テラーノベル
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週が明けてすぐ、嫌な光景を見た。
橙の机の中に、ぐしゃぐしゃにされたプリントや折れたシャーペンが詰め込まれていた。
誰の仕業かは書かれていない。
けれど、無言の悪意は、橙の孤独をさらに際立たせていた。
緑 。
俺が小さく呟いたとき、ちょうど教室に入ってきた橙と目が合った。
橙 。
緑 。
何も言えなかった。
机を見て、すぐに異変に気づいたはずなのに、橙は無言でそれを片付け始めた。
表情は、まるで何も感じていないように見えた。
でも_わかる。
それが、彼女なりの"耐え方"なんだって。
俺はその日、放課後も声をかけられなかった。
猫カフェにも行けなかった。
行けば、きっと彼女はいつも通り接してくれる。
でも、それじゃ足りかなかった。
次の日、思い切って彼女の席に向かった。
教室中の視線が一斉に集まる。
誰もが"え?"って顔をしていた。
それでも俺は構わず、彼女に声をかけた。
緑 。
彼女は少し驚いたあと、ゆっくりと眉をひそめた。
橙 。
緑 。
橙 。
彼女は席を立ち、俺の方に歩いてくる。
そして、周囲に聞こえるくらいの声でこう言った。
橙 。
橙 。
ざわつくクラス。驚きの視線。
でも、俺は気にしなかった。
いや、しなかったことにした。
帰り道、二人で並んで歩く。
橙 。
橙 。
緑 。
緑 。
橙 。
緑 。
橙 。
その声はかすれていて、いつもの橙の強さとは違った。
俺はポケットから小さなキャンディを取り出し、彼女の手にそっと渡した。
橙 。
緑 。
橙はそれを見つめて、小さく笑った。
橙 。
でもその笑顔が、また少しだけ優しくて、俺は嬉しかった。
"怖い"なんて、もう誰にも言わせたくない。
俺が、ちゃんと知ってるから。
橙の本当を。
コメント
1件
ないす緑さん!学校でもちゃんと橙さんと接することができた!