三代欲求に従順に従って過ごした時間はあっという間に過ぎた。 ホテルから出る頃にはすっかり陽が落ちかけていて、オレンジ色というより赤に近い夕陽が幻想的で。
ジミン
ホソク
敢えてジョングクの家から歩いて5分くらいの場所で降ろしてもらった。 大丈夫?だなんて、この場所的な意味では大丈夫だろうけど他がそうじゃないかも。
ジミン
ホソク
少し遅く歩いたのにあっという間に家に着いてしまって、玄関のドアを開けて見えたそこにジョングクの靴があって"いる"なんて思った。
"おかえり"という声が聞こえない事がどういう事なのか。 別に出迎えに来ないなんてのは日常茶飯事なのに、今日は変に勘繰ってしまう 余計な勘繰りだったなと思えればいいんだけど。
心の中はソワソワしているけれど、いつも通りを意識してリビングに向かった
グク
閉まっていたドアを開けるとソファに寝そべってテレビを見ていたジョングクがそう言って俺を一瞥。
ホソク
そしてセリーヌの袋と自分のバッグをソファの空いてる場所に置く。 ジョングクの足元だ。
なんか、気まず。
袋を置いた時にフローリングの上にゴミが落ちてるのが見えて流れでそれを拾う。
グク
ジョングクのその声に目線をそちらに向けた。 上体を起こしたジョングク。
ホソク
グク
そう言って俺のTシャツの襟を思い切り引っ張った。 元々襟ぐりの広い物だが、強い力で引っ張られたせいで片方は肩がずり落ちて下着まで丸見えの状態に。
ジョングクの目線で何の事だかはっきりした。
グク
ジョングクが確認したのは、ジミンの付けたしっかりとした噛み痕だ。 謝るのも違うし"派手にやった"のは事実。
だからジョングクの目線に敢えて立ち向かって
ホソク
ジョングクの手を払って服を直す。 それでも気まずいのは変わらないけれど、ジョングクだっていつも派手にやってるだろうに。
グク
ホソク
セリーヌの袋を顎で雑に指したジョングク。
ジョングクの足元なんかに置いたのが間違いだった。 俺がこうやって誰かと身体の関係を持つ度に、呆れる様な顔を見せるジョングクに納得がいかない。 俺は一回もジョングクが誰とどこで何をしていても、何も言った事がないのに
バッグとセリーヌの袋を持って自室に行く事にした。 部屋で癒しのバッグでも見ようって。
グク
なのにジミンが噛み痕を付けた方の二の腕を強めに掴まれて、一歩踏み出した足はその位置で止まる。
グク
ホソク
グク
ホソク
ホソク
前半は嘘だけど、後半は嘘じゃない。
グク
"電話" 流石にその言葉に俺もやや物怖じして多分、目が泳いだ。
そのせいでただ少し遠いフローリングの柄に目を向けているとジョングクの顔がその視線を塞いで
グク
見た事ない表情と、その目は俺の首元の噛み痕。 意地が悪そうな笑い方をしたジョングクが一層強く俺の腕を掴んで、そこに爪が食い込んだ。
痛くないわけないけど、痛いって言葉にしたら何となく負けな気がして
ホソク
ジョングクが掴んでる二の腕に目配せをして吐き捨てた。
ジミンが噛んだのは首と胸だけじゃないって、今ジョングクが掴んでるそこにも脇腹にもある。 敢えて濁して敢えて促す。
予想通りジョングクの腕が二の腕から外れたから、直ぐに着てたTシャツを脱ぎ捨てた。
ホソク
ホソク
耽しんで来た。 そう言いたくて見せた。 ジョングクの目の奥がいつもと違って見えたけど、何も言わなかったから、そのまま自分の部屋へと向かった。
部屋に入ってドアを閉めてすぐ、全身鏡に上半身だけ下着姿の自分と対面する 思った以上に鮮やかな赤紫色の痕を見て、俺の情欲をかき立てるジミンのその時の目を思い出した。 心臓が高鳴る。
これ、"ヤバいやつ"だ。
セリーヌのバッグはジミンが買ってくれた事という加点が加わって、更に美しく可愛く輝いて見えた。
だからすぐにはクローゼットに仕舞わず、暫くの間よく見える位置に置いておくことにした。
喧嘩する必要もないし、喧嘩する内容でもないのに、どこか気まずい空気のままジョングクといるのが嫌でわざと顔を合わせない様に生活した。
それはジョングクも同じだった様な気がしたけど、直接聞いた訳じゃないから定かではない。
人間の治癒力は凄まじいもので、数日も経てば身体の痕はだいぶ薄くなっていた。 それはそれで少し寂しいと感じて、また"ヤバい"と思った。
ジョングクが"お泊まり"で不在の夜。 久々にのびのび羽を伸ばそうとチキンを注文して鼻歌なんか歌いながらリビングのテーブルでそれを開げた。
テレビのかわりに自分の好きな音楽をかけると、部屋の質の良いスピーカーから大音量で流れ始めて、また気分が上がる。
単純に楽しい夜だ。
身体を音楽に乗せながらチキンを一個齧った矢先、リビングのドアが静かに開いて
グク
音楽のせいで聞こえなかったが、入って来たジョングクの口がそう動いた。
いや、それよりも何よりも何故ジョングクは帰って来たのか。 仕方なく音楽を止めると違う空間の様に広いリビングが静まり返る。
ホソク
あまりに珍事過ぎて聞かずにはいられなかった。
冷蔵庫からペットボトルの水を取ってがぶがぶと半分程飲み干したジョングクは険しい表情を浮かべている。 不特定多数のうちの女と揉めた、か?
グク
予想は外れた。
ホソク
ホソク
グク
本当に具合悪いやつ、だ。 ジョングクの険しい表情はそのせいだったのかと。
グク
飲みかけの水を持ってリビングを出て行ったジョングクの足並みは確かに気怠そうだった。 体調不良のジョングクがいるのに、大音量の音楽を聴きながらチキンを食べるなんて、ヤった相手の件で嘘を吐くよりずっと良心が痛む。
だから少し悩んだ後でやっと立ち上がって動き出す。 チキンの箱の蓋はちゃんと閉めた。
コメント
1件
めちゃめちゃ面白いです!語彙力が凄くてもう……… 続きも楽しみにしていますが、無理せず書きたいときに書いてくださいね! フォローしたのでいつでも見れます🫶🏻🫶🏻 素敵な作品をありがとうございます💕