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一ノ瀬 遙稀

この当たりは海が近いからかなり…

奥田 沙奈

東山 勝輝

東山 勝輝

10分後には5mの津波が来るって、

一ノ瀬 遙稀

やばいな、

奥田 沙奈

一ノ瀬 遙稀

(奥田…)

一ノ瀬 遙稀

とにかく早く逃げよう、!

東山 勝輝

そうだな

一ノ瀬 遙稀

まだか…?!

東山 勝輝

もうあれから5分たってる、

東山 勝輝

もうそろそろここら辺も海になる

一ノ瀬 遙稀

…っ!

一ノ瀬 遙稀

高台がないな、

一ノ瀬 遙稀

まずいぞ

東山 勝輝

仕方ないからここら辺でもう上がろう

一ノ瀬 遙稀

東山 勝輝

あの建物の屋上に登ろう

一ノ瀬 遙稀

一ノ瀬 遙稀

そうだな

一ノ瀬 遙稀

地面にいるよりかはましか

奥田 沙奈

すると奥田さんは突然立ち止まった

一ノ瀬 遙稀

…!!!

一ノ瀬 遙稀

何してるんだ!!奥田!!

東山 勝輝

奥田さん!!

一ノ瀬 遙稀

早く逃げるぞ!!!!

一ノ瀬 遙稀

海面が上がってる!!

一ノ瀬 遙稀

いつ津波が来てもおかしくないんだ…!!!!

一ノ瀬 遙稀

お願いだから足を止めないでくれ

東山 勝輝

奥田さん…!

奥田 沙奈

わかってるよ!!!!!!

一ノ瀬 遙稀

!!

東山 勝輝

!?

奥田 沙奈

そんなことわかってるよ…!!!!!

奥田 沙奈

でも、

奥田 沙奈

彩希がいないのに…

奥田 沙奈

逃げる意味なんてあるのかな…

奥田 沙奈

これから私ひとりでどうやって生活していけばいいの

一ノ瀬 遙稀

奥田のことを探してる家族がいるだろ…!!

東山 勝輝

そうだよ、こんなところで死ねないよ

東山 勝輝

死なせない

奥田 沙奈

彩希は家族みたいなものなの

奥田 沙奈

ただの友達でも…親友でもないの…

奥田 沙奈

彩希だって…家族なの…!!!!!

東山 勝輝

一ノ瀬 遙稀

奥田 沙奈

私、、逃げない

一ノ瀬 遙稀

は?!

一ノ瀬 遙稀

奥田、さっきから何言ってんだよ…

しっかりしろよ!!!

奥田 沙奈

?!

東山 勝輝

一ノ瀬 遙稀

家族なら尚更…

一ノ瀬 遙稀

お前が死んだら横浜が悲しむだろうが…

奥田 沙奈

…彩希はもう居ない、

奥田 沙奈

彩希だけ…私は生き残ってる…

奥田 沙奈

そんなの…

一ノ瀬 遙稀

俺の言い方が悪かった。

一ノ瀬 遙稀

あそこは3階だったし

一ノ瀬 遙稀

たしかに怪我はおってると思うけど死んではない

一ノ瀬 遙稀

横浜だってあんなところで死ぬのは嫌だと思う。

一ノ瀬 遙稀

きっと何処かで手当をしてもらってると思う

一ノ瀬 遙稀

一ノ瀬 遙稀

勿論…確実に生きてる保証はできない…

奥田 沙奈

…!

一ノ瀬 遙稀

だけど

一ノ瀬 遙稀

横浜が死んだかも言いきれない!!!!!

一ノ瀬 遙稀

誰もあれから横浜を見ていないから心配なのはわかる

一ノ瀬 遙稀

俺も心配だ

一ノ瀬 遙稀

でも、生きているということを前提に過ごそう。

奥田 沙奈

……。

東山 勝輝

確かに…

東山 勝輝

あいつは…勉強は出来ないけど

東山 勝輝

運動神経いいからな

東山 勝輝

きっと、!受け身でもとったんじゃないか?

一ノ瀬 遙稀

それはさすがに無理だろ笑

奥田 沙奈

奥田 沙奈

皆、

奥田 沙奈

ごめんね。

奥田 沙奈

私、ここで死ねない

奥田 沙奈

家族のためにも…彩希のためにも…!

一ノ瀬 遙稀

…逃げよう

東山 勝輝

そうだな

奥田 沙奈

うん…!!!!!

東山 勝輝

ここまで来れば…

奥田 沙奈

…あっ…!!!!

一ノ瀬 遙稀

…俺らの、、、

家が…

その時俺が見た光景はあまりの威力に

ショックを受けた

何もかも飲み込まれていく

俺が生まれ育った家が、

通学路が

公園が

あれだけ嫌だった学校でさえ

自然の力にさからえず流されていくこの光景が

俺の胸に深く突き刺さった

そして自然と涙か頬を伝っていった

そして数分後には何も感じなくなった

段々と目尻が熱くなっていく

その時

奥田 沙奈

あ…ぁれ…!!!!!

奥田 沙奈

女の子、、、!!

一ノ瀬 遙稀

?!

東山 勝輝

え、、!!

女の子

…たすけて…

女の子

たすけて!

東山 勝輝

あんなに小さな子が…

東山 勝輝

もう…あの子は…

大人でも死んでしまうし

建物でさえ流されてしまうくらい強い力を持つ津波には

あの子は勝てない…

きっとここで…死んでしまう…

東山 勝輝

東山 勝輝

(何もしてあげられず)

東山 勝輝

(ただ見てるだけ…)

東山 勝輝

(本当に俺は何の役にも立てない…)

東山 勝輝

(死ぬべきはあの子じゃなくて俺の方かもな)

一ノ瀬 遙稀

待ってろ!!!!

一ノ瀬 遙稀

今助けに行く!!!!

奥田 沙奈

え、!!

東山 勝輝

?!

奥田 沙奈

一ノ瀬君…!!!!!

東山 勝輝

遙稀、!!

女の子

たすけてー!!

一ノ瀬 遙稀

そこだな、、!

奥田 沙奈

遙稀君…!!!!

東山 勝輝

おい、まさか、

奥田 沙奈

この津波の中に飛び込んだりしないよね…

一ノ瀬 遙稀

また会えたら会おうな

奥田 沙奈

…そんな…!

東山 勝輝

待てよ!!!!

バシャン

東山 勝輝

自殺行為だぞ、こんなの

奥田 沙奈

一ノ瀬君…死なないよね…

東山 勝輝

!

東山 勝輝

あ…あぁ…

東山 勝輝

あいつならきっと

一ノ瀬 遙稀

うわっ…!

奥田 沙奈

一ノ瀬君!!!!!

一ノ瀬 遙稀

この子を頼む…!!!!!

東山 勝輝

あいつすげえな!!

東山 勝輝

屋根の上に乗りやがった!!!

奥田 沙奈

わ、私に!!

奥田 沙奈

おいで!!あと少し!

女の子

!!

女の子

ウエーン…!!!!!

女の子

ままぁー!!

女の子

怖かったよー…!

一ノ瀬 遙稀

(´˘`)

一ノ瀬 遙稀

よかった、、

奥田 沙奈

一ノ瀬君…!

一ノ瀬 遙稀

おう…!

一ノ瀬 遙稀

あと少しで手を掴めたのに

一ノ瀬君が立っていた家はあっという間に崩れて波に飲み込まれていった

そしてそれからもずっと探して一ノ瀬君の名前を呼び続けたけど

遙稀君が返事を返してくれることは無かった

東山 勝輝

…まさか

奥田 沙奈

そ、そんな、

奥田 沙奈

一ノ瀬君は…あの子の命と引き換えに…

東山 勝輝

東山 勝輝

俺じゃできなかった

奥田 沙奈

奥田 沙奈

当然だよね

奥田 沙奈

なんでだろう…

奥田 沙奈

いい人ほど死んでしまう

奥田 沙奈

私の方がよっぽど生きてる意味なんてないのに…!!

奥田 沙奈

なんでよ…!!!!

東山 勝輝

そんな事言わないで

東山 勝輝

俺の方が何も出来てない

東山 勝輝

何の役にも立てない役立たずだから

奥田 沙奈

東山 勝輝

どんだけ辛くてもあいつが…

東山 勝輝

今まで命を落としてきたみんなが繋いでくれた命だ…

東山 勝輝

生きなくちゃ

奥田 沙奈

…!

奥田 沙奈

…うん…

次回 第3話

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