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鏑木 湊

また会ったな、凪

どうすればいいかも分からず、 ただ静かに歩いていると背後から声がした

湊先輩だと分かっても、 後ろを向く決意が出来ないまま

なんの決意も出来ないまま 湊先輩の居る方向を向いた

青井 凪

…湊先輩、どうすればいいですか

私が口を開いた時、初めて気づいた 私の手、顔が濡れている

目は少し腫れて、気づかないうち に泣いていたことを気づかされる

鏑木 湊

…ちょ、ま…、なんで泣いてんの

私が何も言わず泣いていたことに驚いたのか、手で涙を拭おうとする

私なんかの涙を湊先輩が拭う 必要はないのに

青井 凪

…行きたくない

青井 凪

…都会も田舎も、大っ嫌いです

今まで我慢していた気持ちが全て溢れてくるように、言葉が出てくる

青井 凪

(これじゃぁ、面倒くさい人だと思われてしまう…)

青井 凪

…ただ、平凡に生きたかった

私がわがままのような愚痴を言っても、 湊先輩は微笑んだまま

湊先輩が満遍の笑みで呟いた

鏑木 湊

平凡なんて、つまらないよ

鏑木 湊

平凡じゃないからこそ、面白いわけじゃん?

夏の太陽の様な笑顔

その笑顔が私にだけ向けられて いるものだったら、 都会に行かなくて済みますか

青井 凪

……そう、ですね

湊先輩、

今好きだと伝えたら、 これから一緒に居られますか

『 転校してしまうのなら、 卒業アルバム先に渡しておきます 』

先生に頼まれて渡しに来たであろう後輩が 教室の入口から私を呼んだ

卒業アルバムの最後の集合写真、 そこだけが空白になっている

集合写真を撮る頃には、 私はもう都会に行っている

新しい中学校で、新しい友達

そこに湊先輩は居ないのだけれど

青井 凪

…あと、3日

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