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蘇枋 隼飛

え、

『誰ですか?』その言葉の重さはとてつもないもので──

すぐには理解できなかった。

たっぷり2分ほど見つめあったあと、理解出来た。

蘇枋 隼飛

あ、もしかしてオレのこと分からない?

桜 遥

は、はい…すみません…

蘇枋 隼飛

(遥くんがオレに敬語なの…新鮮だな、)

蘇枋 隼飛

謝らないでいいんだよ。

蘇枋 隼飛

…ごめん。ちょっと今日は帰るね

桜 遥

そう言って病室を後にした。

蘇枋 隼飛

…ただいま。

蘇枋の母

おかえり。

珍しく、両親がこの時間に揃っていた。

蘇枋の父

隼飛。少し話がある。

蘇枋 隼飛

うん。どうしたの?

蘇枋の父

父さんの仕事の影響で、

蘇枋の父

遠いところに引っ越さなくては行けなくなったんだ。

蘇枋の母

だけど、遥くんと離れたくはないでしょう?

蘇枋の母

だから、どうしようかと思って…

蘇枋の母

お母さんと隼飛だけ残る事もできるけど─

蘇枋 隼飛

あぁ、それなら大丈夫だよ

蘇枋 隼飛

遥くんには今、オレの記憶が無いんだ。

蘇枋の母

ちょっと、それどういうことなの?

蘇枋 隼飛

…詳しくは知らないんだけど。

蘇枋 隼飛

事故にあった影響で、記憶が無いみたいなんだ。

蘇枋 隼飛

あと…身体中にある酷い傷と、

蘇枋 隼飛

目に眼帯してた。

蘇枋の母

あら…

蘇枋 隼飛

だから、引っ越すうちなら今のうちだよ。

蘇枋 隼飛

…記憶のない彼なら、なんの影響もない。

蘇枋の父

とりあえず、明日見舞いに行こうか。家族で。

蘇枋 隼飛

うん。最後の挨拶だ。

キミがオレを忘れていても。

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