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学校が終わった。 今日は大翔と一緒に帰らなかった。 玄関の鍵を閉めて、靴を脱ぐ。 家の中は静かで、誰もいない 颯真は制服のまま、自分の部屋に入る。
机の上には、昨日図書館で借りた詩集。 ベッドの上には、畳んだままのパーカー 何も変わらないはずの空間なのに、今日は少しだけ違って見えた。 窓の外は、もうすっかり夜。 街灯の光が、カーテンの隙間から差し込んでいた。
ふと大翔の顔が浮かぶ。屋上での笑い声。 「ちょっと好きかも」――あの言葉。
颯真
言葉の続きを飲み込んむ。 ベッドに倒れ込んで、天井を見つめる。
心臓が、少しだけ早く打っている。 それが何なのか、まだうまく言葉にできない。
でも、確かに“何か”が残っていた。 昨日の距離。 今日の言葉。そして、今の静けさ。
颯真は目を閉じて、深く息を吐いた。
颯真
その言葉は、誰にも聞かれないまま、夜に溶けていった。
翌朝、教室にて 朝の教室は、まだ半分ほどしか生徒がいない。 窓際の席に座る颯真は、ノートを開いたまま、外をぼんやり眺めていた。 風がカーテンを揺らす。空は、昨日より少しだけ青い。
大翔
大翔の声が、いつも通りに響く。でも、昨日より少しだけ柔らかい。
颯真はゆっくりと顔を上げる。 目が合った瞬間、大翔は笑った。
颯真
大翔は、颯真の隣に座りながら、机にカバンを置く。
大翔
颯真は、ノートに視線を落としたまま、少しだけ考える。
颯真
大翔
颯真
大翔は、少しだけ驚いた顔をして、それから笑う。
大翔
颯真は、ペンを持ちながら、ぼそりとつぶやく。
颯真
大翔
颯真
大翔は、少しだけ照れたように笑って、肩をすくめる。
大翔
颯真は、ペンを止めて、窓の外を見た。
颯真
大翔
颯真
チャイムが鳴る。教室が少しずつ騒がしくなる。 二人の間には、静かな期待が流れていた。
昼休みのチャイムが鳴って、教室がざわつき始める。 颯真は、ノートを閉じて、静かに席を立つ。 大翔は、すぐにそれを見て、後を追う。
屋上の扉を開けると、風がふたりを迎える。 昨日と同じベンチ。 でも、空の色は少し違っていた。 二人は並んで座る。 しばらく沈黙が続く。
大翔が、先に口を開く。
大翔
颯真
大翔
颯真は、空を見上げながら言う。
颯真
大翔
颯真
風が吹く。二人の制服が、少しだけ揺れる。
颯真
大翔
颯真
大翔は、目を見開いて、颯真の横顔を見る。
大翔
颯真
しばらく沈黙が流れる。 でも、それは昨日までの沈黙とは違う。 言葉の余韻を、風が優しく包んでいた。
颯真は、少しだけ顔を向ける。
颯真
大翔
颯真
二人は、目を合わせて、少しだけ笑った。 その笑いは、昨日の距離を越えていた。