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靴なんかいちいち揃えないし スリッパも履かない。 半同棲しているジンヒョンの生活が適当の極みだから 僕にもすっかりそのスタイルが移ってしまってる。
リビングに行くと 義父はソファに座り煙草を吸いながら新聞を読んでて 母はキッチンで夕食の支度をしていた。
母
こっちに気づいた母は、僕を見て言葉を詰まらせる。 時間的に帰ってきたのがナムジュンだと思ったんだろう。
僕で悪かったな、と捻くれた思いしか出てこないけど 別に僕はこの家にただいまをしにきたわけじゃないから どうでもいい。
義父
義父も僕に気づいたようで にっこりと…笑った。
ぞわりと鳥肌が立つ。 落ち着け…落ち着け。
その事を悟られないように リビングの入り口で立ったまま言った。
ホソク
母
ホソク
母
ホソク
そうだ。
この母親は元々専業主婦だったのに ジョングギが病気だと分かった途端に働き始めたんだ。 まるでジョングギの看病から逃げるかのように。
スンヒョンは不動産会社の経営者だから 金は有り余るほど持ってるはずなのに…っ。
ホソク
義父
僕の言葉を遮るように 義父が口を開いた。
ハッとして、義父の方へ顔を向けた。 真顔で僕を見つめる。 その顔はナムジュンにそっくりだ。
ホソク
義父
ホソク
義父
義父は僕に近づくと、トントンと頬を触ってきた。 瞬間、体の底から込み上げる嫌悪感。 虫酸が走る。
バシッとその手を思い切り払い除けた。
ホソク
義父
今日は散々な日だ。 ナムジュンといい、スンヒョンといい…。
こいつらと関わると 僕は冷静じゃいられなくなる。
義父
僕から視線を外さないまま義父はそう言うと 母はええ、と一言だけ返事をして リビングを出て行った。
勘弁してよ…。 こいつと二人きりとか…っ。
ガチャリと玄関の扉が閉まる音がすると 義父はじりじりと僕との距離を詰めてきた。 後ずさる僕の背中にひんやりと感じる、冷たい壁。
逃げ場のなくなった僕の全身を 目の前の奴は舐め回すかのように見てくる。
ホソク
義父
ホソク
義父
ホソク
僕の頬に添えられた手に、びくっと肩が跳ねる。 その手はじわりと熱を帯びながら 輪郭から首にかけて、ゆっくりと撫でるように動くと 胸に触れた。
ホソク
義父
ホソク
義父
ニヤッと笑った義父は、 胸に置いたその手を、 撫でるように執拗に動かしている。
言うことを聞かない僕の喉。 途端に声が出なくなる。 こいつは、それを分かってる。
やっと離れたかと思えば 制服のボタンに手をかけた。
ホソク
義父
自分が嫌だ。
こういう時、抵抗できなくなる自分が。 あの時だってそうだ。 怖くて抗えなくて されるがまま。
体は成長しても 心の弱さは今も…あの時のまま、変わってない。
ひとつ、ふたつ ボタンが外されていく。
真っ白になっていく頭の中で ただ、ぼんやりとこんな事を考えた。
死ねばいいのに、って。
ナム
義父
3つめのボタンが外されようとした時 玄関から声が聞こえて 義父の手が止まった。
ホソク
脚の力が抜けて 壁にもたれかかりながら ずるずるとその場に座り込んだ。
ナム
呑気な声と共に階段を登る音がする。 帰ってきたらしい。 あいつが。
なんで。
ホソク
ぼそりと言うと、僕は逃げるように 家を飛び出した。
視界がぼやける。
なんで…あの時も、 今みたいに あいつは…僕を助けてくれなかったのだろうか。
僕が心を許せる人はジンヒョンのみだ。
ジンヒョンとなら 手を繋ぐのも、ハグするのも キスするのも、体を重ねるのも 嫌じゃない。 むしろ多幸感すら覚える。
出会った時のことはあんまり覚えてないけど 確か、中3の時だったかな。
年齢誤魔化してクラブで遊んでたら ジンヒョンに声をかけられたのがきっかけだったと思う。
それからずっと、関係が続いている。 ジンヒョンは、僕の大好きな人。
タトゥースタジオを営んでる ジンヒョンのお兄さんへの挨拶もそこそこに 僕は2階にあるジンヒョンの部屋へと急いだ。
洋楽のCDや本が散乱してる部屋の真ん中で ギターの練習をしていたジンヒョンの背中に抱きついた。
うわっ、と驚いて声をあげた彼に構わずに ぎゅうっと抱き締める腕に力を込めた。
ジン
ホソク
ジン
ホソク
ジンヒョンはギターをベッドに立て掛けると 体をこっちに向けた。 その顔には心配の色が漂っている。
ジン
ホソク
僕は頭が悪いからあまりにも馬鹿な考えだけど。
そうでも思わないと あの家に帰るのは耐えられない。
ホソク
ジン
僕の通う高校とは違う制服を着ているジンヒョンは 若干の戸惑いの表情を見せた。
当たり前か。 急に僕が変なこと言ったんだから。 でも…。
ホソク
念押しするように、彼の目を見つめてそう言うと 僕はたちまちジンヒョンの腕の中にいた。
ジン
ホソク
あったかい。 やっぱりジンヒョンと一緒にいると落ち着く。
僕を見るその優しい目は、 あの冷たい切長の目とは正反対。
ジンヒョンの腕の中で顔を見上げると ジンヒョンからのキスが降ってくる。
それを受け止めていると 胸元ではヒョンの手が器用に 僕のシャツのボタンを外していた。
この流れ、完全にその気になっている。
ホソク
はだけたシャツの合わせから 手を入れられて 事がだんだん激しくなっていく。
だけど、ジンヒョンが相手だと ものすごく穏やかな気持ちでいられる。