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晩夏、君だけが居なくなる.

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晩夏、君だけが居なくなる.

2 - 『タイムリープの代償』

♥

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2025年08月10日

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若井滉斗side.

ふわふわとした浮遊感

目を開けると、白い光はすでに消えていた

携帯の日付を確認する

『七月三十一日』

W.H

…ほんとに…戻れてる…?

何がきっかけかわからないけど、本当に時間が戻っている

これで、元貴を助けられる…!

携帯につけたギターのキーホルダーを手で包む

ギターのキーホルダーは成人式の日に元貴と渡し合ったもの。

大事にしていたおかげで八年経った今でも今でもあの時のまま残っている

このキーホルダーを見ると、

緊張も不安も全部無くなっていく気がして

俺の中の大切な宝物の一つだ

心配になって元貴に電話をかける

電話は元貴にすぐ繋がった

O.M

なに?

W.H

いや、生きてるかなって

O.M

笑、どういうことよ

W.H

あ、そうだ元貴。
明日の仕事さ、無しにできない…?

O.M

どうして?

W.H

…なんか、不安っていうか、…

O.M

…ん……無理そう

W.H

そっか、だよね。

O.M

なんかあったの?

W.H

…ねえ、元貴はさ、死んだりしないよね?

冗談みたいに、言った

『死んだりなんてするわけないじゃん』

元貴はそう言って笑った

ーーー

八月一日、どんよりした曇り空

俺は元貴を車で送るために仕事場の前で待っていた

歩いて帰って来なければ轢かれることもないと思った

俺が車で送れば、元貴はきっと死なないはずだ

W.H

あ、もとき、!

O.M

…若井、!?
えー…どうしたの?

W.H

送ってってあげる。
疲れたでしょ?乗りなよ

元貴はにっこり笑って「別にいいのに」と言った

元貴が助手席に乗り込む。

シートベルトをしたのを確認して車を発進させる

そのまま他愛もない話をしながら元貴の家に向かう

そして、元貴の家にたどり着いた

元貴はありがと、と微笑みながら車を降りる

そして家に向かいながら俺にぶんぶんと手を振った

俺は手を振りかえしながら元貴に手を振りかえす

その時、だった

黒い帽子

長袖のパーカー

長ズボン

眼鏡にマスク

その人影は間違いなく元貴に向かって行った

躊躇いも迷いも感じない、真っ直ぐした歩き

嫌な予感がして。

俺が運転席を降りた時だった

『あ゛っっっ゛!!っうぁ゛っ!』

元貴の一瞬の断末魔

そして、元貴の家のドアに勢いよく噴射される鮮血。

元貴は首を切られた

皮一枚繋がった元貴の顔の目と目が合う

俺はまた心の中で叫ぶ

また、戻させてください、と

ーーーーー

それから

俺は何回元貴が死ぬ瞬間を見ただろう

車で送って家の前まで俺が歩いて送っても

俺の家に元貴を泊めても

無理を言って仕事を中止にしても

二人で歩いて元貴を守っても

涼ちゃんも誘って三人で電車を使って帰っても

タクシーを使って帰っても

何をしても

元貴が死んだ

運転をミスした車に轢かれたり

誰か知らないおじさんに電車のホームに突き落とされたり

怪しい男の人に刺されたり

通行人に腹を刺されたり

水位が上がった川に突き落とされたり

知らない男に捕まって暴行されたり

俺がタイムリープするたび

元貴は殺され続けた

その度に

「次こそは絶対に助ける」と決意したのに

何回やっても元貴は助からない

世の中は全然うまくいかない

どうしてタイムリープしたのか

どうして元貴だけ死ぬ運命なのか

何がきっかけで、何のおかげでタイムリープ出来ているのか

他にもタイムリープしている人はいるのか

全然わからないままなのに

俺はこのタイムリープの代償だけを

知ってしまったんだ

こんにちは

前作♡1000ありがとうございます🫶 感想も沢山きてて嬉しいです

タイムリープの代償もですけど、 若井さんの「タイムリープのきっかけになった物」も 考えながら見てくれると嬉しいです💕 因みに…もうその「物」は出てきてます。

この作品も♡&💬よろしくお願いします

それではまた、

この作品はいかがでしたか?

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