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ホソク
本音は隠す。 目線はセリーヌのバッグ。
ジミン
ジミン
ホソク
ジミンが向こう側でふふふと笑うから、それが伝染して俺まで更に顔が綻ぶ。
ジミン
ジミン
急に情欲をそそる言葉をヒソヒソと声のボリュームを落として言った。 そのせいでジミンの吐息が耳にかかった様な錯覚がして、心臓が、揺れた。
そんな事言われても。
ホソク
飛んで行きたい欲求をグッと堪えて現実と向き合わなければならない。 ジミンの手に乗るのは簡単だけど、代償は大きい。
自分を鼓舞するようにベッドから立ち上がって、閉まったままだった部屋のカーテンを開けた。
ジミン
気持ちの良い朝日を浴びても、ジミンのその声の方が俺を容易く期待で胸一杯にさせる。 もう既にこの人に敵う物はないのかも。 セリーヌのバッグでさえ。
だから一回だけゆっくり呼吸をして
ホソク
抗える訳がない。
ジミン
そのあと、仕事が終わったら連絡するという約束をして電話を切った。 そうと決まればぼんやり余韻に浸ってる暇はない。
グク
携帯を適当にベッドの上に置いた俺に、いつの間にかドアの前にいたジョングクが言った。 少し戸惑って、一度も"ジミン"ってその名前を口にしてないよななんて頭をフル回転させる。
ホソク
多分言ってない。 多少の不安は残ったが、どこから聞かれてたか分からないし、言ってたとしたらどのみち隠しようがない。
グク
ホソク
クローゼットを開けて新しい服を取り出しながらの俺の質問にジョングクは答えないまま。
グク
腕を組んで壁に凭れているジョングクの顔には冗談という雰囲気はない。 "真顔"というやつだ。 洗面所の洗濯機から洗濯終了の音がした。
ホソク
知らないうちに手が止まっていた。 畳んであった服の上に不自然に置かれたままだった手を動かして、一番上のTシャツをベッドの上に放り投げる。
グク
ホソク
ズボンは適当にスウェットを探す。 何が可笑しくて自分が笑ってるのかよく分からないけれど、ジョングクは別に笑っていないし
グク
落ち着き払ったトーンで続けた。 それにベッドに放り投げようとしたスウェットをジョングクが何故かキャッチして。
グク
"ちゃんと"なんて適さない単語を使ってジョングクの右手が俺の顎を掴んだ。 でも、ジョングクが何処から電話を立ち聞きしていたのか、ハッキリと分かった。
最近のジョングクは挑発気味だ。 悪質な悪戯の延長みたいな。
顎のジョングクの右手をどかして、左手にあるスウェットを奪い取って今度は俺が口を開く。
ホソク
グク
挑発するつもりで言った言葉を否定で返してきた挙句、ジョングクらしい鬼畜発言までセットだ。 遠回しに"元カノの飽きた身体とやってんの?"と言いたいのか、それとも"ヒョンの身体に元カノは飽きてるじゃないの?"と言いたいのか。
今の感じからだと後者の方が俺には強く感じた。 流石にカチンときてジョングクの胸ぐらを掴む。
ホソク
ホソク
そんな事一度も思った事ないけれど、ジョングクの挑発と悪戯に乗ったのだ。 いつもみたいに鼻で笑われるかと思って。
なのにジョングクが俺の腰を一気に引き寄せて自分の下半身にピッタリとくっ付けて
グク
少し冷ややかな目で俺を見下ろして男の顔で言うから、じわりと汗が滲んだ。
試す… って…
グク
手を離したジョングクが白い歯を見せてキャハハと楽しそうに笑って言った。
グク
それから、俺の肩をポンポンと。 さっき俺の腰を引き寄せた右手で慰める様に叩いて、部屋を出て行った。
びっ…くりした。
冷静に考えたらジョングクの言う通りだしそんな訳ないのに、初めて見た顔だったせいで。 ドッドッと心臓が早い。 本当に、悪い冗談が過ぎる。
熱が下がって様々な意味で絶好調なジョングクは家を出る時に
グク
と、前回の事を釘刺す様な言葉を残して行った。 言われなくてもやらないし。
ホソク
ジミン
ホソク
嘘。 ジョングクもあんな顔するんだ、なんて考えてた。 知らない顔があるんだなって。 ジミンの家にいるのにジョングクの事を考えるなんて、勿体無い。
ジミン
ワイングラスを片手に隣に座ってるジミンがクスクスと笑いながら言うから思わず眉を顰めてしまった。
ホソク
上の空だった事がジミンににバレてるから、確かに嘘は上手くないか下手なのかもしれないけど。
ジミン
ジミン
そう言ってワイングラスをガラス製のテーブルに静かに置いたジミン。
ジミン
そう囁いて口角の上がってる厚い唇の端から舌を覗かせた。 また"ヤバい"と思う。 ただこれからする事に期待してる高鳴りだけじゃなくて、まずくて"ヤバい"。
ジミン
ジミン
こうやって俺の期待以上の事を言うから、尚更、駄目。 好きになったら、駄目、なのにもう好き。
ホソク
意思に反して従順に舌を這わせるとジミンの息が上がって小さく声まで漏らすから、演技なんか出来るわけない。 淫らな行為に気持ちが入って熱が込もる。