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石段を上がるたびに、祭りの音が遠ざかっていく。
屋台のざわめき。
笑い声。
金魚すくいの水音。
それらが薄い膜を隔てた向こう側のように感じられた。
太鼓だけが、やけに近い。
どん。
どん、どん。
同じリズム。
まるで心臓の鼓動みたいに。
ぺいんと
しにがみ
トラゾー
しにがみ
クロノア
俺は社の前で立ち止まる。
閉じられていたはずの扉が、わずかに開いている。
しめ縄は、相変わらず切れていた。
クロノア
しにがみ
トラゾー
風はない。
それでも、縄の端がかすかに揺れている。
どん。
太鼓が鳴る。
胸の奥がざわつく。
知っている、この音。
さっき聞いたな。
いや、それだけじゃない。
“繰り返している”ような感覚。
なんだ、これは…?
クロノア
ぺいんと
しにがみ
クロノア
俺は扉に手をかけた。
ひやり、と冷たい。
夏の空気とは思えない温度だな…
ゆっくり押す。
きい、と小さく軋んだ。
中は、空だった。
祭壇も、御神体もない。
ただの暗い空間。
しにがみ
トラゾー
ぺいんと
床の中央に、丸い跡。
何かが置かれていたような痕。
その周囲に、黒い擦れ跡。
円を描くように。
…どん。
太鼓が止んだ。
ぴたり、と。
ぺいんと
しにがみ
トラゾー
不思議に思い全員が振り返った。
石段の下。
屋台の明かりはある。
人もいる。
けれど――動いていない。
金魚の水が跳ねたまま止まり、
笑い声をあげたままの顔が凍りつき、
提灯の火が揺れたまま固まっている。
クロノア
しにがみ
トラゾー
俺はゆっくりスマホの画面を見た。
クロノア
ぺいんと
しにがみ
表示は確かに、0:00。
けれど、
秒数が動かない。
00のまま。
クロノア
トラゾー
クロノア
…なんで俺進めないって分かるんだ?
なんとなく空を見上げた。
月が、はっきりと赤い。
しかも、さっきよりも濃い。
赤い月
声が、落ちてきた。
空全体から響くような声。
ぺいんと
しにがみ
トラゾー
クロノア
赤い月
赤い月
ぺいんと
しにがみ
赤い月
赤い月
赤い月
言葉が、途切れる。
社の奥。
暗闇が、ゆらりと揺れる。
輪郭の曖昧な影が、ゆっくり滲み出る。
それは人の形に似ているが、境界が不安定だった。
???
声は低く、擦れるよう。
ぺいんと
しにがみ
トラゾー
クロノア
???
???
ぺいんと
???
赤い月
???
影はゆっくりと後退し、闇に溶ける。
赤い月
どん。
それまで止まっていた太鼓の音が、続きから鳴りはじめた。
てるてる坊主
てるてる坊主
てるてる坊主
てるてる坊主
てるてる坊主
ぺいんと