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紅蓮と漆黒がぶつかり合うその刹那
リリィの耳に懐かしい声が届いた
「 やめなさい 。莉里」
リリィの全身が硬直する
熱狂のように渦巻いていた黒紫の妖気が 吸い込まれるように消えていく
フィール
炎槍を握りしめたままフィールは目を細めた
さっきまで館全体を覆っていた圧力が嘘のように消えていた
その不可解な現象に警戒心が募る
フィール
だがリリィは答えない。
拳を震わせ、唇を噛み締めやがて押し殺した声を漏らす
リリィ
その瞬間、フィールの瞳が揺れた
リリィ
リリィの肩が震えていた
噛み殺した言葉が溢れ出す
リリィ
吐き捨てる言葉とは裏腹に、リリィの赤紫色の瞳に 涙が滲んでいる
リリィ
リリィ
声が薄れ,膝が崩れる
それでもリリィはフィールに想いを伝える
その姿を見つめるフィールの胸が初めて痛んだ
冷静な仮面が崩れ震える声が零れる
フィール
フィール
フィール
フィールの頬を涙が流れる
冷徹と呼ばれた鬼王の仮面が音を立てて崩れていく
フィール
リリィ
2人はゆっくりと歩み寄り、互いの腕に飛び込んだ
涙と共に憎悪も、嫉妬も、長い確執も溶けていく
フィール
リリィ
そして抱き合った瞬間館全体を覆う妖気がはれ 柔らかな光が降り注いだ
2人は抱擁のまま人間の姿へと戻り 淡い霧に包まれて消えていく
リリィとフィールが共に消えた館の上空
セラフィスは静かにその光景を見届け,瞳を伏せた
セラフィス
だがその口元には哀しげな影が差す
あの姉妹の姿がどうしても響の面影と 重なって見えてならなかった
雲を割るように地上へ降り立つセラフィス
そこには疲労しきって眠る響がいた
セラフィス
翼を広げ、静かに降り立つ
肩に手を置く仕草は自然だが、緊張を隠しきれない
響
弱々しく目をあけ,安堵の息をつく
響
セラフィス
セラフィス
その瞳は虹色に揺れ冷静さの裏にほんのり心配を 滲ませる
響