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あれから少しして、
第一次世界大戦が始まった。
きっかけは、オーストリアのサラエボ事件。
それでまぁ、オーストリアが宣戦布告したんだけど。
なんか...うまくいかないみたいだねぇ。
僕は僕で動いてたけど、戦果はイマイチだったから増援もいってあげられないし。
おかしいなぁ、全盛期の戦果ならなんとかなってたのに。
まぁ過去の栄光に縋っても意味なんてないからどうでもいいけど。
それでまぁ、こっちが大分ぐだぐだだったから、
負けちゃって、
なんか僕より先にオーストリアの方の帝国が崩れて、
一時的に消えて、
僕も国名が変わった。
トルコ
…そういえば、WW1勃発からオーストリアのことを見ていない。
もしかして...食われたのかな。
あんだけ美味しそうな香りなら仕方ないけど...
……包囲の失敗が悔しいなぁ。
でも彼のお陰か、
他の蝶に反応しなくなったから、
正直楽ではあるけど...
…食べてみたかったなぁ、一口くらい。
あぁ、それで思い出したけど、
戦争の時、なんで僕彼のこと守ったのか、
未だにわかんないんだよねぇ。
なんだったんだろ、あれ...
そんな事を考えていると、
玄関の方からインターフォンが鳴り響いた。
僕、誰か呼んだっけな...
そんなことを考えながら、玄関を開ける。
…そこには、
オーストリア
あの香りが、
目の前に居た。
トルコ
どうする。
100年以上前から感じていなかった食人欲求が、
急速に高まっていく。
今ここで食えば、全部食える。
だけど、もし、万が一にも蛾だったら...
というか、どうして今更...
オーストリア
オーストリア
トルコ
そもそも当時、記憶が曖昧なのだ。
お茶の約束したことも多分、あの後オーストリアが何も言わなければ忘れてただろうし...
オーストリア
オーストリア
…背筋が、凍った。
いつから知って。
いや知ってるが普通なんだけど、
でも、今までそんな挙動は見てないはず...
だったら、どこで自覚して、
どこで分かって?
オーストリア
オーストリア
オーストリア
オーストリア
何も言えなかった。
あの時、彼はなんも言わなかったから、てっきり大丈夫だと思ってたのに。
彼の手が、頬に触れる。
甘い香りも、近づいて...
トルコ
思わず手を振り払う。
そのまま爪をもいで食ってしまいたい欲を必死に抑えて、
食わないように、制御して。
オーストリア
困ったように笑う。
どうして。
君自身が蝶或いは蛾だって気がついてるんなら、
食われちゃうのに。
蛾で僕のこと殺せるとしても、食われた後だったら意味なんてないのに。
どうして笑っていられるのか、
不思議で仕方がなかった。
オーストリア
オーストリア
そんな声が聞こえたと思うと、
僕の手はまっすぐに彼へと伸びていた。
だめ、だめ。
食べたら、食べちゃったら...
…どうして、だめ?
だって、今のところ彼との交流関係もない。
恋愛感情もない。
敵対してたとか仲良くしてたとか、そんなのも過去の話。
彼も、よくわかんないけど食ってほしいみたいだし、
別に、いいんじゃ。
…僕はなにと戦っていたんだろう...?
ふと、意識を現実に向けてみると、
僕の手は、彼の右目をえぐっていた。
ぐちゃ、ぐちゅり。
内蔵の音が、部屋に木霊する。
彼が押し潰した声が聞こえたけど、どうでもいい。
もう、僕は十分我慢してきた。
帝国も捨ててきた。
だったら、もうそろそろ、
食べてもいいはず。
抉り取った彼の右眼を、少し見つめる。
綺麗な緑色。
かつて眼帯で隠れていた緑は、
今、僕の手元にある。
ふふ、嬉しいなぁ。
見つめるのもほどほどに、彼の目玉を口へと運ぶ。
こんなに美味しそうなもの、
どうして今まで我慢してたんだろ。
彼の目玉を、今度こそ口の中へと放り投げる。
ぐちゃっ、と一思いに噛んでみる。
____________________________違う。
これは、なんだ。
なんの味だ。
少なくとも、それの味を認識した瞬間、
蝶や蛾のものでも、蜘蛛でもヒトのものでもないとわかった。
怖くなってそれを吐き出そうとする。
…だけど。
何者かが、僕の口を塞いで、
吐き出すことは、できなかった。