ある日とても貧しい親子がいました。父と母は離婚。ゆう君はお母さんと暮らすことになりました。ゆう君は3年生です。
ゆう
ママー!お腹すいた!
ママ
パンを食べていてね。
ゆう
うん!
ゆうくんがパンを食べていると……1匹の子犬が入ってきました。
犬
くうぅん…くうぅん…
ゆう
どうしたの?お腹すいてるの?
ママ
あら子犬。迷子かしら。
ゆう
ママ僕の分のパン半分上げてもいい?
ママ
でもそれじゃぁゆうくんお腹空くでしょう?
ゆう
大丈夫!
ママ
そう?それならママのも半分あげるわ。
ゆう
ありがとうママ❤
犬
くうぅんっ
子犬はガッツリとパンを食べました。
ママ
この子犬にお名前付けたら?
ゆう
え?飼っていいの?
ママ
この子の飼い主が見つかるまでね
ゆう
やったぁ!
ゆう
お前の名前は「チル」だぞ!よろしくな、チル
チル
くうぅん!
ゆう
へへへ!
そこから1年が経った。ゆう君は4年生。散歩をしていたある日。ゆうくんとチルら森で迷子になってしまった。
ゆう
うぅ。寒いよぉ。お腹すいたよぉ。チル…ママぁ……
チル
くうぅん。くうぅん。
チルはゆう君を温めようとします。でも犬の体温では温められません。ゆう君は、寒さと空腹のせいで動けません。ゆうくんの体はドンドン冷たくなって行きました。
ゆう
うぅ。チル…チルぅ…僕の声をママに届けてくれ…お願い。
チル
くうぅん…くうぅん…
ゆう
お願い…僕の喉を食べて…
ゆう
お願い…
チル
ワンッ!
チルは頑張ってゆう君の小さな喉を食べました。
チル
ゲホゲホくうぅん…
ゆう
…
チル
さん…あさん…お母さん…
ゆう君の喉を食べたせいか声が出ました。ゆう君の声です。
チル
お母さん…お母さん…どこ…
また1年が経ちました。
チーン…。ゆう君のお母さんはゆう君のお墓で手を合わせます。
ママ
(ゆう…元気?天国の方が幸せでしょう)
チル
お母さん…お母さん…
ママ
ゆう?!どこなの!
ママ
今微かにゆうの声が…
とこ…とこ…小さな足音がします。
ママ
ゆうなのね。
ママ
え…チル……?
チル
お母さん…お母さん…
ママ
嘘…嘘よ…
ママ
あなた…化け物でしょう。
ママ
気持ち悪いのよ!まさか。ゆうの喉を食べたの。そんな…
チル
ゆう君が食べてとおっしゃいました。
ママ
そんな言い訳通じないわよ!
ゆう君のお母さんはチルのお腹を蹴りました。チルは簡単に吹っ飛んだ。
チル
ぐはッ…お母さん…僕だよ…ゆうだよ…
ママ
やめてっ!
チル
お母さん…
ママ
チルが居なければ。散歩なんか行って死ななかった!あんたのせいよ!
ママ
死んで。死ねぇぇぇぇぇぇぇ!
チル
マ…マ…(?)痛いよぉ…
お母さんは近くにあったシャベルでチルを刺しました。簡単に刺さった。
チル
痛い…痛い痛い痛い痛い…お母さんは…僕が嫌いなの…
ママ
大嫌いよ!犬なんか!この!死ね!
グサグサとお腹に刺さるシャベル…血まみれになるシャベル…
チル
……。
チルは静かになった。
ママ
せいぜいそこで斃れ!(くたばれ)
チルの小さな声が聞こえた。
チル
ごめんなさい。ゆう君を守れなくてごめんなさい。






