COCKTAIL

暑くも寒くもない5月の上旬

澄桜さんから無理やり引き剥がされ沈んだ 俺の心とは裏腹に

空はびっくりするほど青く澄み渡っている

( ˘-˘)ว ))д*)ﾎﾟｶｯ

駅から降りて徒歩数分

俺と一色は、最近出来たというショッピングモールへ 来ていた

まぁそもそもここへは、服を買いに来たんじゃない

そう、ここへは 妹 衣織の誕生日プレゼントを買うためにきた

何となくセンスが良さそうな一色を連れて──

ふわっと軽い陽気な声に振り返ると

ピンク色で染まる店には似合わない チャラチャラとした男性が立っていた

キラキラと目を輝かせ太陽みたいな笑顔を向ける

距離感を掴むのが上手い

真っ直ぐ対等な目線で話してくれる

この人は多分、すごく良い人だ

そうして俺たちは 泉さんオススメの雑貨屋へ同行することとなった─。

無事プレゼントを買い終えた俺たちは 最寄り駅まで、 泉さんの車で送ってもらえることになった

泉さんはとても良い人だ

警戒レベルMAXだった一色が 絆されるくらいには…

はなぶさーず

The・王子様系の葵と ミステリアスでクールな律

バスケ部のイケメン双子として 入学当初から騒がれていた

ちなみにはなぶさーずってのは うちの前監督が付けたあだ名だ

なんとなく、家族思いなんだろうなと伝わってくる

この人の明るさや面倒見の良さも そういった家庭環境からくるものなんだろうな

そういって上着を脱いだ泉さんの バックミラー越しに 見える「R」のマーク──。

この人は "リキュール" だ──。

俺にとって、リキュールがどれだけ羨ましいか

そう考えながら自分の首筋をそっとなぞる

最寄り駅前

すっかり紅く染まった空を見て もう一度自分の首筋に触れる

もし自分が……リキュールだったら…

そう、考えざるを得ない

決められた運命には抗えない

もし　" その時 " が来たら───

もしその時がきたら

俺はきっと、あの人への気持ちの終わりに 立ち会わないといけない

例え 俺にとって

どれだけ残酷な結果になっても──。

COCKTAIL