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蘭side
放課後を告げる チャイムを聞きながら、 私は盛大に欠伸をもらす。
桃瀬らん
昨日は早々に ベッドに入ったが、 夜中に何度も 目が覚めてしまった。
おまけに、 朝も昼も食事が喉を通らない。
桃瀬らん
桃瀬らん
予行練習とはいえ、 昨日ついに告白したのだから。
しかも相手は、 長く片想いしてきた幼馴染。
自分で思っていた以上に ずっと緊張していたのだろう。
桃瀬らん
威榴真とは家も近いし、 教室での席も近い。
と言うか、目の前だ。
授業中にプリントの やり取りをする時は、 必ず顔を合わせることになる。
爆睡中に先生に 当てられそうになったら それとなく起こして あげる事も出来る距離だ。
桃瀬らん
珍しく寝癖も残っていて、 窓から入ってくる風に ぴょこぴょこと 揺れる姿に目を奪われた。
本人に言えば、 妙に気にし出すだろうから 決して言わないけど。
赤暇なつ
昼休みも、放課後も 威榴真の席には いつも人が集まってくる。
今も、なっちゃんこと 赤暇 夏都 が 駆け寄ってきた。
威榴真と須智、夏都、 そして蘭の4人は 幼馴染という名の 腐れ縁だった。
特に男子達は 高校に入ってからも 3人で映画研究部を立ち上げ、
昔と変わらない距離感で わちゃわちゃと 過ごしている。
紫龍いるま
春緑すち
春緑すち
威榴真の言葉に 須智は目を細め、 柔らかな笑みを浮かべる。
赤暇なつ
なっちゃんも 屈託なく頷いて、 威榴真の腕をとる。
なっちゃんに 引き摺られるようにして、 威榴真は教室を出て行った。
そんな後ろ姿を 見送りながら、 私は思わず 「いいなぁ」と呟く。
雨乃こさめ
トントン、と肩を つつかれたかと思うと 少し拗ねた様な、 可愛らしい声が降ってきた。
桜黄みこと
続いて、控えめながら 穏やかで優しい声に促される。
桃瀬らん
振り返ると、 にこにこと笑顔を見せる 親友達が立っていた。
可愛らしい圧倒的美少女の 雨乃 恋醒 と
ふんわりとした雰囲気が特徴の 桜黄 美琴。
2人とは高校からの 付き合いだが、 同じ美術部に入ってから あっという間に意気投合した。
2人は単に話が 合うだけでなく、 お互いに支え合える 関係だと私は思っている。
桃瀬らん
桃瀬らん
ありがとうを 告げる代わりに 私は思い切り口角をあげる。
桃瀬らん
桃瀬らん
桜黄みこと
桜黄みこと
雨乃こさめ
バタバタと足音を立てながら 3人揃って廊下に出る。
六奏高校の美術部 といえば、設立以来 賞を獲らなかった年が ないといわれている。
けれど、部活はスパルタとは程遠い。
顧問の 大神先生 にしても 受賞の為のテクニックではなく 思い描いた作品に より近づける為の アドバイスをするという スタンスを崩さない。
純粋に、創作活動を 楽しめる環境を 作ってくれていると 私は感じてきた。
雨乃こさめ
桜黄みこと
中でも、部長の恋醒と 副部長の美琴は 才能を惜しみなく 発揮している。
前任の部長、副部長が 次代を選ぶ事に なっているが、 表彰経験が多い2人は 満場一致で迎えられた。
一方で、もともと絵画や陶芸 彫刻などには興味がない 部員も沢山いる。
漫画研究会がない為、 イラストや漫画を 描きたい生徒が 広く集まってくるからだ。
そちらのタイプは 自宅で作業する事が多く、 幽霊部員が殆どだった。
桃瀬らん
桃瀬らん
桜黄みこと
雨乃こさめ
私は、出席率は高いが 立場的には どっちつかずかもしれない。
漫画を描く事も、 大きなキャンパスに 向かうのも好きだった。
それぞれ違っていて、 どっちが好きなのかと 聞かれても答えようがない。
桃瀬らん
桃瀬らん
正直に言えば、 最近は部活内での自分の 立ち位置に悩んでいた。
自分は美琴や恋醒とは違う。 結局は中途半端に なっていないだろうか、と。