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コメント
4件
深緒を助ける降谷の精神…神過ぎた✨ ”過去を繰り返さない”って感じが最高すぎる! 次も待ってるね~♪

零くんの3年前に深緒を助けに行った回想で涙腺崩壊した😭深緒の気持ちもわかるけど、零くんの抱きしめて死ぬな頼むから…のとこがお互いすごく辛いのがわかってもうむり😭深緒が見つかってよかったぁ…零くん頑張って😭 投稿ありがとうございます🙏47話から一気に読みました!全部最高で今回も最っ高に泣けました🥹続きも楽しみに待ってます👍
ザバンッ!!
氷みたいな海水が全身へ叩きつけられる。
迷いは無かった。 考えるより先に身体が動いていた。
夜の海は黒い。 何も見えない。 冷たい海水が視界を奪う。
波が身体を揺らす。息を整える暇もない。
どこだ。 どこにいる。 焦りが喉を焼く。
深緒は傷を負っている。 出血してる中、海へ落ちたんだ。
最悪の条件だ。
降谷は必死に周囲を見回す。
何も見えない。 肺が悲鳴を上げる。 一度浮上し、荒く息を吸った。
その瞬間。
不意に別の光景が脳裏をよぎった。
降谷零
忘れるはずがない。
初めて会った時。 正確には。 初めて見つけた時。
あの日も。彼女は死にかけていた。
ー3年前ー
潜入捜査中だった降谷が、同期である松田の死を知ったのは、 その葬式が終わった日のことだった。
降谷零
知らせを聞くなり、なんだか嫌な予感がした。
松田陣平の妹で萩原研二の恋人。 ——二度、大切な人を失った人。
彼女は今一人だ。
会ったことは無い。 ただ、降谷の第六感が警鐘を鳴らしていた。
降谷零
松田は妹と二人暮しをしていると言っていた。 急いでその家へ向かう。
インターホンを押しても反応はない。 家の固定電話も繋がらない。 降谷は眉を寄せた。
降谷零
警察学校時代。あいつらはいつも笑っていた。
萩原は人の痛みに敏くて、松田は不器用なくせに優しかった。
降谷はドアノブに手をかける。 鍵がかかっていた。
降谷零
バンッ!!!
ドアを蹴破る。 その瞬間。全身から血の気が引いた。
暗い部屋。 煙草の匂い。 散らばった薬。 空になったシート。 そして。
開いた窓。
降谷は走った。夜風が吹き込む。
ベランダの手すりのすぐそばに、細い背中が見えた。
降谷零
心臓が嫌な音を立てる。女が振り返った。
松田と萩原から、何度も聞かされていた。
”松田深緒”
降谷零
掠れた声。深緒は何も答えない。
降谷零
松田深緒
食い気味に深緒が言った。
降谷零
松田深緒
風が吹く。 沈黙の中、降谷がゆっくり一歩近づいた。
松田深緒
降谷零
松田深緒
張り裂ける声。降谷が止まる。
勢いよく顔を上げた深緒の目は、泣きすぎて真っ赤だった。
松田深緒
深緒の目から涙が溢れる。
松田深緒
松田深緒
降谷零
降谷零
思わず叫んでいた。
深緒が息を呑む。
降谷零
松田深緒
松田深緒
松田深緒
松田深緒
降谷零
深緒の目からは涙が止まらない。
松田深緒
声が崩れる。
松田深緒
松田深緒
松田深緒
降谷は何も言えなかった。 ただ。苦しかった。
松田深緒
松田深緒
降谷零
松田深緒
降谷は、一歩近づいた。
松田深緒
深緒は、降谷の胸を強く押した。 でも降谷は引かなかった。 深緒の腕を掴む。
松田深緒
降谷零
松田深緒
降谷零
深緒は拒絶するみたいに叫ぶ。
松田深緒
降谷の腕を振り払った。
降谷零
松田深緒
そして。深緒は手すりへ片足を掛けた。
降谷の顔から、一気に血の気が引く。
降谷零
反射だった。 降谷は飛び出し、腕を掴んだ。 強引に引き寄せる。 深緒は必死に抵抗した。
松田深緒
松田深緒
腕を振り払う。胸を叩く。爪が食い込む。
それでも。降谷は絶対に離さなかった。
理屈じゃない。ただ、駄目だと思った。
ここで手を離したら、二度と届かなくなる気がした。
松田深緒
降谷の呼吸が止まる。
松田深緒
松田深緒
泣きながら、何度も降谷を押し返す。
松田深緒
松田深緒
松田深緒
松田深緒
降谷零
松田深緒
松田深緒
松田深緒
降谷を拒む手に力が入る。
松田深緒
松田深緒
その瞬間。
降谷零
気づけば怒鳴っていた。
深緒が固まる。
降谷零
降谷の目も赤かった。
降谷零
降谷零
降谷零
声が震える。
降谷零
降谷零
降谷零
深緒の呼吸が止まる。
降谷零
降谷が、ぐしゃぐしゃに顔を歪める。
降谷零
深緒の目から、涙が零れる。
降谷零
降谷零
降谷零
沈黙。
深緒の力が抜ける。 壊れたように、子供みたいに、泣き崩れた。
降谷はその身体を抱き締める。
降谷零
耳元で言う。
降谷零
降谷の腕は震えていた。 声も震えていた。
降谷零
松田深緒
泣き続ける深緒を、降谷は離さなかった。
-----
ザバッ。
波が顔へかかる。降谷は我に返った。
違う。 思い出している場合じゃない。
探せ。
早く。一秒でも早く。
降谷は再び海へ潜った。
ーーーーー
どれくらい時間が経ったのか分からない。
数十秒かもしれない。数分かもしれない。
体感では永遠だった。
風見の言葉が浮かぶ。
ーーーーー
風見
風見
降谷零
風見
ーーーーー
ああそうだよ。 そんなの俺が1番分かってる。
だから何だ。
松田深緒
たったそれだけの言葉で、張り詰めていたものがほどける。
いつからだろう。 仕事を終えた後、真っ先に帰りたいと思うようになったのは。
いつからだろう。 彼女の「おかえりなさい」を、心待ちにするようになったのは。
降谷零
松田の妹だから。 萩原の恋人だから。 もう、それだけじゃない。
降谷零
海の中で、誰にも聞こえない声が漏れる。
”あなたを失いたくない“
それは他の誰でもない。 降谷零の願いだった。
降谷零
降谷は海中で目を見開く。 暗闇の底。何かが見えた。
白い、細い腕。長い髪が揺れている。
『見つけた。』
心臓が大きく脈打つ。降谷は水を掻いた。
必死に。ただひたすら、手を伸ばす。
深緒は動かない。 目も閉じたまま。 脇腹から流れた血が、ゆっくり海へ溶けていた。
降谷零
息が苦しい。
でも、そんなものどうでもいい。
間に合え。
間に合え。
降谷零
声は届かない。泡になって消える。
それでも、降谷は手を伸ばした。
3年前のあの日は掴めた。
今度も。絶対に。
その瞬間。
降谷の指先が、深緒の手に触れた。
降谷零
絶対に、離すものか。