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隣の席の糸師凛

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隣の席の糸師凛

13 - その空間は

♥

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2025年03月09日

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柏木 響

ね、ねぇ、凛くん_

糸師 凛

チッ、もう帰る。

柏木 響

え、何急に。

糸師 凛

うるせぇ。

柏木 響

…。

糸師 凛

あ?何黙ってんだ。

柏木 響

いや、なんか凛くんってさ…

柏木 響

だんだん語彙力幼くなるよね。

糸師 凛

今からお前をサッカーボール代わりにしてやる。

糸師 凛

それで練習だ。

柏木 響

誠に申し訳ございませんでした…。

糸師 凛

チッ…はぁ

そして、凛くんはサッカーボールを地に置き、蹴り始めた。

柏木 響

…練習しないんじゃなかったの?

糸師 凛

黙れ、必要ないとは言ったが、やらないとは言ってない。

糸師 凛

大体、帰ろうとしたらお前が煩いしな。

柏木 響

ごめんて…。

柏木 響

…ねぇ、また見てていい?

糸師 凛

…寝ても今度は起こさずに置いていくからな。

柏木 響

頑張る!

糸師 凛

…はぁ。

トットット…

柏木 響

(…凛くんのボールを蹴る音)

ザッザッザ…

柏木 響

(凛くんが砂の上を走る音)

公園には、まるで凛くんが中心になって演奏を しているかのように、

彼の動作一つ一つからなる副産物だけが響いた。

それが、なんだか心地よくて、

心を落ち着かせてくれる。 安心させてくれる。

柏木 響

(凛くんって、やっぱ凄いなぁ…。)

糸師 凛

…ふぅ

気付けば、辺りは暗闇の中で、

まるで、俺はその暗闇の中に閉じ込められているかのよう、

糸師 凛

(…んなわけねぇだろ。)

練習を終え、静かになった公園を見渡す。

糸師 凛

(あいつは…)

柏木 響

…、

糸師 凛

…やっぱ寝てんじゃねぇか。

まぁ、予想通りだった。 どうでもいい。

糸師 凛

(そう、どうでも…)

柏木 響

すぅ…すぅ…

糸師 凛

…はぁ

糸師 凛

(クソが…。)

1歩、また1歩とそいつに近付く。

糸師 凛

こいつは…何度俺を振り回せば気が済むんだ?

柏木 響

すぅ…すぅ…

糸師 凛

…。

糸師 凛

めんどくせぇな…。

糸師 凛

(ヒョイッ

半ば自分でも、何をしているのか分からなかった。

糸師 凛

暖かいな。

糸師 凛

…暖にはなるか。

もう随分暗くなった道を、荷物を抱えて歩く。

糸師 凛

(…重ぇ。)

糸師 凛

(早く帰りてぇ…。)

柏木 響

すぅ…すぅ…

糸師 凛

(…さっさと起きろよ、アホ。)

何故だか、叩き起こす気にはなれなかった。 マジでめんどくせぇ。

糸師 凛

(起きたら覚えてろカス…。)

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