テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#カンヒュ絵
坂本光@イタ王推し
569
カンヒュ限定の腐女子
3,193
寿命㌫(主)
1,545
四肢が動かない。
それなのに、心拍と息づかいばかりが早くなっている。
______こわい。
窓枠に手をかけたままバリはしばし逡巡していたが
やっとの思いで手を引き離し、そろりと窓を閉じた。
うまく体から力を抜けないまま、それでもなんとか床に座り込む。
あれは、何だったんだろう。
少なくともまともな月、とは言い難い。
あれを見ておいて、この後朝が来るまで静かにしておく、なんてことはできなかった。
なんらかの悪いモノであることは確かなのだろう。
バリ
今は変なことになっているとはいえ、確かに天然の光源がある外よりも屋内は暗かった。
バリは床に手をついて立ち上がると、手探りで電気のスイッチのついた壁へと向かった。
漆喰の壁を撫で、スイッチを感触で探す。
バリ
プラスチックでできたそれを軽く押す。かちり、と小さな音がなった。
バリ
しかし、電気がついてきていないのである。
もう一度押す。かち。
やはり部屋の中は暗く、一寸先どころか自身の指先すら見えなかった。
バリ
悪いお化けに取りつかれてしまったかのように、あるいは意地のように。バリは何度もスイッチを押す。
それでも乾いた音が響くだけで、部屋は一向に明るくならなかった。
停電だろうか。
……いや、もしかしたら。
電気がつかないのではなくて。
自分の目が見えなくなっているのではないだろうか。
いくら異常事態とはいえ、か弱い星あかりくらいなら窓から差し込んでくるはず。
自分がそれを認識できなくなっているだけなのではないのだろうか。
バリ
その考えは、どうやら正解だったらしい。
唐突に目に鋭い痛みが走り、バリは両手で顔を覆い、思わずしゃがみ込んだ。
バリ
目をこすりながら、睫毛が手に触れるたび、それが瞼の裂け目なのではないかと思いひやりとする。
いやだ。
まさか、ずっと見えないままなのではないのだろうか。
そんなのって、怖いし、つらい。
冷や汗が背中を伝って気持ちが悪かった。
誰かに助けを求めようにも、家には自分一人だし、電話だって今日は繋がるかどうかすら怪しい。
バリ
ひたすら荒くなる呼吸を抑えようとして、床に座り込む。
もういやだ。
どうしよう。
逃げたいけど、立てない。
こわい_________
.
.
.
.
バリ
不意に、背中に何か触れる感触がした。
人の手、のようにも思える感触だった。すこし冷たい。
避けようとして身をよじると、素早く引っ込んで。その代わりだろうか。
「おっと、ごめんね」
バリ
頭上から声が降ってきた。
少年のようにも少女のようにも聞こえる声。
「……きみを驚かせるつもりはなかったんだけど。」
声の主は一体誰だというのだろうか。
家には自分しかいないし、鍵もかかっている。
こんな状況下で話しかけられて、怪しさはかなりあったけど_______
ひとまず、話が通じるかもしれない相手に出会えたことに安堵した。
バリ
掠れた声で精一杯絞り出した質問だった。
「……え。」
「きみは僕を知ってるはずだよ。だって……」
そこまで言って、声の主は口をつぐんだ。明らかに動揺しているようだった。
「覚えて、ない?」
バリは無言でうなずく。ぎこちなく。
バリ
「あ、ううん。謝らないで」
「それよりも言いたいことがあって」
バリ
「うん。君はね__」
コメント
1件
中途半端なところで切ってしまい申し訳ございません……! しかしながらこれ以上文字数が増えるとブラクラなみに重くなってしまうと思いまして!! ここで終了となりました…… (けして書くのがめんどくさかったという訳ではございませんよええ。)