歌姫の約束①

私の幼馴染 加奈は

歌姫を目指していた

涙目になる加奈

これは本当のことだ

加奈は小学生にして

ありえないほどの美声を

維持している……

私はそんなに

歌はうまくない……

ダンスはできるけど

加奈ほどの美声など

持っているわけない……

加奈はキラキラとした目で

たんたんと語り続けた

私はそれを

ただじっと聞いていた……

そう思っていたのに…………

高校生になった加奈は

小学生よりも美声になり

有名なカラオケ番組にも

出演し小さなスターに

なっていた……

オーディションも受けて

合格を貰い

充実した日々を送っていた

だけど

とある日……

カラオケから帰ってる途中

加奈は────────

交通事故に遭った……

その事故のせいで

加奈の声は出なくなり

お喋りもまともに

できなくなり

そのショックで加奈は

鬱にもなりかけていた……

私は加奈を慰めるために

何度も病院に行って

たくさんお喋りをした

だけど……

何も喋れない加奈は

うなづくか メモを書くこと

以外なにも

しなかった…………

スッ……

加奈は1枚のメモを私に

差し出した

『流歌 私の為に歌姫になるって約束してちょうだい』

歌姫

それは加奈が

最も 叶えたかった夢

そしてまた1枚

スッ……と メモを渡す

『もう流歌にしか できないことだから 叶えて』

私には無理

それしか考えられない

加奈の夢は叶えられない

だいたい加奈は無責任だよ

交通事故だって……

ただの自業自得じゃん……

意味わかんない

加奈はメモになにかを

急いでかくと

スっと前に出した

『約束』

私は気づくと

病室を飛び出していた

第2話へ続く