転入時に聞かされていなかった、この学校の残酷な「試」のルールを聞いて、僕の闘争心はますます燃え上がった。
生徒Aが一通り話終えると、今度は無条さんが待ってました、と言わんばかりの勢いで、
無条さん
ちなみに、「試」の主なルールは全部で6つあるんだの。

無条さん
一つ目は、さっき説明した通り各クラスでの競争、ということ。

無条さん
二つ目は、2人組で各クラス16組のペア、という構成で「試」を行う、ということ。

無条さん
そして三つ目は、その16組の中から抽選して、2組ずつの「OEs」というもの……つまり、対闘相手を作って、

無条さん
各組1試合ずつ行う、ということ。

無条さん
で、

無条さん
抽選方法はあみだくじなんだの。

無条さん
平等でしょ?

円世
うん……。

本当にそうだろうか、と思いつつも、とりあえず適当に返事をしておく。
こういう厳格な規則で定められた「試」なのだから、まさか不正等を働くことは不可能であろう。
と思う反面、厳しいが故に、なんらかの方法で不正をしようとする者がいても、おかしくはない。
無条さん
で、

無条さん
四つ目は、対闘に勝利する条件は、自分たちのOEsのHPを 0%にする、ということ。

円世
HPってなんなの……?

無条さん
HPっていうのは、

無条さん
「精神ダメージ測定器」略して「SDJ(Spiritual Damage Judgemental)」というモノで計測される、

無条さん
心理状態の変化の度合いのことだの。

無条さん
「SDJ」は、対闘開始直前に自分の頭に付ける装置のことで、

無条さん
HP 100%っていうのは、装置時の心理状態を表しているんだの。

無条さん
つまり、OEsの感情をいかに揺さぶり、装置時とかけ離れた心理状態、HP 0%にするか、

無条さん
というのが対闘の決着条件の一つなんだの。

円世
一つってことは、他にも条件があるってこと……?

無条さん
そーゆうこと。

無条さん
もう一つの決着条件は、対闘が始まってから30分経っても、どちらの組も全滅しなかった時。

無条さん
この時は引き分け、となるんだの。

無条さん
まぁ、こんなことはめったにないけど

無条さん
こうなると手に入れられるポイント、通称「FP(Fighting Point)」が、少なくなってしまうんだの。

無条さん
つまり、上位には入りにくい、ということになるんだの。

円世
「FP」って何?

新しい言葉が次々と並べられていく中で、一つずつ整理しながら自分の中に落とし込んでいく。
無条さん
順を追って説明するね。

無条さん
五つ目は順位付けについて。

無条さん
対闘は2人1組で行うよね。

円世
うん……。

無条さん
だから、2人で相談して、その試合でどちらが「プレイヤー」で、どちらが「サポーター」かを決めるんだの。

無条さん
サポーターは、勝ち負けに関係なく、プレイヤーを支援した活躍度合いに応じて「SP(Supporting Point)」が、与えられるの。

無条さん
で、

無条さん
プレイヤーには、さっき説明した「FP」ってのが与えられるの。

無条さん
「FP」の得点基準は、開始から決着までにかかった時間と、その試合で使用した「手法」、そして決着時の自分の残りHPの総合得点を用いるんだの。

無条さん
そして、各クラスで8試合が消化された時点で最も「FP」が高かったプレイヤーから順に、一位、二位、……といった具合に最終順位が決まるんだの。

ここまでの無条さんの超丁寧な説明を受けて、あることに気づく。
円世
それって……、サポーターは昇格できないってこと?
