕は今、頑張って 人を笑わせているから。
もっとみんなを 笑顔にしたいんだ。
I💙
その時のI💙先生は とても優しく微笑んで、
I💙
そう言ってくれた。
ほと💙
照れ隠しに僕は笑うと、 I💙先生は顔を赤くした。
I💙
ほと💙
ほと💙
僕がそう問いかけると、 先生は手のひらで顔を隠す。
I💙
I💙
I💙
僕は先生のその言葉に 目を輝かせる。
ほと💙
ほと💙
I💙
ほと💙
僕は先生と話しながら 帰る準備を手際よくする。
ほと💙
I💙
I💙
ほと💙
夕日が照らす教室に、 先生だけが残った。
I💙
そう言い残したことも知らずに。
半年後
時の流れは早いもので、 僕らはもう卒業式を迎えた。
ほと💙
ほと💙
しょ💜
しょ💜
ほと💙
あの日以降も僕は、 課題を提出日に提出することは 少なかった。
そのせいで何度も 先生と居残りしたのは、 今ではもういい思い出だ。
ほと💙
しょ💜
そう言って2人で 桜の木を眺める。
花びらが風に靡(なび)いて 儚く散っていく。
しょ💜
しょ💜
ほと💙
ほと💙
そう2人で話していると、 I💙先生が手を叩いた。
I💙
I💙
そしてI💙先生は 淡々と話をし続ける。
学校行事のことや 日頃の授業等での思い出を 先生と分かち合う時間が
すごく早く感じた。
I💙
ほと💙
I💙
僕が苦手な課題を課されることに 僕は少し憂鬱感を覚える。
ほと💙
僕はごくり、と息を飲む。
I💙
I💙
ほと💙
先生の言葉が 頭の中でループする。
I💙
I💙
I💙
I💙
I💙
I💙
I💙
I💙
僕らが20歳になる時… あと5年後か…
ほと💙
僕はこの時、 この課題を楽観視していた。
…この日の先生の言葉も忘れて。
1年後
僕はあれから、 高校1年生になり
新生活が始まった。
1年生の頃は、 まだ学校に行っていた。
友達作りも、部活も、勉強も 割と上手くいっていた。
苦手な課題提出だって、 死ぬ気で頑張ってきた。
…でもある日、僕の中で プツンと音が鳴って何かが切れた。
そして僕はその日から、 何事も上手くいかなくなって。
学校に行けなくなった。
そして今、新2年生に なろうとしている。
ほと💙
ほと💙
ほと💙
1年生の後半は、 授業も模試も受けていない。
でも、前半の調子が良かったのか 留学は避けられたようだ。
ほと💙
ほと💙
ほと💙
そう。
僕は学校に 行けなくなったあの日から、 悪質ないじめを受けていた。
ほと💙
ほと💙
ほと💙
ほと💙
…最近はこんなことを よく考えるようになった。
真っ白な天井を見つめて 考えるのは自分の死。
ほと💙
ほと💙
僕はぼーっと天井を見つめる。
ほと💙
ほと💙
夏休み、という言葉を 思い浮かべるだけで
ふと夏の暑さを感じる。
ほと💙
ほと💙
昔はよく、季節関係なく 海に行っていた。
海に行くと、何だか何もかも 忘れられていたから。
ほと💙
そして僕は 何も考えずに外に出た。
ほと💙
僕は海に着くと、 思いっきり伸びをした。
深呼吸をすると、 心地よい潮風が肺を浄化する。
ほと💙
ほと💙
僕はそう呟きながら 浜辺を1人歩く。
…少し、海に入りたくなって
ほと💙
裸足になって海に足を運んだ。
ほと💙
ほと💙
まだ海の水は冷たくて、 思わず声を出してしまう。
でも、冷たいはずなのに
ほと💙
身体はどんどん沖へと進んでいき、
ほと💙
先程までくるぶし程しか 無かった海水が、
今はもう、腰ぐらいまである。
ほと💙
ほと💙
ほと💙
ほと💙
そして僕が更に進もうとすると、
I💙
どこか懐かしい声が聞こえた。
ほと💙
僕が振り返ると、そこには
I💙
I💙先生が立っていた。
ほと💙
僕は笑って手を振る。
…でも、I💙先生は 笑ってもくれないし
手を振ってもくれなかった。
ほと💙
僕が不思議そうにしていると、 先生は靴を脱ぎ、靴下も脱ぎ
I💙
海に入ってきた。
ほと💙
I💙
I💙
先生は僕の名前を呼びながら 波を掻き分けて進んでくる。
ほと💙
僕は何故かすごく不安になって
ほと💙
もっと沖の方へ進んだ。
I💙
I💙
先生が僕を呼ぶ声が聞こえる。
ほと💙
でも僕は必死に沖へと進む。
それを何度も繰り返して…
そして気付けば僕は…
I💙
ほと💙
先生に抱きしめられていた。
I💙
I💙
I💙
そう言って先生は、 僕を何度も何度も 落ち着かせてくれた。
背中をさすってくれたり、 頭を撫でてくれたり。
ほと💙
僕はその優しさに、 つい涙を流してしまった。
I💙
I💙
月が照らす影2つ、 水面に写って揺れている。
広く静かな海の真ん中で、 僕は涙を流し、 先生は僕を宥(なだ)める。
I💙
I💙
先生の優しい声が、 僕の心の枷(かせ)を外していく。
そしていつの間にか僕は、 先生に話していた。
ほと💙
ほと💙
I💙
ほと💙
ほと💙
I💙
必死に涙を堪えていたせいか、 喉が強く痛む。
ほと💙
ほと💙
I💙
I💙
ほと💙
僕はもう、 目を開けられないくらいに 涙を流していた。
I💙
I💙
I💙
ほと💙
I💙
I💙
I💙
ほと💙
僕の問いかけに、 先生は笑顔で答える。
I💙
I💙
I💙
ほと💙
先生の表情が、 少しづつ曇っていく。
I💙
I💙
ほと💙
1年前の卒業式。 あの日交わした約束。
I💙
I💙
I💙
I💙
ほと💙
I💙
I💙
I💙
I💙
ほと💙
ほと💙
I💙
先生には何もかも敵わない。
全てお見通しで、 逃げる言い訳もない。
そして僕は1つ、 先生に問いかけた。
ほと💙
I💙
I💙
ほと💙
I💙
僕がそう聞くと、 僕のことを抱きしめる先生の力が
少し強くなったのを感じた。
I💙
ほと💙
ほと💙
そう言って僕は へらへらと笑ってみせる。
でも先生は…
I💙
僕の事を、 もっと強く抱きしめた。
ほと💙
ほと💙
I💙
I💙
I💙
ほと💙
I💙
I💙
心がだんだんと熱を持つ。
それと同時に、 僕の中で何かが溢れた。
ほと💙
ほと💙
ほと💙
I💙
I💙
ほと💙
I💙
I💙
I💙
I💙
I💙
I💙
ほと💙
ほと💙
I💙
ほと💙
I💙
ほと💙
ほと💙
I💙
そして、4年という 月日が経った。
あれ以降、 僕は先生と一緒に 勉強をしたり
様々なことに挑戦した。
今は少し先生と離れて 頑張って生活している。
そして今日は、 5年前のあの日に約束した
“あれ”を提出しに来た。
ほと💙
ほと💙
I💙
I💙
ほと💙
ほと💙
I💙
ほと💙
End