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俺に溺れないように。

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俺に溺れないように。

4 - 4話 嘘で出来た先輩

♥

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2024年03月19日

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「嘘で出来た先輩」

愛されたかった。いや

それは嘘。愛されたい

誰かに必要とされたくて

苦しくて息が詰まった。

硝子

ふぅー....

そんな時 救ってくれたのは 嘘で出来た先輩だった

頬を優しく撫でる手は冷たくて。

余裕の あるような笑顔の裏には 余裕なんてものはなかった

先輩は悪夢に苦しんでいて 睡眠薬がないと寝れないみたいだった

だから私は何時も傍にいた

亮(リョウ)

硝子。タバコは体に悪いよ

硝子

タバコ吸いながら言われ
ても説得力ありませんよ

亮(リョウ)

ははw、確かにね

薄っぺらい笑い声。

部屋中に臭うタバコの匂い

亮(リョウ)

ねぇ、何で硝子は俺に
対して怒りも悲しみも
しないの?

硝子

何ですか?急に

遠くを見つめながらタバコの煙を 口から大きく吐いた

亮(リョウ)

硝子は よく分からない。

亮(リョウ)

悟も傑も...よく分からない

真っ黒な空を薄暗い部屋から見上げていた

亮(リョウ)

俺と似たような、
その薄っぺらい笑い声

硝子

ははw、自分でも自覚
してるんですか

亮(リョウ)

自覚してるよ

先輩は笑ってなくて答えが欲しそうな 顔をしていた

硝子

私は....何なんでしょうね

硝子

自分でも分かりません

亮(リョウ)

そっか。

先輩は こちらを見て嘘みたいな 笑顔を作っていた

硝子

その笑顔 辞めて下さい

亮(リョウ)

何で?

驚いたように先輩は目を見開いた。 私は その顔を知らなかった

硝子

クズみたいです

亮(リョウ)

俺はクズだよ

先輩は また笑った でも どこか切なそうに。

硝子

先輩 私からも
質問させて下さい

亮(リョウ)

何?

伏せ目気味に先輩は真っ黒な空に 向かって煙を吐いた

硝子

何で好きでもない相手を
抱いて

硝子

私達を突き放さないん
ですか?

どんな言葉が返ってこようと 覚悟していた

亮(リョウ)

俺は"幸せ"というものを
知りたい

先輩は笑いもせず辛そうな顔をする訳でも なく なんとも言えない顔をしていた

亮(リョウ)

誰かに愛されて愛して
何気ない日々で笑って
られる幸せ

亮(リョウ)

それって最高に
幸せじゃない?

首をコテンッと させながら笑っていた

亮(リョウ)

きっと愛されて死ねる。

硝子

幸せなんて人それぞれ
ですし、

硝子

誰しもが愛されたいなんて
思ってませんよ

亮(リョウ)

そうかな?

開いている窓から強い風が吹いた

亮(リョウ)

愛されて死ぬことが俺に
とっては最高の幸せだよ

その時の先輩の顔は よく見えなかった

私は亮が嫌いだった

何もかも偽りで出来ている彼奴が

泣いてる顔も怒ってる顔も見せない 人間味のない亮が大っ嫌いだった

歌姫

ねぇ....

だから大好きな硝子に手を出したのが 許せなかった

亮(リョウ)

何?

歌姫

よくも...硝子に
手を出したわね..

亮は何も言わずに ただ黙っていた

歌姫

大切な子に手を出したら
許さないって忠告したわ
よね...?

亮(リョウ)

硝子は....歌姫に
とって大切な人?

悪気のないような笑顔に余計にムカつく

歌姫

だから...そう言ってる
でしょ...

亮(リョウ)

そっか。

亮は しばらく黙って笑った

私は亮の顔を見て瞳孔を丸くした

歌姫

は..?

亮(リョウ)

え?何?

本人は気づいてないのか キョトンと していた

歌姫

何で...泣いてんのよ

透明な雫がキラキラと光ながら 澄んだ海のような瞳から溢れ落ちる

亮(リョウ)

え?あれ、?

混乱しながら涙を拭っていた

亮(リョウ)

あれ...止まらない...ぇ、?

見たことない顔だった 泣きながら無理矢理 笑っていた

歌姫

ちょっと亮....

亮(リョウ)

ごめん。気にしないで

そう言い亮は笑った でも顔が引きつっていた

歌姫

笑わなくていいから!!
とにかく落ち着きなさいよ!!

何故か私も焦った あんな顔 見た事がないから

亮もハッとしながら しゃがみ込んだ

そして顔を伏せながら しばらく黙っていた

ガチャッ

最悪のタイミングで誰かが来た、 そう思い音のした方へ顔を向ける

は?歌姫と先輩?

下の地面に水滴が垂れたような跡が あったから気づいたのか五条は 目を見開いた

そして何も言わずに亮に近づいた

歌姫

ちょっと!今は亮に
近づかないで!!

五条は その言葉を無視して亮の腕を 掴んで顔を上げさせた

亮(リョウ)

え...悟?

亮は目を見開いていた でも まだ涙が止まっていない

五条は呆然としていた。泣いてる姿を 見たことが無いのだろう

私も無かった。亮は1度も涙を 見せたことが無かったから

歌姫...先輩になんかした....

五条の顔は見えなかったけど混乱と 怒りが感じ取れた

歌姫

何もしてないわよ。話してたら急に泣き出したの

バァンッ

勢いよくドアが開いた。 私と五条はドアの方に目を向ける

綾人(アヤト)

綾人くん登場ー!!

綾人(アヤト)

ごめんね ~ 亮を
回収しに来たよ

こいつは何時もタイミングよく来る 亮の何もかもを知っているように

ちょ、待てよ!
俺は先輩に話が!!

綾人(アヤト)

うん。状況みなよ

綾人(アヤト)

今 話せそうにないこと
ぐらい分かんだろ?

亮は猫被ることなく冷たい言葉を 笑顔で言い放った

は....?

綾人(アヤト)

てことで回収するから

綾人(アヤト)

2人は この事に色々と
口出しすんなよ

亮のことを軽々しく持ち上げると目を隠し ながらドアの方に向いた身体を顔だけ こちらに向けた

綾人(アヤト)

亮のことが気になんなら
部屋に来い

わかっ...た...

俺に溺れないように。

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