テラーノベル
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翌朝。 教室に入った瞬間、空気が少し変だった。 「……?」 視線。ひそひそ声。
「えとさん、おはよう!」 のあさんが近づいてきて、耳元で小声。 「昨日さ、校門でゆあん君と一緒でしたよね」 「……見てたの?」
「じゃぱぱさんが!」 なるほど。 席につくと、また声がする。 「えとって、新羅君と付き合ってんの?」
クラスの女子。 悪気は無いけど軽いノリ。 「違います」 「えー?でもさ」 「一緒にいるの、よく見るよ?」
言い返せなかった。 そのタイミングで。 「おはよ、えとさん」 当たり前みたいに隣に立つゆあんくん。
「……」 「何その顔」 「ちょっと」 「噂、聞いてます?」 「聞いた」
あっさり。 「否定しといた」 「……なんて?」 「まだって」
心臓が跳ねる。 「ゆあんくん!」 「冗談」 にっと笑うけど、声は低い。
「でもさ」 机に肘をついて、近づく。 「完全に否定されるの、ちょっと傷つく」 「……」
「安心して」 すぐ距離をとる。 「言わないし、触れない」
その線引きが、ちゃんとしててずるい。 「えとさん」 のあさんがこそっと言う。
「あの人、本気だよ」 「……分かってる」 だから、困る。 昼休み、廊下ですれ違う時。
「えとさん」 小さく呼ばれる。 「無理させてない?」 「……してません」
「よかった」 それだけで、笑う。 チャラいのに。 軽いのに。 ちゃんと、気遣ってくる。
(ほんとに、なんなの) でも。 ”付き合ってるの?” その言葉を思い出して
否定したはずなのに、胸の奥が、少しだけ疼いた
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