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冬の日、君の素顔を見せて。

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冬の日、君の素顔を見せて。

1 - 冬の日、君の素顔を見せて。

♥

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2020年02月02日

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…暑っ……

ミーンミンミンミンミーン…   

 

暑いね……

   ミーンミンミンミンミーン…

帰り道、アイスを頬張りながら

家に足を運ぶ。

夏が嫌いだ。

この人が何を考えているか

分からなかったから。

 

……

……

一緒に帰っているのは

私の幼馴染みで

最近何を考えているのか良く分からない。

話すときは目を合わせてくれず

ずっと前しか見ない。

君の瞳は曇っていて

全く光がない

月の影にいるみたい。

あなたが影なら

私はあなたの光になりたい。

 

……

 

(何を話したらいいか分からない。)

………………ぁ。

 

今何か言った?

………何も言ってないよ。

君の瞳に雲りが出来た

笑顔は消えたのは

ほんの少し前

一週間ほど前。

 

……

………ぁ。

 

……?

 

(さっきから何言ってるの?)

何も言ってないから

何も言ってないんだよね。

 

……

……寒っ…

季節は冬になり

帰りの道は一面に真っ白の世界。

雪を踏む音が気持ちいい。

 

…寒いね。

肉まんを頬張りながら

いつものように家に足を運んだ。

 

 

(相変わらず君は何を考えているのか分からない。)

 

………はぁ…

 

(もう良く分からないよ。)

ため息をつくと白い息が

フワッと宙を舞った。

 

……

 

(もう冬なんだ……)

………………ぁ。

 

(また何か言ってる。)

私は君の顔をそっと見た。

 

……っ!

……………ぁ。

君の口元から白い息が次々に宙を舞っていった。

 

…………!!

君は一言も喋ってはいなかった。

皆に気づかれないように

ため息をついてたの…?

 

(…私はあんなに大きなため息をついたのに……)

 

(……どうしてっ……)

そんなの気づかないよ。

ギュッ。

……?

私は君をギュッと抱きしめた。

強く。    

     強く。

強く。

………どうしたの…?

 

……何で言ってくれなかったの!!?

…?

夏の日。

あの1週間前。

君の両親が交通事故で亡くなった。

君と君の両親

ドライブをしてた時…。

 

何で言ってくれなかったの!!?

………何が?

 

辛かったんでしょ…?

車を逆方向に運転していた人、暴走車が

君の車に突っ込んできた事。

君だけが

あの事故で

生きたこと。

……っ

 

……いつもため息ついてたのね…

 

…何でっ……

 

私たち幼馴染みでしょ?

……

 

…どうして相談してくれないの!?

そして

君だけが

あの事故の日から一度も

泣かなかった事。

 

ねぇ、辛いなら話してよ!

 

……

 

一人で

 

抱え込まないでよっ!!!!

あの日からずっと目を合わせてくれなかったけど

今度は私がちゃんと見るから。

ちゃんと見つけるから。

……なぁ…。

君の瞳から光るものが落ちていく。

曇っていた瞳は月に照らされ

涙が光って美しい。

……なんで……

…俺だけ……

なんで、俺だけ……

…生きてるんだよ。

 

……

ずっと私を見てくれなかった君の目と

君を見れなかった私の目は

ちゃんと見つめ合っている。

……なんで、俺だけこの世界に…

置いていったんだよ…

俺も……

殺してほしかった……

一人じゃ寂しい…

一人じゃ寂しいよ……!!

君の綺麗な涙に

胸が苦しくなって

私もつられて涙を落とした。

そうだよね。

「一人じゃ寂しいよね。」

 

……君は…一人じゃないよ。

……一人だよ。

……俺を照らしてくれる人が居ない。

俺は…もう……

……

もう……死にたい………

 

……馬鹿っ!!!!

…!?

雪が降るこの下で

君にキスを落とした。

そろそろ気づけ、馬鹿。

……

…え……

君の顔は真っ赤で

まるで小さな子どもみたい。

 

さっきから…何を言ってるの。

 

一人だよ。って……

 

…私がいるじゃん!!

…!

 

私が

 

いつも君の隣にいるじゃん!!

 

ここにいるじゃん!!!

 

なんで気づいてくれないの!!?

……

…ごめん。

 

……ううん。

…もう…死にたいとか

言わないから……

…こんな弱い俺でごめん。

 

………ううん。

首を横に振り続けた。

だって、君は何も悪くないもん。

 

……好きだよ

 

好きだよ……

 

君のことが好きで好きで

 

……

 

大好きなんだよっ!!!!

……

…俺も…

好きだよ………

…けど…

こんな弱い俺じゃ……

君を不幸にする自信しかないよ……

冬で良かったなぁ……

そうじゃなきゃ気づけなかった。

今度は優しく包み込むように

抱きしめた。

 

…私はそれでも良いよ。

 

人は助け合って生きていくもの。

 

私は……

 

あなたの光になりたい…。

……

ほんとに良いの…?

こんな俺で良いの?

 

……

 

当たり前じゃん!

……

そっかぁ……

君は優しく微笑んだ。

あぁ…

久しぶりに見た。

君の笑った顔。

あの日から

君が初めて

涙を流した

冬の日。

ーENDー

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コメント

3351

ユーザー

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ユーザー

やっほです! 私、元・紫陽花だよ! 覚えてるかな?w

ユーザー

読んでて飽きないんだけど!このお話。普通だったら、ストーリーとか読んでて、あ、つまんねってなって途中から読まないもん!天才だわ。やっぱ。

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