男性
僕とおんなじ顔してますね。
彼は私から目を逸らさないまま呟いた。
キム・ヘリン
え?
男性
眉間に皺がよってますよ、ヌナ。
初対面でのヌナ呼びに、私は持っていたグラスを落としそうになる。
キム・ヘリン
同い年くらいに見えるけど?
勝手に年上扱いされ、そんなに老けて見えるかと私は少々苛立ちを感じた。
男性
ヌナ25ですよね?僕24だもん。
ドンピシャで言い当てられ、またグラスを落としそうになる。 私が悔しそうな顔をすると、彼は意地悪な顔をしてフッと笑った。
男性
何かあったんですか?
彼は優しく聞いてきた。初対面の人に心配されるなんて、私はよほど酷い顔をしていたのだろう。
キム・ヘリン
別に。、
男性
せっかく綺麗なのに、そんな顔じゃ勿体ないですよ。
キム・ヘリン
何?ナンパ?
美しすぎる瞳で見つめられると危うく堕ちそうになる。
男性
違いますよ。ヌナが辛そうな顔してたから。
久しぶりに人に優しくされたかもしれない。温かい言葉を聞いたのはいつぶりだろう。
思わず緩みそうになる涙腺をキュッと締めて、私も彼に尋ねた。
キム・ヘリン
そういう君だって、私と同じ顔してたんだから何かあるんでしょ?
彼は持っていたウィスキーを一口飲んで、そのままこっちを見て呟いた。