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2件
――ぎぃ
倉庫の扉が、ゆっくり開いた
璃央は息を止める
足音
知らない声
⁇?
低い、ざらついた声
璃央
男子生徒――上級生らしい制服の着崩し方
目が、妙にぎらついている
αだと、わかる
本能で
先輩
璃央
声が震える
先輩は笑った
先輩
一歩、近づく
璃央は後ずさるが、背中はマットにぶつかる
逃げ場がない
先輩
手が伸びる
璃央は反射的に払った
璃央
男の顔が一瞬、険しくなる
先輩
その言葉に、血の気が引いた
璃央
先輩
肩を掴まれそうになった、その瞬間
鏡夜
低い声
空気が変わる
倉庫の入り口に、長身の影
鏡夜
先輩
鏡夜は笑っていない
いつもの軽さが、ない
鏡夜
ゆっくり歩いてくる
璃央
鏡夜は璃央の前に立つ
自然に、庇う形で
鏡夜
一瞬、間
鏡夜
先輩は舌打ちする
先輩
鏡夜の目が、冷える
鏡夜
沈黙
数秒の睨み合い
やがて先輩は鼻で笑い、肩をすくめた
先輩
去っていく足音
扉が閉まる
静寂
璃央はその場に崩れ落ちそうになる
鏡夜が支える
鏡夜
璃央
でも、離れない
鏡夜
声が低い
でも優しい
璃央の視界が滲む
璃央
鏡夜
答えられない
璃央
鏡夜
璃央が、はっとする
鏡夜
璃央の耳が熱くなる
鏡夜はそれ以上、触れない
ただ、距離を保ったまま座る
鏡夜
それだけ言って、視線を逸らす
璃央
さっきまで怖かったのに
今は、違う意味で心臓がうるさい
璃央は小さく、袖を掴んだ
無意識だった
鏡夜は何も言わない
ただ、ほんの少しだけ――
距離を、近づけた