S
俺は…元々養子だったんだ
佐野の口が小さく開く.
その発せられた言葉に俺は佐野の話へ 引き込まれた.
S
君は…向井くんは知らないよね. 俺の事.
M
俺の事… ?
そういえば俺はココに監禁されて何ヶ月も経つのに、未だに彼の年齢や職業を知らない.
S
俺は…、元々は…
S
…い…
M
え ?
S
向井…
S
俺は、元々「向井」だった.
M
ど、どういうこと ?
S
……君と俺は血が繋がっている
M
……は ?
佐野は、一つ深呼吸して1つ1つ俺に話し始めた.
S
俺と君は同じ日に生まれ、君は両親の元へ.
S
俺は土手の下に捨てられた.
M
え……
S
ははは、よく親は言うことを聞かない子に「お前は川で拾った子だ」って言うだろう ?
S
俺もしょっちゅう言われたよ
事実だけどね。
事実だけどね。
佐野はそう言って笑う.
S
知らなかっただろう ?
俺と君は実は血が繋がった双子だったんだぜ ?
俺と君は実は血が繋がった双子だったんだぜ ?
M
…
向井は信じ難い表情で佐野の言葉を 飲み込んでいった.
S
君は俺にとって双子の"兄貴"だったんだ.
M
あに……き ?
向井の目は点の様に俺を目をじっと見ていた.
そりゃそうだ.
実の兄がいた事. 弟は両親に捨てられていたこと. 存在の知らない弟に襲われていたこと.
S
やっと、打ち明けられた
M
で、でもなんで今…
S
…それは、これを話してからじゃないとね…