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雨乃 こさめ
暇 懐
雨乃 こさめ
朝1番
昨日落ち込んでいたのがなかったかのような明るい声が、俺を起こした
ゆっくりと目を開けると
澄んだ水色がこちらをじっと見つめている
雨乃 こさめ
暇 懐
気怠げにかえすと
何処か嬉しそうに笑う
キラキラとした笑顔でこちらに向かってピースする姿は
俺の目を覚ますには充分、眩しかった
電車に揺られ、久しぶりに少しだけ遠出をする
暇 懐
雨乃 こさめ
雨乃 こさめ
予定通りこさめの行きたい場所に行くことになって
決まった行き先は水族館だった
理由を尋ねてみたら、泳いでる魚たちがみたいらしい
たまに1人で行くくらい好きなのだという
目を輝かせて言われたから、本当に好きなんだろう
雨乃 こさめ
昨日までの暗い雰囲気はなかったかのように、楽しそう
けど…やっぱりそんな姿に心配は尽きない
暇 懐
雨乃 こさめ
暇 懐
少しでも
嫌なこと全部吹き飛ばすくらい今日は…
ありのままのこさめで笑ってくれたら嬉しい
少しでも、生きたいって思ってくれたら
雨乃 こさめ
暇 懐
暇 懐
雨乃 こさめ
暇 懐
着いてからしばらく歩いて回って
今目の前にあるのは大きな水槽
淡い青のライトに照らされて
魚たちがゆっくりと泳いでいる
雨乃 こさめ
何処か神秘的で
不思議な光景
たまに冗談を言い合うけど
水族館に着いてから基本こさめは、ただ水槽の中をじっと見つめていた
暇 懐
透き通るような瞳が、真っ直ぐと水槽の中を見つめている
たまに惜しむように手を伸ばして、降ろして
寂しそうな
悲しそうな
泣いてしまうんじゃないかってくらいの顔をする
何を考えているのだろう
きっと、俺には考えられないくらいいろんなことを考えているのだと思う
あんなにはしゃいでいた子供っぽい姿と
何処か大人っぽい表情で見つめる姿を対比して見る度に
その間が、俺を惑わせる
いつか、消えてしまうんじゃないかって…
やっぱり、そう思ってしまう
怖いのに、綺麗で
俺まで惜しんでしまいそうだった
しばらくしてから休憩と言って
2人してベンチに座った
深海コーナーの真っ暗な雰囲気に
また不思議な気持ちになる
雨乃 こさめ
こさめはぽつりと呟きながらそう言った
暇 懐
独り言のように言ったその言葉に返してみるも
こさめにはお見通しだったらしく
クスッと笑いながらこちらを見た
雨乃 こさめ
暇 懐
雨乃 こさめ
雨乃 こさめ
雨乃 こさめ
心配じゃないと言ったら確実に嘘になる
あまりにも儚くて
暇 懐
雨乃 こさめ
雨乃 こさめ
暇 懐
暇 懐
雨乃 こさめ
こさめは少し考えたようにしてから
こちらに手を差し出してきた
雨乃 こさめ
雨乃 こさめ
雨乃 こさめ
暇 懐
俺は戸惑いながらも
優しく…壊れ物を扱うかのように触れてみる
白くて、俺より一回り小さくて
けど…凄く、安心した
手を繋いだまま
こさめにされるがまま連れてこられたのは
水族館のお土産コーナー
お菓子からキーホルダーから
定番のものは勿論たくさん並んでいる
暇 懐
雨乃 こさめ
雨乃 こさめ
1人で来ると変なもの買っちゃうんだよね、と語りながら歩いていくその姿に
笑いながら俺もついていく
店内をぐるぐると回って
一通り見終えるくらいのとき、こさめの足が止まった
雨乃 こさめ
暇 懐
そう言って指さすのは、可愛らしい鮫のチャームがついているブレスレット
色の展開は沢山あって、男女問わず付けられそうなデザインだった
暇 懐
雨乃 こさめ
暇 懐
こさめはブレスレットをキラキラとした目で見つめながら
どの色にしようかと一生懸命考え出す
暇 懐
純粋に俺だからと言われるのも
笑いながらこっちを見てくるのも
手を繋いでるのも、全部俺にとっては特別なことなんだけど
なんて考えつつ
シンプルな嬉しさもあって
俺も隣に並んでどれにするか選ぶことにした
雨乃 こさめ
不意に、ぽつりとこさめがそう呟く
暇 懐
雨乃 こさめ
雨乃 こさめ
暇 懐
雨乃 こさめ
雨乃 こさめ
雨乃 こさめ
雨乃 こさめ
愛、と言われて最初はしっくりは来ていなかった
けど、あまりにも真剣にそう言うから
俺は気付けば…赤色のブレスレットを手に取っていた
雨乃 こさめ
家に帰ると入っていたそのメッセージ
可愛らしいありがとうのスタンプに俺も返信すると
スマホを置き、そのままベットに横たわった
暇 懐
自分の手を空に伸ばす
そこについているのは、お揃いで買ったブレスレット
俺は赤で、こさめは水色の物を買った
普段は帰ったらすぐに外すアクセサリーを
今日はつけたままでいる
結局お互いの帰路に着くまで繋いでいた手の感覚は
未だ消えてなんかくれやしない
日を追うごとに、確実に
こさめへの気持ちは募っていく
暇 懐
暇 懐
暇 懐
空みたいな、海みたいな
もしくは…優しく降る慈雨のような
そんな心地の良い雨
俺が赤だと言うのなら、お前は水色だと思う
ぼんやりとそんなことを考えながら…目を閉じた
コメント
1件
うわあ…第8話、すごく良かったです。水族館っていう閉じた空間で、こさめさんの「好きな場所」だからこそ見せる、あの寂しげな表情と手を伸ばす仕草が切なくて。でも最後に「握ってて…いなくならないように」って手を差し出すシーン、あれには本当に胸が締め付けられました。懐くんが赤、こさめさんが水色のお揃いブレスレット、色の理由づけも素敵です。二人の距離が確かに縮まっているのが感じられて、温かい気持ちになりました。
#sxxn
ゆらね🎼🍵🍍🌸
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