嫌人
そんなの許すと思ってんの…?
美玲
それでも、ここから出たい
嫌人
許さない許さない許さない…!
美玲
…結婚の話が上がってるんでしょ?
嫌人
それ、誰が言ったの
ガッ(髪の毛を引っ張られる)
美玲
いたっ…!
嫌人
それ誰から聞いたんだよ…!?
嫌人
はとり?紫呉?
美玲
痛い…放して
嫌人
ここから出てくなんて許さない!
嫌人
僕から離れるなんて絶対許さない!
紅野
嫌人!
グイッ(美玲を嫌人から引き離す)
紅野
何してるんだ!やめなさい!
嫌人
美玲が悪い…僕から離れようとするから
美玲
私、紫呉の家に行く
紅野
美玲。それは本気?
嫌人
許さない!僕は絶対に許さない!
紫呉
それはどうでしょう、嫌人さん
スッ…(扉から紫呉が入ってくる)
紫呉
あなたには結婚話が上がってるんですよ
紫呉
その上で愛人でもない美玲を傍におく訳にもいかないでしょう?
嫌人
紫呉…!僕に歯向かうって言うのか!
紫呉
この状況で歯向かうも何もないでしょう
紫呉
とりあえず、美玲は僕が預かります
嫌人
嫌だ…美玲、僕から離れていかないで…
グイッ…(嫌人が手を掴む)
美玲
…
バッ…!(美玲が振り払う)
美玲
…嫌人、ごめん
紫呉
美玲、おいで。ここから出よう
嫌人
裏切り者!絶対許さない!
紅野
嫌人!
ジタバタ(嫌人が暴れる)
美玲
ごめん、ごめんね…
タッ!(部屋から出ていく)
紫呉
さあ、君は今日からここで暮らすんだよ
美玲
…お邪魔します
由希
美玲…?
美玲
由希。久しぶり
由希
なんで、ここにいるの、?嫌人は…
紫呉
由希くん。めでたく美玲は今日からここで暮らすこととなったのさ
由希
嫌人は怒らなかったの…?
紫呉
まあそこはなんとなかなったかな
紫呉
嫌人さんかなり怒ってたけど
美玲
私があそこから出たかったからいいの
美玲
もう、あんなとこいたくない
スッ…(由希が美玲の頬に触れる)
由希
…何を、されたの?
由希
酷いこと、されたの
美玲
大丈夫。ありがとう
思い出したくもない
毎日、嫌人から暴言を吐かれて
存在を否定されて
地獄のようなあの場所から出られたのに
思い出したくなんか…ない
紫呉
さあさあ、由希くん。美玲を部屋まで案内してあげてくれるー?
由希
うん。美玲、案内するから来て
由希
ここに荷物置いておくね
由希
何かあったら、いつでも俺たちに言って
美玲
由希は、もう嫌人のこと怖くなくなった?
由希
…怖いよ
スッ(由希が目を抑える)
由希
俺は、まだ草摩から出られてない
由希
まだ嫌人のことを怖がってる自分がいる
由希
あの時だって…美玲が俺を助けたせいで…
ギュウ…(美玲が由希を抱きしめる)
美玲
もうそのことはいいから、忘れて
美玲
由希、前を見て。私のことはいいから
由希
…俺は君に甘えてばっかだね
それでいい
私が犠牲になることで誰かが救われるなら
私はそれで構わない







