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大森元貴side.
若井の字で書かれた、遺書の文字
その封筒を開けるのは、少しだけ勇気がいった
中に何が書かれているのか、少しだけ不安になる自分がいる
でも、勇気を持ってあける
これが本当に若井の遺書なら、若井からの最後の言葉が書かれているはずだから
カサッと紙を広がる音が響く
涼ちゃんも俺の横に立って一緒に紙を覗き込んでいた
元貴へ まず、ごめん。隠してた。 俺、小さい頃から癌で、最近再発しちゃって。 今これかいてるとき、もう残りの時間が少ないんだよね、笑。 これ見てるってことは俺死んだんだよね。 ごめんね、最後まで元貴にさえも言えないままで。 元貴と過ごす時間が壊れるのが嫌だったの。 俺、元貴のことすごい好きだよ。 天国…いや地獄かもしれないけどずっと元貴のこと愛し続けるから。 だから、元貴に二つお願い。 一つ目、幸せになってほしいってこと。 また、好きな人見つけてさ。幸せになってよ、俺の分まで。 二つ目は生きててほしいってこと。 苦しくて悲しいことがあっても元貴ならちゃんと頑張れる。 そして綺麗な笑顔と言葉で人を救えるんだから、これからも沢山の人、救ってね。 これが、俺からのお願いです。 遺書がお願いだらけって変だけど、不器用だからこれが俺からの精一杯です。 不器用な俺からの最後の言葉、ちゃんと受け取ってよね! そして、絶対、死んだりなんてしないでよ? 元貴、ごめん、今までありがとう。 改めてだけど、元貴と過ごした時間、すっごい幸せでした。 来世でも会えて、今度こそ二人で幸せになろうね。 大好きだよ、ずっとずっと、愛してる。 若井滉斗より
遺書を読み終えると、紙にぽたっと涙が落ちる音がした
若井からの遺書に涙が落ちて、インクが涙で滲む
omr.
なんで教えてくれなかったんだろう
教えてくれたら
もっともっと一緒にいれた
仕事なんてそっちのけで
治す方法だって探せた
どんな大金がかかろうが
借金を背負おうが
若井の為なら、なんだって耐えられた
いや、俺が早く若井の不調に気づいていたら
今思えば定期検査が多かったこと
元気のないことが増えたこと
食欲が少し落ちたこと
気づける瞬間なんて、たくさんあったはずだ
なんで、気づけなかったんだよ
ずっとずっと、一緒にいるって、決めたのに
今どんなに後悔したって、若井は戻ってこない
今俺は、__こんなに若井に会いたいのに
若井の匂いに包まれたい
若井の声が聞きたい
若井の手で抱きしめられたい
頭を撫でて、涙を掬ってほしい
若井に触れたい
若井に触れてほしい
吊り目がちの目
逞しくてがっちりした体躯
笑うと目尻にできる小さい皺
鼻筋の通った鼻
程よく引き締まった筋肉
頼り甲斐のある、いつも眺めた背中
全部が、懐かしい
そして、同じくらいに愛おしい
元気がなかったあの日慰めてくれた瞬間も
寂しかったあの夜、傍にいてくれた時間も
騒がしい朝、笑いあった瞬間も
静かな夕暮れ、ギターの練習をした時間も
眠れなかった明け方、ココアを作ってくれた瞬間も
全部全部覚えているんだ
若井がいた、世界をまだ
身体全部で、欲してるんだ
『絶対、死んだりなんてしないでよ?』
若井の遺書の言葉が頭の中に鮮明に蘇る
そんなの、無理に決まってる
若井に、今すぐ逢いたいんだ
fjsw.
omr.
涼ちゃんに腕を振り払ってキッチンに急ぐ
包丁を手に取る
これをお腹に突き刺せば、俺はまた、
若井に逢えるんだ…!
fjsw.
omr.
fjsw.
omr.
omr.
fjsw.
omr.
そう言って、俺は自分の腹部に包丁を思いっきり突き刺した
痛い、でも、
今から若井に逢えるなら、こんな痛み、なんてことない
若井に逢えるんだ、もうすぐ
震える手で若井の遺書を握る
大丈夫、もうすぐ若井の所に行くから、
全然怖くないや
今までありがとう、涼ちゃん
俺は先に、若井の所に行くからね
涼ちゃんなら、きっとうまくやれるよ
大丈夫
涼ちゃんの強さは偉大なものだから。
ばいばい、世界
こんにちは
前作♡700ありがとうございます 感想も来てて、めっちゃ嬉しいです
この作品も♡&💬よろしくお願いします
この作品は次話で最終話です 涼ちゃんサイドから始まります
それではまた
コメント
6件
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙……😭最初の方に感じた、何となくの嫌な予感が、当たってしまった…💦 次回、最終回…ドキドキしながら、待ってますね🫣
うわぁ、、、、❤️さぁん、、、、、、 もう、、 なんでしか言葉がでないよ、、、 最終回…みたいけどみたくないよ、、、 いっぱいないちゃうよおおお😭
次回が最終回か…遺書の内容から大森さんへの愛が伝わってきて思わず泣いてしまいました😢大森さん…涼ちゃんを置いていっちゃ駄目だよ…🥲若井さんからの最後のお願い…本当に切ない😭続き楽しみです😖