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抗体人間シリーズ−現在編−

第48話 - 真実④

2019年04月06日

#現在編

鹿王院琥珀

燐堂

なにそれ...狂ってるわよ...

琥珀

それは元々だ。

琥珀

よってそのせいで貴様らが記憶を取り戻し再び暴れるということになるわけだ。

琥珀

さあ、他に聞きたいことはあるか？

翠

おい、私と燐堂は怪我してるっつーけどよ、“現実世界”ですでに治療は受けてんのか？

琥珀

ああ、綺麗さっぱりな。

柚葉

あのー...そろそろ私が残された理由を教えてほしいんですが...

琥珀

言っただろう、貴様は“重要なピース”だと。

柚葉

だから一体何が重要なんですか⁉︎

琥珀

相変わらず、うるさい奴だな。そんなに知りたいか。

柚葉

知りたいです‼︎

琥珀

ではそれを知る覚悟はあるか？

黒野

どういうことだ？

琥珀

...柊凛と柊柚葉、この2人実は“姉妹”ではない。

柚葉

えっ...

琥珀

だがこの2人は赤の他人ということもない。

黒野

それなら2人の共通点はなんなんだ？

琥珀

簡単に言えば“同一人物”だ。

翠

おい、もっと分かりやすく説明しろ。

琥珀

ハァ...説明するのが怠くなってきた。

琥珀

蘭丸、あとは任せた。

蘭丸

えっ‼︎俺っすか⁉︎

蘭丸

えーっと、じゃあ鹿王院さんに代わって俺が説明するっすよ。

蘭丸

鹿王院さんの言ってることは、なぞなぞみたいっすけどそうじゃないんすよ笑

蘭丸

俺達が“人体実験”されていたっていう話があったじゃないっすか。あれで柊さん、えっと...凛さんは特別な実験で“感情を消された”んすよ。

柚葉

特別な実験...？

蘭丸

正式名称は忘れたんすけど殺人鬼の成長過程を見る系の実験だったと思うっす。

燐堂

何それ？

蘭丸

俺に聞かれても...

蘭丸

まあ、それで凛さんの“感情”が取り除かれたんすけど、俺達を逃がしてくれた研究者の方がこう言ったんすよ。

蘭丸

「感情を消してしまったことは本当に申し訳ない。せめてもの救いとして消えた感情を実体化して彼女のそばに置いておいてほしい。」と。

蘭丸

その後鹿王院さんがその言葉のとおりにしてくれたんす。

蘭丸

そしてその“実体化された感情”がここにいる柚葉さんなんすよ。

翠

でもそれだとおかしいだろ。

翠

“現実世界”で“感情を実体化する”のはできるかもしれねーけどよ、それを“この世界”に持ってくるのは無理があるんじゃねーか？

琥珀

それに関しては問題ない。

翠

何でだ？

琥珀

私が創った世界だから私が何を取り入れようと造作もないことだ。

翠

はあー、便利なヤツだな。

琥珀

長くなってしまったな。もうそろそろ“この世界”はいいか？

燐堂

いいって？

琥珀

もう“真実”を話したんだから貴様らが“この世界”にいることはないだろう。

琥珀

“現実世界”に帰るつもりはないか？

琥珀

というかさっさと復興作業から解放されたい。

黒野

おい。魃、御子柴、ニーナは死んだんだろ？だったら何で“ここ”にいるんだ？

燐堂

あー‼︎そういえば確かに‼︎

琥珀

面倒だから端折ったんだが覚えていたか。ならこれで最後だ、これを聞いたら早く結論を出せ。

琥珀

確かに“現実世界”でこの3人は死んだが、凛に“この世界”にいさせてほしいと言われてな。

黒野

何のために...

琥珀

建前は“現実世界”の記憶を忘れている貴様らに悟られないようにするためだ。

燐堂

本音は？

琥珀

1人も欠けずに楽しかったあの頃をもう一度過ごしたい、らしい。

翠

...大将らしいな。

黒野

あともし俺達が“現実世界”に戻ったら御子柴はどうなるんだ？

琥珀

消えるに決まってるだろう。

燐堂

えっ...

琥珀

この3人は私が想像したものだ。“現実世界”に戻れば私がコイツらを想像する理由もなくなるからな。まあ今想像するのをやめてもいいんだが。

燐堂

で、でもさ...“現実世界”に戻ってこの3人が消えてもアンタがまた想像すれば会えるんでしょ？それなら安心だわ‼︎

琥珀

...まぁ、そうだが。

黒野

何だ、その間は？

琥珀

この“想像を具現化する”力だが、あくまでもこれは私の中のイメージがそのまま反映されるんだ。

琥珀

つまり私がいくら想像したとしても貴様らが今まで接してきた3人とは全く異なるモノができるだけだ。

琥珀

それでもいいか？

翠

要は死んだヤツは生き返らねーし、想像しても死んだヤツじゃない別のナニカになるってことだろ？

燐堂

それじゃあ意味がないじゃない...

琥珀

そうだ、貴様はそんな残酷なことをしようと言ったんだ。いやならもう言わないことだな、言葉には責任を持て。

黒野

おい、そんな言い方...っ‼︎

琥珀

今は争っている場合ではないだろう。それで、貴様らの結論は出たのか？

翠

私は戻る。アイツらの無事を確認しないといけねーからな。

蘭丸

俺も戻るっす。ようやく一区切りついたんで。

黒野

...俺も戻る。

柚葉

わ、私は...姉さん、いや、凛さんに伝えたいことがあるので戻ります‼︎

燐堂

....

琥珀

貴様はどうするんだ？

燐堂

...ねえ、もう“この世界”は消すの？

琥珀

いや、人間達を化け物の記憶のまま“現実世界”に戻したら手がつけられなくなるから解決するまで暫くは消さないつもりだが？

燐堂

なら御子柴を残しておいて。

琥珀

なぜだ？

燐堂

御子柴と話がしたい。

琥珀

今はダメなのか？

燐堂

“現実世界”で話す内容を整理してからまた“ここ”に来たいから。

琥珀

....

琥珀

仕方ない、漸蔵は残しておこう。

燐堂

よし、じゃあアタシも戻る‼︎

琥珀

全員戻るでいいか？それなら行くぞ。

琥珀

“元の世界”に。

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鹿王院琥珀

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