優しいお兄ちゃん

ぱぁぁぁっと顔を明るくして中也の両肩をつかむ。

声も表情も“満開のお兄ちゃんモード”。

でも、耳まで赤くなってる。

太宰はふふっと笑って、指で中也の髪を軽く整える

胸を張って即答。

中也は少し俯きながらも、さっきまでより目が強くなってきてる。

太宰は中也の背中を軽く押す。

ふたりは並んで廊下を歩き出す。

中也の歩幅に合わせて、太宰がゆっくり歩いてくれる。

ガラッ——。

その時、中也の中にある糸が、プツン…と切れた。

ゴッ！！！っと鈍い音がした。

中也は殴ったのだ、ゴッゴッゴッ！と弱者を喰らう獣のように。

その時、中也の腕が掴まれ、引かれ、

パシンッ！と、頬を叩かれた。

廊下を走る中也の背中は、

怒りでも涙でもぐちゃぐちゃに滲んでいた。