鮭おにぎり
『拾って』 初対面、秋の夕方。生意気にもそう言ってきたのは猫耳の着いた人間。風貌、空気。何だかそいつが気に入って、家に連れて帰ることにした。 『まあまあっすね』 家をに入るなりソファーに座り、そんなことを言ってくる猫耳野郎。 「うるさいわ!」 失礼なやつやな。 何だかんだそのまま会話が弾んだ。こいつの名前はショッピというらしい。 猫耳について聞いてみると、少し触らせてくれた。どうやら本物らしい。なんならしっぽも付いている。 こんな人間見たことも聞いたこともない。そもそも人間なんか? 「ショッピくんはどこから来たんや?」 もしかして、どっかの実験室から逃げ出してきたとか…日本政府の秘密?いや世界かもしらん。それかどっかの守り神とか……。 想像が膨らむ。 『知りませんけど』 「うせやん」 俺の想像も虚しく、あっさりと打ち消された。 『コネシマさんがこのままここに住まわせてくれたら思い出すかもしれませんね』 なんちゅうやつや。 こんな面白そうなことを手放すなんて俺にはできない。 「わかった、好きなだけ泊まらせたるで、思い出せよ」 『やったー、さすがっす』 お腹すきましたね、なんて言いながら勝手に冷蔵庫を漁りに行く彼が、少し可愛く思えたのは気の所為ということにしておこう。 「……犬派なはずなんやけどなぁ。」
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コメント
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え 癖に