宝石病

あ～あ、言っちゃった

明らかにいつもとはレベルが違う喧嘩、僕どうすればよかったんだろう

素直に認めて助けを求めれば良かったのかな、なんて到底できないことを考える

慌ててでてきちゃったから薬も一粒しか持ってない

一粒なんかじゃ今の僕には足りないんだよ、今の僕にはね

道のど真ん中で吐くわけにはいかないと思って路地裏に入る

コロコロ

死期が近づくにつれ吐き気の頻度は高くなる

1日に2回吐くなんてざらにある、痛み止めも1つしかないからいつもより胸が張り裂けそうなぐらい痛い

一粒でもいいから痛み止めを飲もうとしたその時だった

ガッ（口抑）

バタッ（倒）

パチッ

ドカッドゴッバコッ（腹殴）

コロコロ

ガチャッ（閉）

何で俺がこんな目に合わないといけないんだよ…

勝手に発症した奇病のせいで、何もかもが変わった

でも、何を恨んだとしても残り一ヶ月のことは変わらない

ならもうこのままでいっか

元貴が失踪してから約一ヶ月が経とうとしていた

俺らは毎日元貴を探した、心当たりがあるところは全て回った、でも見つからなかった

何か情報があってもいいぐらいなのに、何もない

毎日ニュースは「大森元貴　失踪」なんてタイトルを付けて報道する

結局視聴率稼ぎたいだけだろとしかこの時の俺には思えなかった

でも何か情報が見つかればなんて期待してる自分もいた

そして今日も元貴を探しに行く

ピロン（通知）

写真？

これが何だっていう…って

ドカッドゴッボコッ

ガチャッ（開）

グラッ

あいつが指差す先には大量の死体の山があった

信じたくなかった、でもどうしても赤髪が見えてしまった

それはどう見ても若井だった

グサッ（刺）

バタッ（倒）

絶対殺してやる