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第1話 - …

33

2022年01月30日

#みても見なくてもいい話

黒須瑠裏

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黒須瑠裏

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姉

…運命の人だった愛されたい…

悪辣

無意識に言ってしまっただけ。
本当はどうでもよかった。

悪辣

ただ先に死んでいくことに
なんとなく腹が立った。

悪辣

どこかで聞いたようなを姉は語る。
「彼が運命の人だった。だからどうしても愛されたかった」

悪辣

ふざけんな！そんなことくらいで
わたしの先を越そうだなんて！

悪辣

欲しいものが手に入らないなんて
奪われたことすらないくせに…！

姉

………

悪辣

「話したら楽になった」って、
姉は、消えてった…

悪辣

さあ今日こそは飛び降りるぞ、と靴を脱ごうとしたらそこに、

悪辣

背の低い女の子がいた。
またも声をかけてしまった。

…クラスで居場所がなくて

悪辣

その子はクラスでの孤独を語る。
「誰もがわたしを無視して何もかも奪われて、居場所がないんだ」

悪辣

ふざけんな！そんなことくらいで
わたしの先を越そうだなんて！

…

悪辣

それでも、うちでは愛されて
あたたかいごはんもあるんでしょ？

はい…家に居場所はありますｸﾞｽ(泣)

悪辣

なら良いんだよﾆｺｯ

悪辣

家に居場所があるなら…

悪辣

そうやって屋上に来る何人かに
声をかけて、追い返して
わたし自身の悩みは誰にも言えずにいた。

悪辣

初めて出会った。似たような悩みの子。

悪辣

何人目かに見つけた、黄色いカーディガンの子。

私…家で虐待されて学校も………

悪辣

「家に帰る度に虐待を繰り返され、増え続ける痣を、体ごと消し去ってしまうためにここに来たの」と言った。

悪辣

ああ、どうしよう
この子は止められないわたしには止める資格がない。

………

悪辣

それでも、ここからは消えてよ。
君を見ていると苦しいんだ。

じゃあ今日は辞めとくよ…

悪辣

今日こそは、誰もいない。
わたしひとりだけ
誰にも邪魔されない
邪魔してはくれない。

悪辣

カーディガンは脱いで
三つ編みをほどいて
背の低いわたしは

悪辣

今から飛びますﾆｺｯ