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コメント
2件
うん、好き
うわっ、第5話……もうめちゃくちゃ引き込まれたわ。 「ゆあんくん」と「うり」の出会いのシーン、大雨の中の透けた桜の妖って設定がもう美しすぎるし、そこから一気に「守ってあげる」宣言で抱きしめるところ、ガチで胸が熱くなった。で、後半の「消えたくないよぉ…」からの禁忌の簪で命を分け合う展開……これ、普通のラブストーリーじゃないのが好き。陰陽師×妖で、しかも自らの寿命を削ってまで繋ぎとめる覚悟、主人公の「お前と生きれるほうが何倍も幸せ」って台詞に全部持ってかれたわ。 最後の満月で幸せな生活が続く示唆もエモい。でもこのタイトル「残花の涙」だから、この先また何かあるのかな……。続きめちゃくちゃ気になる!
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ザーザーと、
激しい雨が傘と地面につよく打ち付けて跳ねる
俺は手元にある提灯の小さな明かりで足元を照らす
ここら辺の山道は結構あれていて、地面が平らではないから慎重に歩いていく
生まれてからずっとこの江戸の町に住んでいたけれど
ゆあんくん
俺は初めて、この山の奥にある神社に来た
噂もなかなか聞かないし、知っていた人はみんなこの山の近くに住んでいる高齢の方で
知る人ぞ知る、というには足りないほど知られていなかった
でも、なぜそんなところに今俺が来ているのか
それは、この場所に強い怪異の気配を感じたから
俺の家は代々続く優秀な陰陽師の家系だ
そんなところに生まれた一人息子の俺は、歴代でもけっこうな呪力を持っているらしい
まあ、そんなこと自分では感じたことはないけれど
ゆあんくん
ゆあんくん
参道が続いている道を見つけて、そこをひたすら歩いていく
聞いたところによると、今はもう経営はしていないけれど
結構立派で、昔は観光地としてすごくにぎわっていたという
木々から少し香る新鮮なにおいと、雨の匂いが心地いい
そうして数分は歩いた時、やっと社が見えてきた
もう営みはしておらず、放置されていて人の手は付けられていないけど
それにしてはきれいに形を保っている
そしてその社より目に着くのが
ゆあんくん
社の奥に佇む、立派な古木の桜
種類は江戸彼岸のようだ
この綺麗な桜をもっと近くで見たい、と
そう思った俺は、その桜の木に近づいてゆく
すると、
ゆあんくん
ゆあんくん
その木の根元に、激しい雨に打たれながらぽつんと座り込んでいる人影が見えた
おかしいな、と疑念を浮かばせながらも近づいていく
そして、そっと提灯の淡い光を向けると
ゆあんくん
俺はあまりの美しさに息を呑んだ
??
珍しい洋菊のような色の綺麗な髪の毛に、息を呑むほど整った顔立ちの、美しい男の子
年は三つか四つ上ぐらいだろうか
雨に濡れて、はだけた着物から見えるその肌は……
ゆあんくん
まるでガラス細工みたいに、透けていて
向こうの桜の幹が透けて見えていた
ゆあんくん
ゆあんくん
俺は慌てて駆け寄って、大きな傘を差し掛ける
そして、暖めるように提灯の光を近づけると
彼は弾かれたように顔をあげ、イチョウ色の瞳を丸くした
??
??
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
??
??
??
彼は自嘲気味にフッと、寂しそうに口元を歪める
うり
うり
うり
うり
うり
寂しそうな顔をして、このいまある神社を見渡すと、小さく息を吐く
うり
うり
うり
うり
うり
うり
うり
雪みたいに冷たくて、俺を突き放すような言葉
だけど、今にも夜の闇に消えそうなほど透き通ったうりの瞳は
寂しさと恐怖で小刻みに震えていた
そんな死におびえているような姿を見た瞬間
ゆあんくん
胸の奥が今までに感じたこともないくらい、激しく痛んだ
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
うり
うり
俺は考えるより先に、持っていた提灯も傘も放り投げて
激しい雨の中で冷え切った体を力強く抱きしめた
うり
うり
うり
ゆあんくん
うりの耳元で、いつもより少し低めの声が出る
今思えば、これが一目惚れというものだったらしい
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
抱きしめられたうりの顔が、一瞬で彼岸花ぐらい真っ赤に染まっていくのが分かる
体は冷たいはずなのに
触れ合っている胸の奥から、ドクンドクンと熱い鼓動が伝わってきた
うり
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
うり
うり
あの日からもう半月がたとうとしている
直談判で両親に頼み込んで、なんとか俺の屋敷にうりを同居させてもらえることになった
両親は話を聞いた途端驚いた顔をして、下働きの人たちも猛反対していたけれど
俺が頼み込むことなんて今までなかったし、俺が何度も何度もおねがいをすると
両親は折れてくれた
反対していた下働きの人たちも、今ではうりのことを受け入れていて
下働き
下働き
下働き
うり
うり
すごくみんなから好かれている
下働きはうりに和菓子を渡すと、そのまま一回お辞儀をして渡り廊下へと向かった
うりはもらった和菓子に黒文字をいれて切ると、そのまま小さな口に運ぶ
おいしそうにほほ笑んで目を少し子供のように輝かせている姿を俺はまじまじと見つめた
今のうりは、桜の幹にいた時とは違い、体は全く透けなくなって
そこらにいる普通の人間と何ら変わらない生活を送っている
それもそのはず、俺は少しでもうりの命を繋ぐために、強力な結界を家に張ったからだ
うり
うり
うり
うり
うり
確かにうりは結構瘦身な体つきで
俺がいつも着ている着物を着ると振袖が手にかかっている
だけどその姿がかわいらしくて、俺的には気に入っていた
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
日が照っている下で2人で縁側に座っていると、体中が暖かくなる
うりはもらった和菓子を食べ終えると、一つの手毬をとって、庭へと出る
そして、手毬を嬉しそうにつき始めた
ゆあんくん
うり
そういいながら手毬をつき続けると、空いている片方の手で俺を呼んだ
こっちに来い、という意味らしい
ゆあんくん
そうして俺も一つの手毬を持つと、うりがいる庭へと出た
うり
うりが目をつぶって、すぅっと息を吸うと、綺麗な声で手毬歌を歌い始めた
うり
うり
うり
うり
うり
うり
うり
俺はその歌に合わせて手毬をうちつつ
それを横目に、俺は左の方を見る
ぽんぽんと、テンポよく手毬をうち付けるうりの姿はとてもきれいで
ゆあんくん
どこか、人とはかけ離れているような、神秘的な雰囲気を感じた
うり
うり
うり
その姿を見つめていると、いつの間にか手毬歌は歌い終わっていた
うり
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
うりを縁側に呼んで、側に座らせる
そして、俺がうりのために作らせた木製の櫛を洋菊色の髪に優しく触れて
ゆっくり下へと梳かせていく
最初は嫌がっていたうりも
俺がしつこくやろうとするから、抵抗するのをあきらめたらしい
少し不貞腐れているような顔は今でもしているけれど
俺の隣から逃げようとはしなかった
…………ずっと、
ゆあんくん
ボソッと呟く
うりは不思議そうな顔をして俺の方を少し向いた
うり
ゆあんくん
うり
うりはまた前を向くと、さっきまでついていた手毬をまじまじと見つめ
その感触を確かめるように撫でる
俺はうりの髪を優しく梳き続けた
綺麗な洋菊色の髪が、日の光でキラキラと星のように綺麗にその光を反射させる
しばらくの沈黙が続く
すると、うりがポツリと呟いた
うり
ゆあんくん
うり
ゆあんくん
急に言ったうりの言葉は、俺を認めてくれたように感じて
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
うり
ほら、ストレートに言葉を紡げば、うりは簡単に顔が真っ赤になる
そういうところも、きっと無自覚に人を引き寄せる理由の一つなのだろう
素直じゃなくて、不器用だけど優しくて、押しに弱くて
けれど、遠回しでもちゃんと俺に言ってくれる
そんな妖を見て、
ゆあんくん
なんてほほ笑んでみていた
だけど、そんな日常はいつまでも続かない
うり
庭に植えてある満開の金木犀と、その周りのねこじゃらしが秋風に揺れた瞬間
櫛を持つ俺の手が
……うりの頭を、すり抜けた
ゆあんくん
俺は反射的にうりの正面にまわる
すると、手毬を撫でていたうりの綺麗な手はまたガラス細工のように透明になっていて
床についている手を通して畳の模様が透けて見えた
ゆあんくん
うり
うり
うり
うりは自分の透明になった肌を見つめると、悲しそうな顔をして
瞳からあふれた涙が頬からつたって、床に模様をえがいていく
いつもはこいつが笑っていれば、みんなが明るくなるのに、
作り笑いをして、取り繕っているこいつを見ても、そんな気持ちにはならなかった
ゆあんくん
ゆあんくん
そうだ
こいつは、うりは
時代が過ぎるとともに人々から忘れられてしまった、桜の木の妖だ
強力な結界の中にいたとしても
人々から忘れ去られてしまった妖の消滅を、完全には止められない
この結界は、消滅をなしにできるわけじゃなく、命を少しでもつなぐための結界なんだ
ゆあんくん
確実に、タイムリミットが近づいている
すると、ずっと黙っていたうりが呟いた
うり
ゆあんくん
うり
うり
うり
うり
うり
うり
うり
うり
うり
うりの切ない願いと、心の奥にしまっていたであろう本音
それを聞いた時、俺は胸が針で勢いよく刺されるように痛むのを感じた
そして、今まで我慢していた何かの糸が、プツリと切れる
俺は櫛を床に放り投げると
消えかかっているうりの体を壊さないように優しく抱きしめた
ゆあんくん
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
今まで見せてくれたあの笑顔も、怒った姿も、綺麗な声も
もう聞けないし、見れないなんて、
ゆあんくん
静かな庭に、俺の声だけが響く
抱きしめられたうりは、涙が溜まった瞳を見開いたあと
俺の羽織をぎゅっとつかんだ
俺の言葉をくみ取って、受け入れてくれたように
そして、俺にしがみつくように俺の背中に手をまわした
外は昼間の晴れが嘘のように激しい雨が容赦なく障子を叩く
嵐が江戸の町を支配していた
和蠟燭の灯りが激しく揺れ、今にも消えそうで危うい
それは、うりも同じだった
ゆあんくん
うりの体は、もう胸から下がほとんど光の粒子となって
夜の闇へ溶け込んでしまうように消えかかっている
なぜだか外の景色が俺の心情を表しているようで
また胸が痛んだ
うりは寂しそうな顔をして、俺を見つめる
うり
うり
うり
うり
うり
うり
うり
俺の視界はにじんでいって、冷たい涙が頬をつたった
どうして、もっと早くからうりに会えなかったのだろうか
もう少し早ければ、うりは助かったのかもしれないのに
自分の力がもっとあれば、なにかできることがあったかもしれないのに
自分の弱さが、醜く感じる
泣いている俺の姿を見ているうりは、俺のことを心配するような顔をした
うり
うり
うり
うり
うりはそういって、俺を励ますように笑顔を作る
差し出されたうりの手は、もう触れることができないくらいに薄く、儚くなっていた
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
自分の弱さは醜い、だけど
まだ、できることはある
俺は近くにあった引き出しから、小さな細長い木箱を取り出す
それを畳に置いて頑丈な鎖を切り、ふたを開ける
そこには一本の美しい銀色に輝く簪が大事そうにあった
ゆっくりとその簪を手に取り、感触を確かめる
一見普通そうに見えるこの簪は、実は普通のではない
これは、陰陽師が己の命の半版を切り離し、対する者に分け与えて
魂をこの世につなぎとめるという、俺の家に代々伝わり厳重に保管されていた禁忌の呪術に使う道具
その簪を見たうりは、この後俺が何をするのか察したような顔して俺を見つめた
そして、焦ったような顔をして俺に問いかける
うり
うり
うり
ゆあんくん
俺はそんな今にも消えてしまいそうなうりを見つめて、決意を固める
そして、うりに笑顔を作ってみせた
ゆあんくん
ゆあんくん
俺が俺が和蝋燭の光の中で呪文を唱え始めると、銀色の簪が眩いばかりの光を放ちだす
同時に、俺の胸の奥からドクドクと熱い衝動が駆け巡り、激しい痛みが全身を襲った
うり
うり
うり
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
無数の光の帯が、あたりを漂う
そして、俺の胸からうりの胸へと真っ直ぐに流れ込んでいく
うり
すると、うりのガラスみたいだった体が
じわじわと確かな人間の温度と、血の巡る赤みを取り戻していった
バサリ、と敷布団が大きく波打ち、光が収まる
和蝋燭の灯りは何個か火が消えていて
そして、俺の目の前には
しっかりと質量を持って浴衣を揺らしながら息を切らせている、消えかけじゃない本物のうりがいた
うり
うり
うり
うり
うりは涙で視界を歪ませながら、俺のことを怒るように
だけどどこか愛おしそうに見つめてくる
俺はそんな顔をしているうりのすぐ近くまで顔を近づけた
そして優しい手つきで、洋菊色の髪に自分の霊力が宿ったさっきの銀色の簪をそっと挿す
ゆあんくん
うり
ゆあんくん
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
耳元で、低くて少し掠れた、だけど精一杯の優しい声で囁く
うりは顔を耳の先まで燃えるように真っ赤にして、動きを止めた
そして顔を手で覆うと
うり
うり
恥ずかしさを隠すように
うりは自分から俺の胸元に顔を埋めて、浴衣の袖で俺の背中を強く抱きしめてきた
重ね合わせた胸の奥からは、全く同じ心地いいリズムで、2人分の心臓の音が響き合っている
本当に、うりと一緒にいられるんだ
ゆあんくん
今、目の前にいるうりの可愛さに顔をほころばせる
障子を開けて外を見てみると
激しかった雨がピタッと止み、雲の隙間から満月が綺麗に差し込んできた
俺とうりの幸せな生活は、まだまだ続いていきそうだ____