ミーンミンミンミンミーン…
ミーンミンミンミンミーン…
帰り道、アイスを頬張りながら
家に足を運ぶ。
夏が嫌いだ。
この人が何を考えているか
分からなかったから。
一緒に帰っているのは
私の幼馴染みで
最近何を考えているのか良く分からない。
話すときは目を合わせてくれず
ずっと前しか見ない。
君の瞳は曇っていて
全く光がない
月の影にいるみたい。
あなたが影なら
私はあなたの光になりたい。
君の瞳に雲りが出来た
笑顔は消えたのは
ほんの少し前
一週間ほど前。
何も言ってないから
何も言ってないんだよね。
季節は冬になり
帰りの道は一面に真っ白の世界。
雪を踏む音が気持ちいい。
肉まんを頬張りながら
いつものように家に足を運んだ。
ため息をつくと白い息が
フワッと宙を舞った。
私は君の顔をそっと見た。
君の口元から白い息が次々に宙を舞っていった。
君は一言も喋ってはいなかった。
皆に気づかれないように
ため息をついてたの…?
そんなの気づかないよ。
ギュッ。
私は君をギュッと抱きしめた。
強く。
強く。
強く。
夏の日。
あの1週間前。
君の両親が交通事故で亡くなった。
君と君の両親
ドライブをしてた時…。
車を逆方向に運転していた人、暴走車が
君の車に突っ込んできた事。
君だけが
あの事故で
生きたこと。
そして
君だけが
あの事故の日から一度も
泣かなかった事。
あの日からずっと目を合わせてくれなかったけど
今度は私がちゃんと見るから。
ちゃんと見つけるから。
君の瞳から光るものが落ちていく。
曇っていた瞳は月に照らされ
涙が光って美しい。
ずっと私を見てくれなかった君の目と
君を見れなかった私の目は
今
ちゃんと見つめ合っている。
君の綺麗な涙に
胸が苦しくなって
私もつられて涙を落とした。
そうだよね。
「一人じゃ寂しいよね。」
雪が降るこの下で
君にキスを落とした。
そろそろ気づけ、馬鹿。
君の顔は真っ赤で
まるで小さな子どもみたい。
首を横に振り続けた。
だって、君は何も悪くないもん。
冬で良かったなぁ……
そうじゃなきゃ気づけなかった。
今度は優しく包み込むように
抱きしめた。
君は優しく微笑んだ。
あぁ…
久しぶりに見た。
君の笑った顔。
あの日から
君が初めて
涙を流した
冬の日。
ーENDー
コメント
3351件
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やっほです! 私、元・紫陽花だよ! 覚えてるかな?w
読んでて飽きないんだけど!このお話。普通だったら、ストーリーとか読んでて、あ、つまんねってなって途中から読まないもん!天才だわ。やっぱ。