若井滉斗side
俺は今、遺書を書いている
今付き合ってる元貴と、親友の涼ちゃん。 そして家族に向けたものだ
なんで、遺書を書いているのか。
そんなの、俺がもう死ぬからに決まっている
小学生の頃、俺は大腸がんにかかった
抗がん剤の治療がすごく苦しかったのをよく覚えている
毎日死ぬんじゃないかって恐怖に怯えて
がんがいつか治るのかなって心配になりながら
俺はよく耐えた方だと思う
小学五年生の頃に見つかったがんは、中学生になる頃にはすっかり治っていた
それから元貴と出会った
一回は別の道に進んだ俺と元貴だけど、もう一度再会して、Mrs.GREEN APPLEに誘ってもらって。
ミセスにはいって悲しいこと、苦しいこと、辛いこともいっぱいあった
でもそれ以上にメンバーと一緒にいるのが楽しかった
ずっと好きだった元貴に告白された
すごく嬉しかった
一緒の家に元貴がいることが、すごく嬉しかった
涼ちゃんにも付き合うこと、喜んでもらえた
三人で遊園地に遊びに行ったり
お互いの誕生日をお祝いしあったり
ご飯を食べたり、洋服を買ったり
元貴と夜遅く公園に空を見に行ったり
そんな些細なことがすごく楽しくて、面白くて。
この日常がずっと続いてくれればいいのに、なんて思っていた
でも、この日常が崩れることになる
定期検診で病院に行った時、お医者さんに真顔で言われたのは
「がんが再発している」
という変わらない事実。
そして、余命があともって三、四年だということ
目の前が真っ暗のなった
すごくつらくて、苦しかった
だって俺、まだ30歳にもなっていない
人生の半分も生きていない
まだミセスのイベント、終わってないよ
ライブだってテレビ出演だって、沢山控えてる
なのに、俺は死んじゃうの?
どうして?
小学生の時、修学旅行も行けずに病院で闘ってきたのに
なんで?
がんは、どれだけ俺の幸せを壊したら気がすむの?
元貴と涼ちゃんと離れたくないよ
もっともっとJAMSの人と関わりたいよ
まだまだいっぱい、生きていたい
なのに、なんで?
それから家に帰るまでのことは記憶にない
でも家に帰って暗い部屋で泣き崩れている俺に元貴は何も言わずに背中を摩ってくれた
洋服越しに背中に感じる元貴の手は、すごく優しかった
それから数日が経ち、俺は今こうして遺書を書いている
元貴と涼ちゃんに、大腸がんの再発のことは言わない
元貴と涼ちゃんの顔を、涙で濡らしたくなかったから
俺が泣いている二人を見るのが嫌だったから
二人にはいつまでも笑って過ごしていてほしい
そんな想いを胸に抱きながら一人で黙々と手紙に向き合う
二時間かけて全員分に遺書が書けた
全員に、今俺が想っていること、全部かけた気がする
封筒に手紙を入れ、時計を見る。 もう九時だ
今日は元貴と涼ちゃんと洋服を買いに行く日。
玄関で「若井まだー?」と声をかけている元貴に近づいて笑いかける
元貴は「遅い」と言いながら笑った
もう一度謝ってから玄関の扉を開ける
空はびっくりするくらいに青い。
陽の光に目を細めながら元貴と、涼ちゃんと約束している場所に急ぐ
この青空の下、俺は通り魔にお腹を刺されて死んだ
こんにちは✨
800いいねありがとうございます😭 感想もとっても嬉しいです✨
この作品もいいねと感想よろしくお願いします🤲
次はいよいよ(?)若井さんからの遺書を大森さんたちが開けます
楽しみにしてくれると嬉しいです✨
それではまた!
コメント
3件
ガンだったってことか 刺されるのは知らなかったんだ、、 刺したやつ許せない
そんな、そんな、若井さんの、幸せを壊さないで!この理由で遺書を書いていたのか…
刺されるのが分かってたんじゃなくてガンだったのか…そりゃ遺書も書くか…じゃああの時若井さんが刺されなくても未来は変わらなかったのかな…