誰もが、彼女の存在を忘れた
覚えているのはたった1人のみ
その人物が彼女の存在を広めるか 奇跡でも起こらない限りは彼女の存在が世に出回ることなどない
例えどのような例外が起きたとしてもその言葉だけは絶対に裏切らなかった
んんっ…あれ…?
ここはどこだろう…
私は誰だろう……
例外が起きた
目覚めるはずのなかった彼女が目覚めたのだ
待って…ほんとに思い出せない…
私は何者…?ここはどこ…?
知識という知識以外何も存在しない……
彼女が記憶を失ったのは簡単
彼女がかけた忘却の力の対象が自分にも向いていたから
とりあえずここからでたら何か分かるかもしれない…
ガチャ、ガチャガチャ
扉など開かなかった
それもそのはず
彼女が目覚める前、彼女の部屋にいた人物が鍵を閉めて出ていったのだから
そんな…どうしたら…
いや、まだ…窓がある…
彼女は靴を持って窓を探した
彼女は窓から出、フラフラと歩いていた
不乱 稔音
……!?
不乱 稔音
どうして起きてるの…?!
……?起きてたらだめ…ですか?
稔音…“彼女の眠りを見届けた者”は悟った
不乱 稔音
……!
普段敬語を使わない彼女の敬語
自分の身に何が起こったのかわかっていない様子
彼女は、『記憶を失っている』のだ……と