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ハッピーエンド。
それは、努力家な善人のみに与えられる 美しい結末。
ーー私のような人間には、決して与えられることのないものだ。
朝姫
授業中、脳内が先生の声をただの雑音として処理している。
机に突っ伏しながら、消えゆく意識に身を任せていた。
朝姫
朝姫
朝姫
数学の先生
朝姫
重い頭を持ち上げ、座り直す
ふと外を見ると、木の葉が紅く染まっていた。
朝姫
私は藤本朝姫、高校1年。
最近やっと高校に入ったことを自覚してきた。
朝姫
朝姫
手元の写真に視線を移す
私が中一の頃、演劇部で部長・副部長をしていた2人の先輩。
私に心から何かを愛するということを教えてくれた人。
朝姫
ーーと同時に、どうしようもなく苦しくなる。
中一の頃の記憶だ。あれから3年が経とうとしている。
あの頃の記憶をもう、鮮明には思い出せない。
朝姫
朝姫
あの日どんなことをしたかだけを覚えていたい訳じゃない。
あの人たちの声、表情。
あの場所の空気、あの胸の高鳴り。
今、全てが曖昧になってきている
朝姫
縋るように、写真に指を這わせる
朝姫
朝姫
なんだか、色が濃く鮮やかに見える。
朝姫
ふと周りを見渡す。
朝姫
あまりの色の無さに、私は驚いた。
厳密に言えば、色はあるのだがーー
目に映る景色があまりにも"現実"だった。
朝姫
ノートを開く。
でもそれは、授業用ではなかった。
ペラペラとめくり、あるイラストの描かれたページを開く。
1番上に、【登場人物】と書かれている。
朝姫
創作中の物語に登場する、私のかみさまだ。
私、というのは……この物語の主人公が、私だから。
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
最近は、この物語をノートに書くのが日課になっている。
序盤で書き直してばかりなので、まだ少しもできていない。
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
ノート上にペンを走らせる。
「ふぁ〜…」 授業中、脳内が先生の声をーー
キーンコーンカーンコーン
そこまで書いたとき、チャイムが鳴った
素早くノートを閉じる。
クラスメート
朝姫
朝姫
さな
朝姫
さな
朝姫
朝姫
さな
お互いに変顔をしあい、笑う。
楽しいーーはずなのに、何故か満たされない
担任
さな
朝姫
さな
朝姫
クラスメート
朝姫
担任
クラスメート
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
荷物を背負い、軽音の部室に1人で向かう。
ちょっと前ーー1ヶ月くらい前までは、私とさなと、みゆの3人で行っていた。
みゆは私とニコイチみたいな感じだったのに。
最近、みゆとさなが急激に仲良くなってから、その2人だけで行動することが増えた。
朝姫
朝姫
朝姫
部室に着いた私は、いつもの席へ向かう
見知ったカバンが4つ。その近くに荷物を置いて、辺りを見渡す。
朝姫
朝姫
めい
みゆ
みゆ
朝姫
朝姫
みゆ
朝姫
後ろから背中を軽く叩かれる
朝姫
かほこ
朝姫
かほこ
みゆ
さな
みゆ
朝姫
めい
かほこ
私は軽音ではいつも5人組で行動している。
自分で言うのもなんだが、あのグループは所謂"一軍"グループだ。
先輩や先生から1番好かれてる。
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
軽音部員
軽音部員
朝姫
今、1年生で準代表のバンドが2個組まれていて、私の5人組の中で入っていないのは私だけだ。
朝姫
私は最初、その準代表のギターに選ばれていた。
しかしその時、私は1ヶ月学校を休むことを決めていた。
それは、家でのことで、すごく気を病んでしまったからだ。
そして私は、学校から遠く離れたおばあちゃんの家に住所を移した。
その間、バンド練習ができないからと辞退したのだ。
まあ、多分学校を休んでいなくても個人で練習できないだろうから、やっていても皆に迷惑かけるだけだっただろうけど。
その代わりに入ったのが、みゆだった。
朝姫
朝姫
考えを打ち消すように首を横に振る。
朝姫
朝姫
めい
朝姫
みゆ
朝姫
朝姫
朝姫
事情はあれども毎日のように早退していれば、先輩たちからもよく思われないだろう。
朝姫
みゆ
朝姫
朝姫
朝姫
ひまわり先輩は、私が入部する前から憧れていた、大好きな先輩だ。
さな
ひまわり
朝姫
朝姫
朝姫
さなは白くてまつ毛長くて可愛くて愛嬌あって面白くて勉強もできて
歌もギターも1年の中でも飛び抜けて上手くて先生からも気に入られてる
私のほしいもの、全部持ってる
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
吐いた息が白く染まる。
朝姫
朝姫
中学の頃の良いも悪いも特別な記憶の8割がこの季節にできたものだ。
朝姫
毎年冬になると感じる胸の高まりを、まるで感じない。
世界が急に色褪せて見えた。
朝姫
朝姫
これから2時間かけて下校する
電車はいつも満員。疲れた私にとって、これは苦痛だった。
朝姫
朝姫
ーー次は〜〇〇、〇〇です。 お降りのお客様は〜ーー
朝姫
朝姫
座ると、いつものように目を閉じる。
朝姫
朝姫
朝姫
??
??
朝姫
し
あ
わ
せ
朝姫
ーー次は、〇〇、〇〇です
朝姫
朝姫
朝姫
下車して、急いで最寄り駅方向の電車に乗る。
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
次はーー〇〇、○○です
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
おばあちゃん
おばあちゃんの暖かかな出迎えに頬が緩む。
前の家では有り得なかった。
おばあちゃん
朝姫
手を洗い、食卓に着く
朝姫
おばあちゃん
朝姫
朝姫
おばあちゃん
朝姫
おばあちゃん
朝姫
暖かいご飯を会話をしながら食べるなんて
前の家では考えられなかった。
弟とお母さんの楽しそうな会話を聞きながら1人冷めた夕食を黙々と食べていた。
家での会話は必要最低限。
それか、怒られるだけだった。
私はどんどん精神をすり減らしていった。それのおかげで体も上手く動かなくなっていった。
他にも、過去のことを思い出したりして…私は最終的にここまで堕ちた
前までは努力が出来ないということに焦っていたけど、今は、
もう、自分で自分を諦めてしまった。
それでも、この現実はつらい。苦しい。悲しい。
その癖、それを変えようとしない。
その矛盾を、私は見て見ぬふりをしている。
朝姫
朝姫
おばあちゃん
朝姫
お風呂に入り、自室に戻る。
宿題しなきゃ、と思っても、どうしても体が頭が重い。
ベッドに倒れ込むように伏し、スマホを開く。
SNSの光だけが部屋を照らしている。
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
昔は提出物なんて絶対すぐ終わらせてた。
ほんとに誰から見ても"優等生"の"いい子"だったのに。
今は誰から見ても"出来損ない"で努力しない"悪い子"だ。
朝姫
おまけに何か楽しいことがあって勉強を疎かにしてるとか、そういうわけでもなく
何にも熱をもてるものがない
おかげで私の日々は灰色だ。
人は〜皆だーれでも〜
1人でーは生きてゆけないから〜
中学1年の時にやったミュージカルを見ながら、涙を流す。
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
この頃は部活が生きがいだった。部員を心から愛していた。委員会や塾も、素を出せる"居場所"が沢山あった。
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
こんなに強く願いながら眠れば、朝目覚めたら戻ってたりしないだろうか。
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
朝姫
私は草むらの上で目を覚ました。
立ち上がると、その目の前に1つの美しい泉があった。
中を覗くと、光の帯のようなものが、色とりどりに輝いている。
朝姫
一瞬、その帯の中に見覚えのある記憶が見えた気がした。
朝姫
もう一度良く見ようと覗き込んだそのとき、
泉が淡く光った
朝姫
光の帯の中でもひときわ強く輝くものが、泉の中心へと集まっていく。
それと泉の水がトルネードのように練り上げられ、激しく発光した。
朝姫
眩しさに目を瞑っても、瞼が赤く光る。
しばらくして、恐る恐る目を開けると…
そこには、見覚えのある存在が立っていた。
朝姫
朝姫