勇者二人

五日ほど掛けて第二の街に到着した

僕の住む街よりは田舎だが それでも他の街に比べたら 発展している方だ

依頼板を差し出そうとした時 周りからクスクスと笑う声が聞こえた

すると、喚いていた冒険者が 依頼板を蹴飛ばしてきた

魔法が途切れたらバラバラになる 途切れたらってことは、この人は ずっと魔力を消費してるはず…

とんでもない化け物だ この人は

そう言いながら冒険者たちは 僕に剣を振りかざそうとしてくる

案外ボロボロの剣でも防御できるな 多分、この人達の剣術が未熟すぎて できてるんだろうけど

弱いなぁ、本当に 弱い犬はよく吠えるとは言うけど あまりに弱すぎる

このまま剣を折ってやった方が 良さそうだ、冒険者を辞めさせないとすぐ死んでしまう

僕は死神だ

僕と一緒に行動した人は みんな死んでしまう

きっと、ヘルトもいつか 死んでしまう

ツベラさんは体を少しずつ バラバラにし始めた

探知された方が手っ取り早い 僕は死を伴う探知でも構わない

え…あぁ、僕は…

ツベラさんは体をバラバラにし 散りばめられた血を一つに していく

ひとつの水晶かのように 固められた血になにかが 浮かび上がっていく

ツベラさんの体がだんだんと 消えてしまっている

血に浮かぶ何かの姿は 醜い肉塊 これが、魔王の姿か

魔王自身も爆散してかなり 弱体化しているようだ 放置してるとどうなるか分からない さっさと殺しに行こう

ここは…ゼーレ 少し遠いな この魔法使いが生きていれば 転移させてもらえたんだろうが…

…泣いてる 僕はあの魔法使いと 縁が一切ないからただ… 使い切りの道具のように感じて しまったけど

ヘルトにとっては 大事なものだったんだろう

宿で休んだ後、僕らは早速 ゼーレに向かう